対象投信の積立ならつみたて枠、一括購入・個別株には成長枠も使える
NISAで損が出ても、ほかの口座の利益から差し引くことはできない。
18歳以上向けNISAの2つの投資枠は、買える商品や買い方、金額の上限が異なります。私は旧つみたてNISAのころから利用し、現在もつみたて投資枠で積立を続けています。使う枠は対象商品と買い方に合わせて選び、投資額は家計に無理のない範囲で決めます。
この記事でわかること
- 18歳以上向けのつみたて投資枠は、対象の投資信託の積立専用で、年間120万円まで
- 成長投資枠は、対象の投資信託や個別株を積立・一括で買え、年間240万円まで
- 2つの枠を両方使う必要も、上限まで使い切る必要もない
- 元本割れすることがあり、NISAで出た損失はほかの口座の利益と相殺できない
NISAの基本
- 少額から投資でき、条件を満たす利益に日本の税金がかからない
- 非課税で保有できる期間は無期限
- つみたて・成長の2つの枠を併用できる
つみたて投資枠と成長投資枠の違い・上限
18歳以上向けNISAのつみたて投資枠は、対象の投資信託の積立専用で、年間120万円までです。成長投資枠は、対象の投資信託や個別株などを積立・一括で買え、年間240万円までです。合計360万円まで利用できますが、上限まで使う必要はありません。その年に使わなかった年間投資枠は、翌年へ繰り越せません。
投資信託は、多くの人から集めたお金をまとめ、専門家が株式などで運用する商品です。個別株を買う場合は、投資する会社の株式を自分で選びます。
積立は決めた金額で商品を定期的に買う方法、一括購入はまとまった金額で一度に買う方法です。
2024年に始まったNISAでは、非課税で保有する商品の購入時の金額(買付額・簿価)の合計に、1,800万円の上限があります。この上限が非課税保有限度額です。このうち、成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。
商品を売却すると、その商品の買付額分を翌年以降に再利用できます。たとえば100万円で買った商品を130万円で売った場合、再利用できるのは100万円分です。この100万円が年間投資枠に上乗せされるわけではありません。
値上がりして保有商品の評価額が1,800万円を超えても、それだけで超過分に課税されることはありません。
| 比較ポイント | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間の上限 | 120万円 | 240万円 |
| 積立か一括か | 積立のみ | 積立・一括の両方 |
| 買える商品 | 基準を満たした投資信託など | 上場株式・投資信託・ETFなど |
| 対象外の商品 | 基準を満たさない投資信託 | 毎月分配型・高レバレッジ型など |
| 非課税保有限度額(簿価残高) | 1,800万円(2枠共通) | 1,800万円のうち1,200万円まで |
| 使いたい場面 | 対象投信を定期的に積み立てる | 対象商品を一括購入する・個別株を買う |
つみたて投資枠の積立頻度は毎月のほか、金融機関によっては毎週や隔月も選べます。
ETF(上場投資信託)は、株式と同じように取引所で売買する投資信託です。REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めたお金を不動産に投資し、賃料収入や売却益などを分配する商品です。
毎月分配型は、投資信託を持つ人へ、毎月分配金を支払う方針の商品です。毎月の支払いや金額が保証されるものではありません。
高レバレッジ型は、株価などの値動きに対して、商品の価格が大きく動くように設計されています。
国内上場株式・ETF・REITの配当・分配金に日本の税金がかからないようにするには、受取方法を「株式数比例配分方式」(証券口座で受け取る設定)にします。配当等の基準日(配当などを受け取る権利が決まる日)までに手続きを終える必要があるため、所要日数を証券会社で確認してください。
銀行や郵便局で受け取る設定では、NISAでも課税されます。通常の株式投資信託の分配金には、この設定は必要ありません。
枠の金額や対象商品などの条件は変わる場合があります。リスクや手数料は購入前に公式資料で確認してください。
NISAのしくみ
条件を満たす利益には日本の税金がかかりません。外国株の配当には現地で税金がかかる場合があります。
たとえば、投資で10万円の売却益が出た場合、課税口座では日本で約2万円(約20%)の税金がかかります。NISAで非課税対象となる売却益なら、その日本の税金はかかりません。利益が出ることを保証する例ではありません。
対象の投資信託を定期的に積み立てるなら、つみたて投資枠だけでも始められます。一括購入や個別株への投資も考える場合は、成長投資枠も使えます。両方の枠の対象で、利用する金融機関が取り扱う投資信託なら、年間120万円を超える積立に2つの枠を併用する方法もあります。2つの枠を両方使う必要はありません。リスクの大きさは枠ではなく、選ぶ商品によって決まります。
NISAで注意したいこと
- 元本保証ではない
値動きがあり、買ったときよりお金が減ることもあります。 - 損益通算はできない
NISA口座で出た損失は、ほかの口座の利益と相殺して税金を減らせません。この損失は、翌年以降に繰り越すこともできません。 - 枠を使い切らなくていい
上限まで投資する義務はありません。ただし、その年に使わなかった年間投資枠は翌年へ繰り越せません。生活費や予定支出を確保したうえで、余裕資金の範囲で投資額を決めます。 - 分からない商品は選ばない
投資先や仕組みを理解できない商品は、無理に買う必要はありません。
投資額・買付先・旧NISAで買った商品を確認する
NISAは大きな金額から始める必要はありません。生活費、病気や失業などに備える生活防衛資金、近いうちに使う予定のお金を確保し、余裕資金の範囲で投資額を決めます。少額から積み立て、値動きへの慣れや商品の理解度に応じて金額を見直せます。
月3万円を20年間積み立てた場合の試算
たとえば毎月3万円を20年間積み立て、年3%で運用できた場合、元本720万円が約985万円(運用益はおよそ265万円)になる試算です。NISAでは、この運用益に日本の税金はかかりません。
毎月末に3万円を積み立て、年3%を月換算して複利運用できたと仮定した概算です。複利運用は、得られた運用益も元本に加えて運用を続ける方法です。手数料は考慮しておらず、将来の運用成果を保証するものではありません。
私の積立額の決め方
投資を始めて14年になります。旧つみたてNISAを利用し、2024年以降は新しいNISAのつみたて投資枠で積立を続けています。生活防衛資金を準備しながら少額の積立を続け、余裕ができたときに積立額を増やす方法が、私には合っていました。上限ではなく、家計に無理のない金額を基準にしています。
その年の買付先は1社
18歳以上向けNISAの対象は、利用する年の1月1日時点で18歳以上の居住者等です。その年にNISAで新しく買い付けられる金融機関は、1人につき1社です。つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うことはできません。金融機関を変更すると、変更前と変更後の金融機関にNISA口座が残ることがありますが、新しく買い付けられるのは、その年に選んだ1社だけです。
金融機関を変えるとき
金融機関は年単位で変更できます。変更手続きの期間は、変更したい年の前年10月1日から、その年の9月30日までです。ただし、変更したい年にすでにNISA口座で買い付けている場合、その年分は変更できず、翌年分からの変更になります。
変更前に買った商品を新しい金融機関のNISA口座へ移すことはできませんが、前の金融機関で非課税のまま保有できます。口座変更のために売却する必要はありません。
2023年までの旧NISAで買った商品の扱い
2023年までの旧NISAで買った分は、非課税期間が残っていれば、すぐに売る必要はありません。一般NISAは買い付けた年を1年目として最長5年間、つみたてNISAは最長20年間、非課税のまま保有できます。2023年に買った商品なら、一般NISAは2027年末、つみたてNISAは2042年末までです。
非課税期間が終わったあと、旧NISAで買った商品をいまのNISAへ移すことはできません。旧NISAで買った商品の購入額は、いまの非課税保有限度額1,800万円には含まれません。
NISAを始める前の確認項目
- 生活費・生活防衛資金・予定支出と投資資金を分けた
- 家計に無理のない購入額・積立額を決めた
- NISA口座の開設状況を確認し、その年の買付先を1社選んだ
- 買いたい商品が利用する投資枠の対象で、買付先でもその枠で買えるか確認した
- 商品・取引の重要書類で、費用と値下がりリスクを確認した
- 国内上場株式・ETF・REITを買う場合、配当・分配金の受取方法を確認した
- NISA口座の申込み方法と、積立設定の手順を確認した
- 今の銀行からの入金・引落方法と、利用する場合の銀行連携を確認した
つみたて投資枠の対象商品は金融庁の一覧、成長投資枠の国内籍投資信託・ETF・REITは資産運用業協会の一覧で確認できます。一覧に載っていても、利用する金融機関がその投資枠で取り扱っているとは限りません。
SBI証券・楽天証券でNISAを始めるなら
証券会社をまだ決めていない人は、「SBI証券と楽天証券の選び方」で、買いたい投信や今の銀行からの入金・引落方法を比較できます。クレカを使わない積立方法も紹介しています。
ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)との連携や三井住友カード(NL)でのクレカ積立を使いたい人はSBI証券が候補になります。楽天銀行との連携や楽天カードでのクレカ積立を使いたい人は楽天証券が候補になります。銀行口座やカードを新しく作ることは、投信積立に必須ではありません。
新たにNISAを始める場合は、証券総合口座の開設に加えて、NISA口座の申込みも必要です。両方を同時に申し込める場合もあります。
私自身は、SBI証券のNISA口座でつみたて投資枠を使い、三井住友カード(NL)でクレカ積立をしています。クレカ積立以外の買付代金は、ドコモの銀行からSBI証券へ自動で振り替わるよう設定しています。
2027年1月に始まる未成年向けNISA
2027年1月からは年齢要件が撤廃され、0歳から17歳の未成年者もつみたて投資枠を利用できるようになります。成人向けと異なるルールが多いため、分けて確認します。
- 対象は0歳から17歳の未成年者です。
- 年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。
- 利用できるのはつみたて投資枠だけで、対象となる一定の投資信託を、決まった時期に決まった金額ずつ積み立てます。成長投資枠や個別株は利用できません。
- 購入に使えるのは子ども本人のお金に限られ、子ども名義の銀行口座や証券口座にある資金を使います。
- 成人向けと異なり、金融機関を年単位で変更することはできません。
- 保有商品は売却できますが、売却代金は専用の口座で管理され、自由に引き出すことはできません。
- 12歳以降(小学6年生の1月以降)は、本人の教育費・生活費などに使う場合、本人の同意や所定書類などの条件を満たせば払出しができます。
- 払出し制限は、3月31日時点で18歳である年の1月1日に解除されます。1月3日〜4月1日生まれの場合は、成人向けNISAへの移行より1年早く解除されます。
- 1月1日時点で18歳である年から、18歳以上向けNISAへ自動的に移行します。
- 未成年の間に積み立てた商品の購入額は、成人後の非課税保有限度額1,800万円に含まれます。600万円が別枠で上乗せされるわけではありません。
12歳になる前でも、災害や病気などやむを得ない場合は、口座内の全資産を払い出して口座を廃止すれば、非課税で受け取れる場合があります。それ以外の理由で制限中に払い出すと、これまでの利益や、まだ売っていない商品の値上がり分(含み益)に課税され、口座は廃止されます。
私には対象年齢の子どもが2人いますが、使うかどうかはまだ決めていません。子どもの資金を家計の生活防衛資金とは分け、本人の将来資金として長く運用できるか、12歳になる前に資金が必要になった場合にどうするかも含めて判断します。
注意
2026年4月時点の法令に基づく説明です。払出し制限が解除される年より前に口座を廃止すると、災害などやむを得ない場合を除き、それまでに非課税で受け取った利益や、廃止時の含み益に課税されます。手続きの詳細は、利用する金融機関の公式情報で確認してください。
子ども名義の課税口座と未成年向けNISAの違い、親権者の手続き、学費に使うときの注意点は「子どもの株・投資信託の始め方」で詳しく説明しています。
よくある質問
NISAを使えば必ず儲かりますか?
いいえ。NISAは、条件を満たす利益に日本の税金がかからない制度です。投資の損益そのものは選んだ商品と相場次第です。値下がりすれば損をすることもあります。
つみたて投資枠と成長投資枠、どちらを使えばいいですか?
対象の投資信託を定期的に積み立てるなら、つみたて投資枠だけでも始められます。一括購入や個別株も考える場合は、成長投資枠も使えます。2つの枠を両方使う必要はなく、リスクは枠ではなく選ぶ商品によって決まります。
途中でお金を引き出せますか?
成人向けNISAでは、保有商品を途中で売却できます。ただし、売却を申し込んだ日に現金を引き出せるとは限りません。売却代金を受け取る日(受渡日)は商品ごとに異なります。必要な時期に値下がりしていることもあるため、生活費や近いうちに使うお金は別に確保します。
未成年向けNISAには別の払出し制限があります。
年の途中から始めると損ですか?
年の途中からでも始められます。その年に使わなかった年間投資枠は翌年へ繰り越せませんが、使い切るために無理な金額を投資する必要はありません。私は、早く始めることよりも、積立を長く続けることを重視しています。
NISAとiDeCoはどちらを優先すべきですか?
お金を引き出しやすいかを重視するなら、成人向けNISAが選択肢になります。NISAは保有商品を売却できますが、受渡日や値下がりの可能性には注意が必要です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出して運用する老後資金づくりの制度です。掛金の全額を、税金の計算対象となる所得から差し引けます(所得控除)。ただし、原則60歳まで引き出せません。生活防衛資金を先に確保する点は共通で、どちらが合うかは使う時期と目的で変わります。
NISAは毎月いくらから始められますか?
証券会社によっては毎月100円や1,000円から積み立てられます。金額の大きさより、家計に無理のない範囲かどうかを基準にします。慣れてきたら増やすこともできます。
NISAの利益について、確定申告は必要ですか?
NISAで非課税対象となる売却益や配当・分配金は、原則として確定申告不要です。
国内上場株式・ETF・REITの配当・分配金を非課税で受け取るには、受取方法を「株式数比例配分方式」(証券口座で受け取る設定)にします。配当等の基準日(配当などを受け取る権利が決まる日)までに手続きを終える必要があります。銀行や郵便局で受け取る設定では、NISAでも課税されます。通常の株式投資信託の分配金には、この手続きは必要ありません。
なお、米国株などの配当から現地で差し引かれた税金にはNISAの非課税が適用されません。NISA口座では、外国で納めた所得税などを一定の範囲で日本の税額から差し引く外国税額控除も使えません。証券口座と税金の注意点を「SBI証券と楽天証券の比較」にまとめました。
つみたて投資枠を使わず、成長投資枠だけを使えますか?
使えます。ただし、成長投資枠は年間240万円で、非課税保有限度額1,800万円のうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。つみたて投資枠の年間120万円のうち使わなかった分を、成長投資枠へ回すことはできません。成長投資枠でも定額の積立はできます。
成長投資枠で、つみたて投資枠と同じ投資信託を買えますか?
その投資信託が成長投資枠の対象で、利用する金融機関が取り扱っていれば買えます。同じ投資信託に年間120万円を超える額を積み立てたいときは、2つの枠を併用できます。
まとめ
対象の投資信託を積み立てるなら、つみたて投資枠だけでも始められます。一括購入や個別株も考える場合は、成長投資枠も使えます。生活費・生活防衛資金・予定支出を分け、無理のない金額から始めます。
NISA口座の開設と維持は無料です。金融機関によっては、申し込みから本人確認までの手続きをスマホで完結できます。
※掲載内容は執筆時点(2026年10月)の情報です。NISAの制度内容・投資枠・対象商品等は変更される場合があります。投資には元本割れのリスクがあり、本記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。利用前に金融庁や証券会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。

