返済額が増えても家計に余裕があるなら変動、苦しいなら固定
借り換えの効果は、残高・残りの期間・金利差の3つで大きく変わる。
住宅ローンの返済は、固定費の中でいちばん金額の大きい支出です。元税務担当の私が返済中の住宅ローンは固定金利で、今の借り換え金利より低いため、借り換えを見送りました。変動のまま続けるか固定へ切り替えるか、借り換えによる返済額の変化や住宅ローン控除への影響を解説します。
この記事でわかること
- まず今の契約を確認する。金利だけでなく、総返済額・諸費用・団信・手続きの負担で見る
- 残高2,000万円・残り25年で金利が0.5%下がると、総返済額は約140万円減る
- 金利が上がっている局面では、返済額を確定させるための借り換えという考え方もある
- 借り換えても住宅ローン控除は続くが、諸費用まで借りると対象額が減る
- 自分で計算しにくければ、借り換え診断のモゲチェックなどが候補になる
見直す前に確認すること
今の契約条件を確認すると、借り換える価値があるかどうかを判断しやすくなります。
契約の数字
- 現在の金利
- 固定金利か変動金利か
- ローン残高
- 残りの返済期間
- 毎月の返済額・ボーナス返済
関連する条件
- 団体信用生命保険の内容
- 借り換えにかかる諸費用
- 住宅ローン控除の継続条件
- 現在の収入や雇用状況
- 他の借入状況
借り換えのメリットとデメリット
メリット
- 毎月の返済額と総返済額が減ることがあります。
- 変動金利から固定金利に変えると、返済額を確定できます。
- 借り換え先で団信を選び直す場合は、現在の団信との保障内容の違いを確認します。
デメリット
- 諸費用がかかるので、金利が下がっても借り換えによる総返済額の減少分は小さくなることがあります。
- もう一度審査があります。収入や勤続年数、ほかの借入状況によっては審査に通らないことがあります。
- 健康状態によっては、新しい団信に入れないことがあります。
- 住宅ローン控除の対象額が変わることがあります。
- 手続きに日数がかかります。
なお、団信は、加入者が亡くなったときや、契約で定められた高度障害・身体障害の状態になったときに、残りのローンが保険金で返済される仕組みです。保障範囲や免責条件、疾病保障の有無は商品によって違います。別に入っている死亡保障との重複は、「団信を引いて死亡保障を決める」で説明しています。
三菱UFJ銀行は、ネットの「かんたん事前審査」なら最短翌日に結果を知らせるとしていますが、そのあとに正式審査と契約、登記が続きます。今のローンの完済日と新しい銀行の融資実行日を合わせる必要があるので、申し込みから借り入れまでには日数がかかります。
借り換えのイメージ
残高が多く、期間が長く、金利差が大きいほど効果が大きい
借り換えを検討したいケース
次のような場合は、住宅ローンを一度見直してみる価値があります。
- 借り入れから時間がたっている
- 借入時の金利が今の水準より高い
- ローン残高が大きい・残りの返済期間が長い
- 毎月の返済額を見直したい
- 当初の固定期間が終わる時期が近い
- 団信の内容も含めて確認したい
- 家計簿アプリで住宅ローン返済の負担が見えてきた
注意
該当しても、借り換えたほうがよいとは限りません。実際のメリットは、金利・残高・返済期間・諸費用・審査結果によって変わります。
税務担当だったころ、住宅ローン控除の申告を毎年数多く受け付けました。いまは私自身も、住宅ローンを返しながら控除を受けています。控除の期間中は税金が戻るため、繰上返済や借り換えで実際に減る支払額も変わります。残高や金利だけでなく、控除の残り年数も含めて、繰上返済や借り換えをするか決めます。
住宅ローン控除では、所得税から引ききれなかった控除額の一部が翌年の住民税から差し引かれます。この効果を見落とすと、戻る税金を少なく見積もってしまいます。
金利が上がっている今、借り換えをどう考えるか
2024年3月のマイナス金利解除から利上げが続き、2026年6月には日銀の政策金利が1.0%程度になりました。7月末の決定会合では、日銀の政策金利が据え置かれています。
いまの金利水準
住宅ローンの金利も上がっています。2026年9月1日時点では、変動金利は主要な銀行でおおむね年1.0〜1.3%です。フラット35(返済期間21〜35年・融資率9割以下)の最頻金利は年3.46%です(2026年9月資金受取分)。
ここでの変動金利は、基準金利から引き下げ幅を差し引いたあとの金利です。基準金利は、三菱UFJ銀行が年3.375%、みずほ銀行が年3.125%です(2026年9月1日現在)。三菱UFJ銀行の借り換えの変動金利は年1.245%、新規は年1.195%です。変動金利が年0.3〜0.4%台の銀行もあった数年前と比べると、「借り換えれば今より金利が下がる」とは言いにくい状況です。
これから上がるか
さらに、三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、2026年8月3日に短期プライムレートを年2.125%から年2.375%へ引き上げました。短期プライムレートに基づいて変動金利の基準金利を決める銀行が多いため、次の金利見直しで適用金利が上がる可能性があります。
いつ返済額に反映されるか
三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、その時期をすでに公表しています。三菱UFJ銀行は2026年9月1日に、基準金利を年3.125%から年3.375%へ引き上げました。この見直しが返済額に反映されるのは、毎月型では2026年11月の返済分から、年2回型では2027年1月の返済分からです。
みずほ銀行は、2026年9月30日までに年1.025%からの金利で借りた場合、2027年1月の返済分以降は年1.275%からになると案内しています。適用金利を見直す時期は銀行や契約によって違うので、返済予定表や銀行のお知らせで確認してください。
それでも、借り換えを検討できる人はいます
金利が全体に上がっている時期でも、基準金利からの引き下げ幅(優遇幅)は銀行や借入時期によって異なり、契約時に決まります。昔の契約で優遇幅が小さい場合は、今でも借り換えで適用金利が下がることがあります。
- 1%台後半〜2%台の固定金利で借りたままの人
- 当初の固定期間が終わって、金利の優遇幅が小さくなった人・まもなく小さくなる人
- 契約が古く、基準金利からの引き下げ幅が小さい人
変動金利で借りている人の選択肢は、大きく3つです
- 変動のまま続けて、返済額の増え方を確かめておく
次の金利見直しで毎月の返済額がどうなるかを、返済予定表や銀行のサイトで確認します。 - 固定金利へ借り換えて、返済額を確定させる
固定金利は変動金利より先に上がっているため、変動金利から切り替えると返済額が増える傾向があります。固定金利へ変更するのは、支払額を減らすためというより、今後の毎月の返済額を確定させるためです。 - 今の銀行に金利の引き下げを相談する
借り換えの見積もりを材料に、今の銀行と交渉できる場合があります。
どれを選ぶかは、返済額が増えたときにも家計から支払いを続けられるかどうかで決まります。金利上昇後の返済額を試算し、家計の余力や今後の見通しを踏まえて、変動を続けるか固定へ切り替えるかを考えます。
借り換えまでしなくても、今の銀行で変動から固定へ切り替えられる場合があります(金利タイプ変更)。この場合の手数料は、借り換えの諸費用より少ないことが多いので、まずは、現在借りている銀行の金利タイプ変更の条件を確認します。
私の住宅ローンの固定金利は現在の借り換え金利より低いため、今の契約を続けることにしました。同じように、借り換えないほうが有利な場合もあります。
変動金利の「5年ルール」「125%ルール」
多くの銀行の変動金利には、金利が上がっても毎月の返済額を5年間変えない「5年ルール」があります。見直し後の返済額を直前の1.25倍までに抑える「125%ルール」もあります。ただし返済額が変わらない間も利息の割合は増えていて、元金の減りは遅くなります。利息の負担は残ります。これらのルールがない銀行・商品では、見直し後の金利がそのまま返済額に反映されます。まず自分の契約に、5年ルールと125%ルールがあるかを確認してください。
借り換えで「いくら変わるか」の目安
たとえば残高2,000万円・残り25年ほどのローンで、金利が0.5%下がったとします。毎月の返済額はおよそ4,000〜5,000円減り、25年間の総返済額は約140万円減ります。残高が少なければ、総返済額の減少分も小さくなります。
金利が上昇している2026年9月時点では、過去に組んだ高い固定金利のローンで、借り換え後との金利差が0.5%になりやすいです。
この試算は、元利均等返済・ボーナス返済なし・金利が変わらないことを前提とし、諸費用は含めていません。
| 条件 | 効果の目安 |
|---|---|
| 得しやすい例 残高2,000万円・残り25年・金利0.5%差 | 毎月 約5,000円/総額100万円超の軽減も |
| 損しやすい例 残高1,500万円・残り10年・金利0.3%差 | 毎月 約2,000円/総額24万円ほどの軽減。諸費用が上回り割に合わないことも |
「残高1,000万円以上・残り期間10年以上・金利差0.3%以上」が一般的な目安です。ただし、この3つをぎりぎり満たす程度では、軽減額より諸費用のほうが大きくなります。残高1,000万円・残り10年・金利差0.3%の場合、軽減額は約16万円で、諸費用の目安20万〜30万円を下回ります。三菱UFJ銀行は公式サイトで金利差1%以上を目安に挙げています。
3つの目安だけでなく、諸費用を何年で回収できるかも借り換えを判断する材料になります。諸費用を1年あたりの軽減額で割った年数が、残りの返済期間より短ければ回収できます。
- 残高2,000万円・残り25年・金利差0.5%=年5.6万円の軽減。諸費用40万〜60万円なら7〜11年で回収
- 残高1,500万円・残り10年・金利差0.3%=年2.4万円の軽減。諸費用30万〜45万円だと10年では回収できない
- 残高1,000万円・残り10年・金利差0.3%=年1.6万円の軽減。諸費用20万〜30万円だと10年では回収できない
0.3%の金利差でも、残りの期間が長ければ諸費用を回収できます。逆に残りの期間が短いと、金利差が同じでも諸費用を回収できません。
ここでの軽減額は、元利均等返済で残りの期間を変えない場合の概算です。実際の金額は、借り換える前後の金利と返済方法で変わります。
諸費用に注意
借り換えには諸費用がかかります。諸費用の目安は借入額の2〜3%程度ですが、実際の金額は事務手数料が定率型(借入額の2.2%など)か定額型かで大きく変わります。
- 新しい銀行に払うもの
事務手数料、保証料、印紙税 - 登記にかかるもの
抵当権の設定にかかる登録免許税と、司法書士への報酬 - 今の銀行に払うもの
繰上返済(完済)の手数料 - 今のローンの抹消
抵当権を抹消する費用 - 戻ってくることがあるもの
保証料を前払いしている場合の返戻金
諸費用を比較するときは、借入額に対する割合だけでなく、見積書の合計額も確認します。軽減額が諸費用を上回るかどうかで、借り換える価値を判断します。
借り換えの手順
借り換えは、いまのローンを一括で返して、新しいローンに組み替える手続きです。三菱UFJ銀行の場合、事前審査、正式審査、契約、融資実行の順に進みます。融資が実行された日に、そのお金でいまのローンを完済します。今の銀行が設定した抵当権を抹消し、新しい銀行の抵当権を設定します。
必要な書類は、銀行と物件の種類によって違います。借り換えで共通して必要なのは、いまのローンの返済予定表や残高が分かる書類、収入を証明する書類、物件の登記に関する書類です。申し込む前に、各銀行のページで必要書類の一覧を見ておきます。
借り換えると住宅ローン控除はどうなるか
借り換えても住宅ローン控除は続けられますが、条件があります。控除の残り年数と借入額によって、受けられる控除額が変わります。
借り換え後も控除を受けるには、国税庁が示す次の条件を満たす必要があります。
- 新しいローンが、当初の住宅ローンを返すためのものであることが明らかであること
- 新しいローンの償還期間が10年以上であること
控除を受けられるのは、住み始めた年から数えた一定の年数です。控除期間は、借り換えても延びません。残り年数が少ないほど、借り換え後の控除総額も小さくなります。
注意したいのは、諸費用まで含めて借り換え直前の残高より多く借りた場合です。このときは、年末残高に次の割合をかけた金額が控除の対象になります。
控除の対象額の計算
控除の対象額は、新しいローンの年末残高 ×(借り換え直前の残高 ÷ 新しいローンの当初金額)で計算します。
たとえば借り換え直前の残高が2,000万円で、諸費用を含めて2,100万円借りた場合、対象になるのは年末残高の約95%です。諸費用を借入額に含めるかどうかで、控除される金額が変わります。
モゲチェックとは|運営会社と診断でできること
モゲチェックは、株式会社MFS(東証上場)が運営する住宅ローンの比較・診断サービスです。借り換えで返済総額にどのくらい差が出るか、どの金融機関が候補になるかをオンラインで調べられます。利用は無料です。ただし、診断結果やシミュレーションは、借り換えの成立や融資の承認を約束するものではありません。
- 借り換えで軽減できる金額
- 候補になる金融機関
- 金利や総返済額の比較
- 団体信用生命保険を含めた条件
- 借り換えまでの流れ
- メッセージでの相談
手元に用意しておく
- 現在の金利・ローン残高
- 残りの返済期間・毎月返済額
- 現在の収入や雇用状況
- 他の借入状況
公式サイトで見る
- 借り換え診断の流れ・前提条件
- 対応している金融機関
- 相談方法・費用
- 診断結果の見方
注意
診断結果は融資を保証するものではなく、借り換えで減らせる金額は契約条件によって変わります。最新の条件は必ず公式サイトで確認してください。
なお、私はモゲチェックを使っていません。ここに書いたのは、公式サイトで確認できる内容です。
借り換えメリットが出やすい3条件
モゲチェックの診断が向いている人・向いていない人
向いている人
- 住宅ローンを借りていて、家計を見直したい人
- 借り換えで返済額が下がるか確認したい人
- 複数の金融機関をまとめて比較したい人
- オンラインで診断や相談を進めたい人
- 金利だけでなく団信や総返済額も確認したい人
向いていない人
- 対面や電話で相談したい人
- 自分で金融機関と直接やり取りしたい人
- 診断に必要な情報を入力することに抵抗がある人
借り換えで得になるかどうかは、契約条件によって変わります。必要な数値を入力すると、借り換え診断の結果を確認できます。諸費用を含めた借り換え後の総返済額と、いまの総返済額との差が分かります。
よくある質問
借り換えの効果が出やすいのはどんな人ですか?
「ローン残高が多い」「残り期間が長い」「今より適用金利が下がる」の3つがそろうほど効果が大きくなります。目安は残高1,000万円以上・残り期間10年以上・金利差0.3%以上ですが、3つの条件をぎりぎり満たす程度では、諸費用が軽減額を上回ります。
借り換えには費用がかかりませんか?
事務手数料や登記費用などの諸費用がかかります。諸費用を含めても総返済額が減るかを、シミュレーションで確認します。
変動金利と固定金利はどちらがいいですか?
適した金利タイプは返済余力によって変わります。判断するときは、金利上昇後の返済額を毎月払い続けられるかを見ます。固定金利へ切り替えるかどうかは、切り替え後の返済額を試算し、現在との差を見て決めます。
今の銀行に金利を下げてもらうことはできますか?
交渉できる場合があります。借り換えの見積もりを持って今の銀行に相談すると、金利を引き下げてもらえることもあります。金利交渉と借り換えは、並行して進めることもできます。交渉材料になる見積もりを用意するときにも、無料の借り換え診断が使えます。
変動金利で借りています。金利が上がると返済額はすぐ増えますか?
多くの銀行では、金利が上がっても毎月の返済額は5年間変わらず(5年ルール)、見直し後の返済額も直前の1.25倍までに抑えられます(125%ルール)。ただし返済額のうち利息の割合が増えるため、元金の減りが遅くなります。これらのルールがない銀行・商品もあるので、まず自分の契約と返済予定表を確認してください。
金利が上がっている今でも、借り換えを検討する意味はありますか?
契約条件によっては、検討する余地があります。借入時の引き下げ幅(優遇幅)が小さい契約では、金利が上昇した現在でも、契約中の金利より低い金利に借り換えられることがあります。まず、いまの適用金利と契約条件を確認します。
まとめ
モゲチェックの無料診断に現在の金利・残高・返済期間・毎月の返済額を入力すると、諸費用を含めた借り換え後の返済総額と、現在の返済総額との差を試算できます。結果を見ただけでは、借り換えを申し込んだことになりません。
諸費用を回収できるかどうかも、診断結果で判断できます。
まず返済予定表を開いて、いまの金利と残高を無料診断の画面に入力してみましょう。
※掲載内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。金利・諸費用・団信・診断条件等は変更される場合があります。診断結果やシミュレーションは融資・借り換えを保証するものではありません。お申し込み前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
参考:フラット35 金利情報/三菱UFJ銀行「住宅ローン金利」/三菱UFJ銀行「住宅ローンのお借り換え」/三菱UFJ銀行「変動金利の基準金利見直しについて」/三菱UFJ銀行「短期プライムレート」/みずほ銀行「住宅ローンの金利一覧」/国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」

