つみたて投資枠は投資信託、成長投資枠は個別株も買える
NISAで損が出ても、ほかの口座の利益から差し引くことはできない。
NISAは、投資で得た利益を一定の範囲で非課税にできる制度です。2つの投資枠の違いと上限、1人1口座の注意点、2027年に始まるこどもNISAまで説明します。
NISAを使えば資産が必ず増えるわけではなく、投資商品には値動きがあり、元本割れもあります。私は家計に負担をかけない金額で積立を続けています。
この記事でわかること
- 元本保証ではなく、値動きで元本割れすることもある
- つみたて投資枠と成長投資枠があり、上限まで使う必要はない
- 1人1口座。生活費と投資資金を分け、家計に合う少額から始める
- 金融機関は年単位でしか変えられず、その年に買ったあとは翌年まで待つ
- 2027年のこどもNISAは年60万円・非課税で持てるのは600万円まで
NISAの基本
- 少額から投資でき、利益に税金がかからない
- 非課税で保有できる期間は無期限
- つみたて・成長の2つの枠を併用できる
注意
制度内容は変更される可能性があります。利用前には、金融庁や証券会社の公式サイトで最新情報を確認してください。
2つの投資枠と上限
2つの枠は、どちらか一方が正解なのではなく、使い方が違います。年間で使える枠は合計360万円までですが、家計に合う金額だけを積み立てればよく、上限まで埋める必要はありません。その年に使わなかった枠は、翌年に繰り越せません。
2024年に始まった新しいNISAでは、生涯にわたって非課税で保有できる上限が1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。さらに、保有している商品を売却すると、買ったときの金額分だけ枠が翌年に復活し、再び使えます(金融庁のよくある質問)。
つみたて投資枠
対象となる投資信託を定期的・継続的に買い付けるための枠です。積立頻度は毎月のほか、金融機関によっては毎週や隔月も選べます。
成長投資枠
投資信託や個別株などを、まとまった金額で購入することもできる枠です。ただし、毎月分配型や高いレバレッジをかけた投資信託などは対象から外れています。
注意
枠の金額や対象商品などの条件は変わる場合があります。個別商品や銘柄はすすめません。リスクや手数料は購入前に公式資料で確認してください。
| 比較ポイント | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間の上限 | 120万円 | 240万円 |
| 積立か一括か | 積立のみ | 積立・一括の両方 |
| 買える商品 | 基準を満たした投資信託など | 上場株式・投資信託・ETFなど |
| 対象外の商品 | 基準を満たさない投資信託 | 毎月分配型・高レバレッジ型など |
| 生涯の上限 | 1,800万円(成長投資枠と共通) | 1,800万円のうち最大1,200万円 |
| 向いた使い方 | 毎月コツコツ積立 | まとまった資金・個別株 |
| 初めてでも使いやすいか | 少額の積立に使いやすい | 慣れてから |
NISAのしくみ
通常かかる約20%の税金がNISAなら非課税になる
たとえば投資で10万円の利益が出たとき、通常は約2万円(約20%)が税金として差し引かれます。NISAなら、その約2万円が手元に残ります。(一例で、利益を保証するものではありません。)
どちらを使うか迷う場合は、「つみたて投資枠」だけで始めることもできます。成長投資枠は、必要になったときに追加で使うこともできます。リスクの大きさは枠ではなく選ぶ商品によって決まるので、成長投資枠のほうが危険ということではありません。
NISAで注意したいこと
- 元本保証ではない
値動きがあり、買ったときよりお金が減ることもあります。 - 損益通算はできない
NISA口座で出た損失は、ほかの口座の利益と相殺して税金を減らせません。NISA口座で出た損失は、翌年以降に繰り越すこともできません(国税庁)。 - 枠を使い切らなくていい
上限は「使ってもいい額」であって「使うべき額」ではありません。 - 分からない商品は選ばない
投資先や仕組みを理解できない商品は、無理に買う必要はありません。
少額から考える・1人1口座
NISAは大きな金額から始める必要はありません。毎月の収入から支出を差し引き、残った金額をもとに投資額を決めます。少額から積み立て、値動きを見ながら投資信託や株式の違いを知っていく方法もあります。
また、18歳以上なら、NISA口座は1人につき1口座です。NISA口座を複数の金融機関で同時に持つことはできず、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うこともできません。
金融機関を変えるとき
金融機関は年単位で変えられます。金融機関を変える場合、届出書は変更したい年の前年10月1日から、変更する年の9月30日までに提出します。ただし、その年にすでにNISA口座で買い付けていると、年内は金融機関を変えられません。金融機関を変えても、それまでに買った商品を新しい金融機関へ移すことはできません。それまでに買った商品は、前の金融機関で非課税のまま持ち続けるか、売るかを選びます。
積み立てを続けるとどうなるか
たとえば毎月3万円の積立を20年間続け、年3%で運用できた場合、元本720万円が約985万円(運用益はおよそ265万円)になる計算です。この運用益に通常かかる税金が非課税になるのが、NISAの特徴です。
投資を始めて14年になります。旧つみたてNISAのときから利用しており、2024年からは新しいNISAで積立を続けています。クレカ積立にしておくと、ポイントも少しずつ貯まります。最初から大きな金額を投資するより、収入から生活費を差し引いて残った金額を積み立てるほうが、私には合っていました。
2023年までに買った分
2023年までの旧NISAで買った分は、非課税期間が残っていれば、すぐに売る必要はありません。一般NISAで買った商品は購入から5年間、つみたてNISAで買った商品は20年間、非課税のまま保有できます。ただし非課税の期間が終わったあと、旧NISAで買った商品をいまのNISAへ移すことはできません。旧NISAで買った商品の購入額は、いまの1,800万円の枠には含まれません。
注意
金融庁の活用事例では少額から積立を始める例も紹介されていますが、将来の運用成果を示すものではありません。
2027年に始まる「こどもNISA」
2026年度の税制改正で、未成年もつみたて投資枠を使えるようになることが決まりました。2027年から始まる予定で、ここでは「こどもNISA」と呼びます(金融庁「令和8年度税制改正について」/財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」)。
- 対象は0歳から17歳の子どもです。
- 年間の投資枠は60万円で、非課税で持てる上限は600万円です。
- 買えるのは、つみたて投資枠と同じ基準の投資信託です。個別株は対象外です。
- 子どもが12歳になったあとは、子どものために使うことを条件に、本人の同意を示す書面と申出書を金融機関へ提出すれば、親権者が資金を引き出せます。
- 子どもが18歳になると、こどもNISAの資産は現行NISAへ自動で引き継がれ、つみたて投資枠で保有されます。
以前のジュニアNISAは18歳まで引き出しが厳しく制限され、非課税で持てる期間にも限りがありました。こどもNISAでは、子どもが12歳になったあと、条件を満たせば資金を引き出せるうえ、非課税で商品を保有できる期間にも制限がありません。
私には対象年齢の子どもが2人いますが、使うかどうかはまだ決めていません。迷っているのは、私のNISAとこどもNISAに投資額をどう分けるか、年60万円を積み立てながら生活防衛資金を確保できるかです。子どもが12歳になる前にこどもNISAの資金が必要になった場合、どう対応するかも考えます。
注意
制度の細かい条件には、まだ決まっていないものがあります。始める前に金融庁や証券会社の公式情報を確認してください。
最後のチェック
始める前に、次の5つを確認しておくと整理しやすくなります。
- 生活費と投資資金を分けた
- 毎月の投資額を決めた
- NISA口座は1人1口座と理解した
- 元本保証の制度ではないと知った
- 上限まで使い切らなくていいと分かった
NISAで気をつけること
SBI証券・楽天証券でNISAを始めるなら
証券会社の選び方を、「SBI証券と楽天証券の比較」で説明しています。NISA口座は1人1口座なので、利用する金融機関を1社選びます。ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)や三井住友カード(NL)を使っている人はSBI証券、楽天銀行や楽天カードを使っている人は楽天証券が候補になります。どちらを選ぶ場合も、申し込む前に確認する項目はほぼ同じです。
- NISA口座の申し込み方法
- つみたて投資枠と成長投資枠の対象商品
- 手数料と積立設定の方法
- 入出金方法と銀行口座(SBI証券はドコモの銀行、楽天証券は楽天銀行)との連携
- 投資リスクと重要書類
私自身は、SBI証券のNISA口座でつみたて投資枠を使い、三井住友カード(NL)でクレカ積立をしています。クレカ積立以外の買付代金は、ドコモの銀行からSBI証券へ自動で振り替わるよう設定しています。楽天をよく使う人なら、楽天証券・楽天カード・楽天銀行を組み合わせて使えます。
よくある質問
NISAを使えば必ず儲かりますか?
いいえ。NISAは利益にかかる税金がゼロになる「制度」であって、投資の損益そのものは選んだ商品と相場次第です。値下がりすれば損をすることもあります。
つみたて投資枠と成長投資枠、どちらを使えばいいですか?
初めてなら、つみたて投資枠から始める方法があります。長期の積立に向いた商品だけが対象になっているため、購入する商品を選びやすくなっています。
途中でお金を引き出せますか?
いつでも売却して引き出せます。iDeCoと違い、原則いつでも売却して引き出せるのがNISAの利点です。ただし、商品を売却したあとは、その後の値上がり益や分配金は受け取れません。
年の途中から始めると損ですか?
損ではありません。非課税枠を使い切らなくても、年の途中から決めた金額を毎月積み立てられます。私は、早く始めることよりも、積立を長く続けることを重視しています。
NISAとiDeCoはどちらを優先すべきですか?
いつでも引き出せることを重視するなら、NISAが選択肢になります。iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象になりますが、原則60歳まで引き出せません。生活防衛資金を確保したうえで、資金を引き出しやすいNISAから検討する方法もあります。老後資金をさらに準備したい場合は、iDeCoも選択肢になります。
NISAは毎月いくらから始められますか?
証券会社によっては毎月100円や1,000円から積み立てられます。金額の大きさより、家計から無理なく出せる範囲かどうかを目安にします。慣れてきたら増やすこともできます。
NISAの利益は、確定申告が必要ですか?
必要ありません。NISA口座の利益や分配金は非課税なので、確定申告の対象になりません。ひとつだけ注意したいのは、個別株の配当金です。非課税で受け取るには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」(証券口座で受け取る設定)にしておく必要があります。銀行や郵便局で受け取る設定のままだと、NISAでも配当金に課税されます。成長投資枠で株を買う場合は、事前に配当金の受取設定を確認しておきます。なお、米国株などの配当では、現地の税金が差し引かれます。NISA口座では外国税額控除を使えないため、米国株などの配当から差し引かれた現地の税金は戻りません。証券口座と税金の注意点を「SBI証券と楽天証券の比較」にまとめました。
つみたて投資枠を使わず、成長投資枠だけを使えますか?
使えます。ただし、成長投資枠は年間240万円、生涯では1,200万円までです。つみたて投資枠の年間120万円のうち使わなかった分を、成長投資枠へ回すことはできません(資産運用業協会のQ&A)。なお、成長投資枠でも定額の積立はできます。
成長投資枠で、つみたて投資枠と同じ投資信託を買えますか?
買えます。成長投資枠では、上場株式やETFのほかに、つみたて投資枠の対象になっている投資信託も買えます(資産運用業協会のQ&A)。同じ投資信託に年間120万円を超える額を積み立てたいときは、2つの枠を併用します。
まとめ
投資に回せる金額と、NISAの仕組みや注意点を確認してから始めると安心です。
NISA口座の開設と維持は無料で、申し込みから本人確認までの手続きはスマホだけで完結します。始める場合は、家計に無理のない少額から積み立てる方法があります。
※掲載内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。NISAの制度内容・投資枠・対象商品等は変更される場合があります。投資には元本割れのリスクがあり、本記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。利用前に金融庁や証券会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。

