所得税率10%なら、副業所得の約2割が目安
副業所得30万円なら約6.1万円。控除が変わらず、全額が同じ税率帯に収まる概算。
ネットショップや業務委託など、売上から経費を差し引いて所得を計算する副業では、納税用に取り分ける割合は一律には決められません。私はBASEでアパレルのネットショップを3年間運営し、副業収入を私用に使わず、年明けに税金相当分を概算して別口座へ移して納税しました。税率別の目安と副業所得30万円の計算例、所得税・住民税の支払時期を説明します。
この記事でわかること
- 控除が変わらず、副業所得の全額に所得税率5・10・20%が適用され、住民税所得割を10%と仮定すると、残す目安は副業所得の約15.1%・20.2%・30.4%
- 売上ではなく副業所得で計算する。副業所得30万円なら、所得税率5・10・20%に応じて約4.5万円・6.1万円・9.1万円をとっておく
- 所得税率は、給与収入ではなく、本業と副業を合わせた所得控除後の課税所得で確認する
- 報酬から所得税が源泉徴収済みなら、確定申告時の追加納付額が減る場合がある。消費税・個人事業税の対象なら別に見積もる
副業の税金は何割残す?所得税率別の目安
次の表は、2026年分について、副業で増えた所得の全額に同じ所得税率が適用され、住民税所得割を10%と仮定した概算です。所得税・復興特別所得税・住民税所得割の合計割合を示しています。住民税所得割は、住民税のうち所得に応じて計算する部分です。
| 増えた所得に適用される所得税率 | 所得税・復興特別所得税・住民税所得割の概算 |
|---|---|
| 5% | 約15.1% |
| 10% | 約20.2% |
| 20% | 約30.4% |
| 23% | 約33.5% |
| 33% | 約43.7% |
| 40% | 約50.8% |
| 45% | 約55.9% |
副業所得に対して残す割合の概算
適用される所得税率 × 1.021 + 住民税所得割10%
2026年分は、所得税額に復興特別所得税2.1%相当を上乗せし、住民税所得割を10%と仮定して計算しています。たとえば所得税率10%なら、10% × 1.021 + 10% = 20.21%です。所得税率は5%から45%までの7段階です。
所得控除は、税金を計算するもとになる所得から差し引く金額で、基礎控除などがあります。税額控除は、計算した税額から直接差し引く金額です。
この表は、副業で増えた所得が同じ税率の範囲に収まる場合の単純な概算です。所得控除や税額控除の変化、住民税の均等割、森林環境税、源泉徴収済みの税額、消費税、個人事業税は含めていません。住民税の税率や控除は、住んでいる自治体や本人の状況によって異なります。
住民税の均等割は一定額を負担する部分で、森林環境税は住民税と併せて徴収される国の税金です。
基礎控除は、本人の所得の合計額に応じて、税金を計算するもとになる所得から差し引ける金額です。副業を加えて基礎控除額が変わると、所得税率が同じでも、表の割合で求めた額より税負担が増える場合があります。
※現行制度では、2027〜2047年分は復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%を合わせた上乗せ税率が2.1%です。
残す金額は、売上ではなく副業所得から計算する
税金の概算に使うのは、売上から必要経費を差し引いた副業所得です。業務に係る雑所得も、原則として「総収入金額-必要経費」で計算し、給与所得などと合計して税額を求めます。
物販の売上原価は、その年に売れた商品に対応する仕入れ費用などです。年初の在庫の金額(棚卸高)に年間の仕入高を加え、年末の在庫の金額を差し引いて計算します。仕入れに支払ったお金と、その年の必要経費になる額は同じとは限りません。
青色申告は、事前に税務署の承認を受け、売上や経費を決められた方法で記録して行う申告です。
事業所得として青色申告をする場合は、要件を満たせば、事業所得から一定額を差し引く青色申告特別控除も反映します。控除額は、提出方法や帳簿の保存方法で変わります。条件は「紙とe-Taxどっちで申告?」で説明しています。
給与収入が500万円でも、所得税率が10%とは限りません。所得税率を確認するときの基準は、所得控除を差し引いたあとの「課税される所得金額」です。課税される所得金額は1,000円未満を切り捨て、次の表に当てはめます。
| 課税される所得金額 | 所得税率 |
|---|---|
| 1,000円から1,949,000円まで | 5% |
| 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% |
| 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% |
| 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% |
| 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% |
| 18,000,000円から39,999,000円まで | 40% |
| 40,000,000円以上 | 45% |
所得税の税率は、超過累進税率です。課税される所得金額が一つ上の区分に入っても、全額に上の税率がかかるのではなく、区分を超えた部分にだけ上の税率が適用されます。
源泉徴収票は、勤務先がその年の給与や所得税等の金額を記載して渡す書類です。給与所得控除は、給与収入から給与所得を計算するときに差し引く金額です。
会社員が自分の税率を調べるときは、本業の年末調整済みの源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」を使います。仮に前者が400万円、後者が150万円なら、差の250万円は所得税率10%の区分です。
この例で副業所得30万円を加え、ほかの所得や所得控除が変わらなければ、課税所得は280万円です。増えた30万円の全額に所得税率10%が適用されます。税額控除も変わらず、住民税所得割を10%と仮定すると、所得税・復興特別所得税・住民税所得割の増加額は60,630円と概算できます。
前年の源泉徴収票を使う場合は、今年の見積もりとして仮置きし、給与・所得控除・税制を当年の条件で見直します。副業によって基礎控除などが変わる場合は、所得控除の額も計算し直します。
概算は次の順で行います。
- 1年分の副業の売上を集計する。
- 必要経費を差し引き、副業所得を見積もる。
- 本業と副業を合わせた課税所得から、所得税率を確認する。
- 副業所得を加えた場合と加えない場合で、所得税・住民税の差額を見積もる。
- 源泉徴収済みの税額があれば、これを考慮して申告時の追加納付額を見積もる。
- 対象になる場合は、消費税や個人事業税を別に見積もる。
源泉徴収票や控除資料をそろえて確定申告書を作成すれば、申告時に納める金額を確認できます。経費の記録とカード明細の残し方は、「経費はカード明細だけでいい?」にまとめています。
副業所得30万円なら、税率で残す額が変わる
2026年分の副業所得30万円について、全額に同じ所得税率が適用され、所得控除・税額控除は変わらず、住民税所得割を10%と仮定した概算です。表は年間で増える税負担の目安で、これから納める金額そのものではありません。
| 増えた所得に適用される所得税率 | 所得税・復興特別所得税 | 翌年度の住民税所得割 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 5% | 15,315円 | 30,000円 | 45,315円 |
| 10% | 30,630円 | 30,000円 | 60,630円 |
| 20% | 61,260円 | 30,000円 | 91,260円 |
30万円の2割は6万円です。所得税率10%の場合の単純計算に近い金額ですが、所得税率20%なら約9万1,000円になります。したがって、「副業の税金は2割」と決めて残すと、適用される所得税率によっては不足します。
反対に、報酬から所得税が源泉徴収されている場合や、控除の変化で税額が下がる場合は、確定申告時に追加で支払う金額が表より少なくなったり、還付になったりすることがあります。
源泉徴収は、報酬を支払う側が所得税等をあらかじめ差し引いて国へ納める仕組みです。還付は、納め過ぎた税金が戻ることです。還付される場合の入金までの目安は、「確定申告の還付金はいつ?」で説明しています。
所得税の追加納付額は、年間の税額から、源泉徴収された税額や、予定納税として前払いした金額などを差し引いて見積もります。所得税が還付される場合でも、翌年度の住民税分は別に見積もります。住民税に備える額を確保してから、納税用資金の余りを判断します。
基礎控除が変わる場合の計算例
2026年分・2027年分の所得税では、合計所得金額が489万円以下なら基礎控除は104万円、489万円超655万円以下なら67万円です。副業を加えてこの境界を超えると、基礎控除が37万円減る場合があります。所得税率が変わらなくても、単純計算で求めた額より税負担が増えるため、本業だけの場合と副業を加えた場合の税額を比べます。
例えば、2026年分の給与所得が480万円、副業所得が30万円、基礎控除以外の所得控除が160万円で変わらない場合を考えます。給与所得480万円は、年収ではなく給与所得控除後の金額です。副業がない場合の課税所得は216万円、副業を加えると283万円になり、どちらも所得税率10%の区分です。
この例では、副業所得30万円に加え、基礎控除が減った37万円も課税所得の増加に含まれます。所得税・復興特別所得税の増加は約6.8万円、住民税所得割の増加を3万円と仮定すると、合計は約9.8万円です。控除が変わらない場合の単純計算約6.1万円とは差が出ます。
※説明用の仮例です。税額控除はなく、住民税所得割は10%、住民税側の控除等は変わらないと仮定しています。実際の申告納税額の端数処理は省いています。
私の実例|2021年は副業所得約29万円で税負担が6万円弱増えた
2021年は、ネットショップの売上から仕入れ・経費・青色申告特別控除を差し引いた副業所得が291,698円でした。本業を含めた私の課税所得ではなく、副業分だけの金額です。副業所得約29万円を加えたことで、所得税と住民税の負担は6万円弱増えました。売上・仕入れ・経費の内訳は、副業の確定申告を決算書の数字で確認した実例にまとめています。
私は年明けに税金相当分を別口座へ移した
副業の収入は副業用口座に残していました。そこから支払ったのは、広告費や仕入れなど事業の費用だけです。
年が明けてから前年分の税金を概算し、その額を別の口座へ移して確保しました。
これは私自身の管理方法で、税金相当分を取り分ける時期が税法で決められているわけではありません。
年の途中で取り分ける場合は、月末に今年1年分の副業所得・控除・源泉徴収税額の見込みを更新する方法があります。その見込みを基に、所得税の追加納付額と、副業で増える翌年度の住民税を別に見積もります。
見積もった税額と、同じ年の所得にかかる税金用に確保している金額を比べ、不足分を納期限までに積み増します。前年の所得に対応する、これから支払う税金用のお金は、今年の所得に対応する取り置き額に数えません。仕入れや設備購入に回す前にも、納税用のお金が不足しないか確かめます。
事業や家計に使うお金と納税用のお金を分けて管理できれば、専用口座は要りません。口座を分ける時期と、事業目的で使える口座商品の選び方は、副業用の銀行口座を分ける方法で説明しています。
副業所得の2割より多く残す場合と、追加納付額が少なくなる場合
| 条件 | 概算への影響 |
|---|---|
| 副業で増えた所得の全額に所得税率20%以上がかかる | 所得税・復興特別所得税・住民税所得割の単純計算で約30.4%以上になる |
| 副業所得によって税率の区分をまたぐ | 区分を超えた部分には上の所得税率が適用される |
| インボイス発行事業者など、消費税の納税義務がある | 所得税・住民税とは別に消費税を確保する必要がある |
| 個人事業税の対象になる | 所得税・住民税とは別に負担が生じる場合がある |
| 報酬から所得税が源泉徴収されている | 確定申告時の追加納付額が少なくなったり、還付になったりする場合がある |
| 所得控除・税額控除が変わる | 単純に所得へ割合を掛けた金額と実際の税額に差が出る |
消費税の納税義務を判定するとき、個人事業者の基準期間は原則として前々年、特定期間は前年の1月から6月です。課税売上高は、消費税がかかる売上と、輸出などの免税売上を合計した金額です。
消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高や、インボイスを発行する事業者としての登録などによって納税義務が生じる場合があります。
個人事業税は、地方税法で対象とされている業種(法定業種)に該当する場合にかかります。個人事業税の計算で所得から差し引く事業主控除は原則年290万円で、事業期間が1年未満の場合、控除額は月割になります。
所得税の青色申告特別控除は、個人事業税には適用されません。税率は業種により3〜5%です。
所得税と住民税は、支払う時期が違う
2026年に得た副業所得を例にすると、所得税を納める法律上の期限(法定納期限)は2027年3月15日です。住民税は2027年6月以降に支払います。
| 税金 | 2026年分の支払時期の例 |
|---|---|
| 所得税・復興特別所得税 | 法定納期限は2027年3月15日。事前に届け出た本人名義の口座から引き落として納める振替納税の引落日(振替日)は、国税庁が別に公表する |
| 住民税・普通徴収(自分で納付) | 2027年6月以降、自治体が定める納期に支払う |
| 住民税・給与からの特別徴収 | 2027年6月から2028年5月まで、毎月の給与から徴収される |
予定納税基準額が15万円以上になる場合は、原則7月と11月にも所得税等を前払いします。基準額は前年の所得や税額などから計算し、雑所得などを除く場合があるため、副業所得の額だけでは対象かを判断できません。
納付した額は翌年の確定申告で差し引き、過不足を精算します。対象と金額は税務署の通知で確認します。
所得税は、申告書を提出したあとに税務署から納付書や納税通知書が送られるわけではありません。納付方法を選び、期限までに支払います。国税庁「No.2020 確定申告」と「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」で、その年分の日付を確認できます。
普通徴収の納期は自治体によって異なります。一例として、横浜市では6月・8月・10月・翌年1月の4回です。対象年度の住民税の納税通知書で確認できます。
私は副業分の住民税について普通徴収を選びました。ただし、副業の所得の種類や自治体の扱いによっては、希望どおりに分けられない場合があります。勤務先へ伝わる経路は、副業の住民税を普通徴収にしても会社に伝わる場合で説明しています。
副業所得を自分で計算する人へ
残す金額を見積もるには、まず副業所得を計算する必要があります。日々の記帳から所得の計算までを1か所で行える会計ソフトには、私が副業で使ったと、があります。会計ソフトを使っても、自分に適用される税率の判定と、納付の時期の確認は別に必要です。
よくある質問
副業の売上の何割を残せばよいですか?
売上ではなく、必要経費を差し引いた副業所得を基に考えます。事業所得として青色申告をし、要件を満たす場合は、所得から一定額を差し引く青色申告特別控除も反映します。
副業の税金は2割残せば足りますか?
足りるかどうかは、適用される所得税率で変わります。増えた副業所得の全額に所得税率10%が適用され、住民税所得割(住民税のうち所得に応じて計算する部分)を10%と仮定した単純計算は約20.2%です。全額に所得税率20%が適用される場合は約30.4%です。
基礎控除額が変わる場合は所得税の増加額を計算し直します。消費税・個人事業税がかかる場合は、それぞれ別に見積もります。
副業所得が20万円以下なら、税金を残さなくてよいですか?
20万円は、一定の会社員が所得税の確定申告を要しない場合の基準で、非課税になる基準ではありません。判定に使うのは、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額です。
医療費控除などのために確定申告をする場合は、20万円以下の所得も併せて申告します。
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。副業先から給与を受け取る場合を含む詳しい条件は、副業で確定申告が必要になる条件で分けて説明しています。
報酬から所得税が引かれている場合も、表の金額を残す必要がありますか?
源泉徴収された所得税は、確定申告で年税額と精算します。すでに引かれた税額がある分、申告時の追加納付額が少なくなったり、還付になったりする場合があります。支払明細や入金記録などで源泉徴収税額を確認し、残す金額を見積もります。
所得税が還付される場合でも、翌年度の住民税分は別に見積もります。
税金分はいつ移せばよいですか?別口座は必要ですか?
税法には、税金相当分を移す時期の定めも、専用口座を作る義務もありません。私は副業収入を私用に使わず、年明けに税金を概算して別口座へ移しました。既存口座や銀行の目的別管理機能でも、納税分を取り分けておけます。
まとめ
残す割合は一律2割ではなく、所得税率5〜20%の範囲でも約15.1〜30.4%と開きがあります。残す額は、副業所得と所得税率だけでなく、控除や源泉徴収の状況も反映して見積もります。所得税の追加納付額と、翌年度の住民税に備える額を分けて考えます。
前年1年分の数字がそろった時点で副業所得を概算し、納税分を分けておけば、所得税と住民税の支払いに備えられます。
※私は税理士ではありません。税額は所得や控除、住んでいる自治体などによって変わります。税率別の目安や副業所得30万円の例は、説明用の概算です。個別の判断に迷うときは、税務署や税理士に相談してください。
2026年10月1日に確認。
出典
2026年10月1日に確認。

