金銭的なメリットは、諸費用込みの負担減で判断する
毎月の返済額が下がっても、完済までの負担が減るとは限らない。
住宅ローンの借り換えは、新しいローンで今のローンを一括返済することです。借り換えにかかる費用も含めて試算し、団信・住宅ローン控除・金利タイプの違いを確認します。そのうえで、今の契約を続ける・今の銀行で変更する・他行へ借り換える3案を比べます。私は条件を比べて全期間固定の契約を続けると判断しました。候補の銀行や適用金利がまだ分からない場合の調べ方も示します。
この記事でわかること
- 費用削減が目的なら、諸費用を含むこれからの支払額で継続と借り換えを比較。月額の低下だけでは負担減は決まらない
- 継続・今の銀行で変更・他行借り換えの3案を同じ条件で比較し、固定できる期間と家計の余力も見る
- 団信の保障と加入条件、審査、住宅ローン控除の残り期間・対象残高も、借り換えの判断を左右する
- 他行候補が分からなければ、モゲチェックの登録後の診断で探せる。簡易試算・診断・銀行から提示される条件を区別する
借り換えを比べる前に、今の契約を確認する
返済予定表や銀行のマイページなどで、現在の適用金利(自分のローンに使われている金利)・残高・残り期間・返済額を確かめます。他行の候補や適用金利がまだ分からない場合も、今の契約を比較の基準にできます。
団体信用生命保険(団信)は、加入している人が亡くなったときなど、契約で定めた条件を満たすと、住宅ローンの返済に保険金が使われる保険です。
| 確認項目 | 今の契約で把握すること | 比較に使う場面 |
|---|---|---|
| 適用金利・金利タイプ | 現在の適用金利、変動・全期間固定・固定期間選択型のどれか | 候補の金利と固定される期間を比べる |
| 残高・残りの返済期間 | 比較する時点のローン残高と、完済までの残り年数 | 同じ時点からの返済額・総額を試算する |
| 返済方式・返済額 | 元利均等か元金均等か、毎月の返済額・ボーナス返済の有無と金額 | 返済方式や期間の違いで月額だけが下がっていないかを見る |
| 団信 | 現在の保障範囲、保険金が支払われない条件(免責条件)など | 借り換え後の保障と加入条件を照合する |
| 住宅ローン控除 | 控除を受けているか、残りの控除期間 | 控除の継続要件と対象残高を確かめる |
元金は、利息を含まない借入金のことです。元利均等返済は、毎回の返済額(元金と利息の合計)が一定になるよう計算する方法です。元金均等返済は、毎回同じ額の元金に利息を加えて返す方法です。
現在の収入・雇用状況や、ほかの借入状況は、診断や新しい銀行の審査に関わります。借り換え費用や候補の金利は、比較先が分かった段階で調べます。
返済額や金利タイプを見直したい場面
現在の契約を把握したら、見直したい理由を挙げます。次のような場合は、今の条件と借り換え後の条件を比べる意味があります。
- 現在の適用金利が借り換え候補の金利より高く、差が大きい
- ローン残高が大きい・残りの返済期間が長い
- 毎月の返済額を見直したい
- 当初の固定期間が終わる時期が近い
- 団信の内容も含めて確認したい
- 家計簿アプリで住宅ローン返済の負担が見えてきた
該当しても、借り換えたほうがよいとは限りません。実際のメリットは、金利・残高・返済期間・諸費用・審査結果によって変わります。
諸費用を含めると、どれだけ変わるか
費用削減が目的なら、今のローンのこれからの返済総額と、借り換え後の返済総額に実質的な諸費用を加えた額を比べます。次の2つの試算例では、諸費用を自己資金で払い、住宅ローン控除と団信の違いを含めずに比べます。
諸費用を差し引いても負担が減る試算例
残高2,000万円・残り25年で、年1.5%から年1.0%へ変更する場合を試算します。元利均等返済・ボーナス返済なしで、変更前後の金利は25年間変わらず、諸費用は60万円と仮定します。
| 比較項目 | 概算 |
|---|---|
| 変更前の毎月返済額 | 約79,987円 |
| 変更後の毎月返済額 | 約75,374円 |
| 毎月の減少額 | 約4,613円 |
| 残り25年間の返済額の減少 | 約138.4万円 |
| 諸費用を60万円とした場合 | 差し引き約78.4万円の負担減 |
この表は金利が下がる借り換えの例です。変動の継続と固定への変更は、実際の契約金利と提示金利で別に試算します。
返済額が減っても、諸費用を回収できない試算例
同じく元利均等返済・ボーナス返済なしで、変更前後の金利が残り10年間変わらないと仮定します。残高1,000万円・残り10年で年1.5%から年1.2%へ変更する例では、返済額の減少は約16万円です。諸費用を20万〜30万円とすると、この例では費用のほうが大きくなります。
諸費用も新しい住宅ローンに含めて借りる場合は、その金額を借入額へ加え、諸費用分の利息も含めて計算し直します。返済総額に含めた同じ費用を、もう一度別に加えないようにします。
途中で売却や繰上返済を予定している場合は、その時点までの支払額と、残っているローンの金額(残債)を比べます。繰上返済は、毎月の返済とは別に、元金の一部または全部を予定より早く返すことです。
借り換えにかかる諸費用と保証料の返戻金
諸費用は、借入額と手数料方式によって変わります。事務手数料が借入額の2.2%の場合、登記費用などを加えると3%を超えることもあるため、割合だけで予算を決めず、見積書の合計で比べます。
借入額2,000万円で、事務手数料2.2%(44万円)、登録免許税0.4%(8万円)、司法書士報酬10万円と仮定すると、この3項目だけで62万円(借入額の3.1%)です。これは三菱UFJ銀行の借換シミュレーションの条件を使った計算例で、全銀行共通の料金ではありません。今の銀行への完済手数料など、ほかの費用は別に加えます。
- 新しい銀行に払うもの
事務手数料、保証料、印紙税 - 登記にかかるもの
抵当権(返済されない場合に、担保の土地や建物の売却代金から銀行などが優先して返済を受ける権利)の設定にかかる登録免許税と、司法書士への報酬 - 今の銀行に払うもの
繰上返済(完済)の手数料 - 今のローンの抵当権抹消にかかるもの
抵当権を抹消する費用 - 戻ってくることがあるもの
保証料を前払いしている場合の返戻金
費用削減が目的なら、返済額の軽減分が諸費用を上回るかを確認します。一方、固定への変更が目的なら、負担額だけでなく、返済額を確定できる期間と家計への影響も比べます。支払う諸費用の合計と、保証料の返戻金を差し引いた実質負担は分けて計算します。
残高・金利差と、費用を回収するまでの期間
三菱UFJ銀行は、金利差1%以上・残高1,000万円以上・残り期間10年以上を目安にしています。ただし、必要な金利差は諸費用や残り期間によって変わり、この3条件だけで負担減は決まりません。
諸費用の単純な回収年数は、自己資金で払う諸費用を、1年あたりに減る返済額で割って求めます。借り換え前後それぞれの金利が以後変わらず、残りの返済期間も同じ場合の目安です。
- 残高2,000万円・残り25年・年1.5%から年1.0%=年約5.5万円の減少。諸費用40万〜60万円なら約7〜11年で回収
- 残高1,500万円・残り10年・年1.5%から年1.2%=年約2.4万円の減少。諸費用30万〜45万円だと10年では回収できない
- 残高1,000万円・残り10年・年1.5%から年1.2%=年約1.6万円の減少。諸費用20万〜30万円だと10年では回収できない
諸費用を借りる場合、返済期間を変える場合、途中で売却や繰上返済をする場合は、単純な回収年数だけでは判断できません。
今の契約を続ける・今の銀行で変更する・他行へ借り換える
借り換えの試算だけで決めず、今の契約を続ける場合と、今の銀行で条件を変更する場合も比較します。費用を減らす目的と、金利を固定する期間や保障を変える目的を分けると、負担が増える場合でも、何を優先するかが明確になります。
借り換えで見直せること
- 毎月の返済額と総返済額が減ることがあります。
- 固定期間選択型は選んだ期間、全期間固定は原則として完済まで、金利と返済額を確定できます。
- 借り換えを機に、団信を保障内容の違う商品へ選び直せます。
固定期間選択型と全期間固定の違い
固定金利には、完済まで金利を固定する全期間固定金利と、3年・10年などの期間を選ぶ固定期間選択型があります。
| 金利タイプ | 返済額を見通せる期間 | 確認すること |
|---|---|---|
| 全期間固定金利 | 原則として完済まで | 変更直後の返済額と諸費用 |
| 固定期間選択型 | 選んだ固定期間中 | 終了後の適用金利・優遇幅・返済額 |
今の銀行で金利タイプを変更する場合は、手数料だけでなく、選べる固定期間、変更後の適用金利、固定期間終了後の条件も確認します。他行への借り換えとは手続きと費用が違うため、別の選択肢として比べます。
変動金利で借りている人の3案を比べる
3案の返済額は、同じ時点のローン残高・残りの返済期間・返済方式・ボーナス返済の有無をそろえて比べます。変動を続ける場合は、現在の適用金利に加え、金利が0.5ポイントまたは1.0ポイント上がる場合も仮に計算します。この幅は予測ではなく、家計への影響を調べるための仮定です。
| 選択肢 | 返済額の確認 | 費用・条件の確認 |
|---|---|---|
| 変動のまま続ける | 現在の引落額、金利上昇後の元金と利息の内訳、返済額見直し後の引落額 | 適用金利と返済額の見直し時期、5年・125%ルールの有無 |
| 今の銀行で固定へ変更 | 変更後の適用金利による毎月の返済額 | 変更手数料、固定期間、期間終了後の条件 |
| 他行の固定へ借り換え | 借り換え先が提示する適用金利による毎月の返済額 | 借り換え諸費用、固定期間、新しい団信 |
残高2,000万円・残り25年・元利均等返済・ボーナス返済なしという同じ条件で、残りの返済期間の初めから各金利を適用した計算例です。すべて仮定の金利で、実在商品の提示条件や将来予測ではありません。
| 計算に使う金利 | 毎月返済額の概算 | 年1.5%との差 |
|---|---|---|
| 年1.5%で計算 | 約79,987円 | 基準 |
| 年2.0%で計算 | 約84,771円 | 約4,784円増 |
| 年2.5%で計算 | 約89,723円 | 約9,736円増 |
| 全期間固定・年3.5%と仮定 | 約100,125円 | 約20,138円増 |
独自計算で、変更・借り換え費用、団信、住宅ローン控除は含めていません。変動金利を想定した行も、既存契約の次回引落額を示すものではありません。実際の返済額には、見直し時期や5年・125%ルールなどの契約条件が関係します。
この例の全期間固定を選ぶなら、年1.5%の計算より月約2万円増える返済額を家計から払い続けられるかを考えます。変動を続けるなら、金利上昇で返済負担が増えても、予定している生活費や教育費を確保できるかを確かめます。
適用金利が上がっても引落額が据え置かれる契約では、利息の割合が増え、元金の減りが遅くなる場合があります。固定へ変更すると直後から返済額が増える場合もあるため、固定できる期間とともに家計への影響を確認します。借り換えでは、諸費用、住宅ローン控除、団信の違いも加えて比べます。
借り換えの見積もりを材料に、今の銀行へ金利の引き下げを相談できる場合もあります。
変動金利と固定期間選択型は将来の金利が未確定です。金利不変で試算した完済までの総返済額は、将来の確定額ではありません。
団信・住宅ローン控除・審査で比較が変わる
金利と諸費用が同じでも、団信の保障・加入条件や住宅ローン控除の残り期間によって、借り換えの判断は変わります。新しいローンの条件を満たせるか、今の契約で受けている保障・控除がどう変わるかを、それぞれ確かめます。
団信は保障内容と加入条件を比べる
保障範囲や免責条件、疾病保障の有無は商品によって違うため、今の団信と借り換え先の団信を比べます。借り換え先の団信の加入条件を読み、自分が加入できるかも確かめます。
団信は、加入者が亡くなったときや、契約で定められた高度障害・身体障害の状態になったときに、残りのローンが保険金で返済される仕組みです。別に入っている死亡保障との重複は、「保険料を見直す」で説明しています。
新しい審査・加入条件と手続きの負担
- もう一度審査があります。収入や勤続年数、ほかの借入状況によっては審査に通らないことがあります。
- 健康状態によっては、新しい団信に入れないことがあります。
- 手続きに日数がかかります。
住宅ローン控除は残り期間と対象残高を確かめる
税務担当だったころ、住宅ローン控除の申告を毎年数多く受け付けました。いまは私自身も、住宅ローンを返しながら控除を受けています。
控除の適用中は、年末残高や所得税・住民税の状況によって実際の控除額が変わるため、繰上返済や借り換えの結果も変わります。控除の残り年数も、その損得を左右します。
住宅ローン控除は、条件を満たすと所得税から一定額を差し引ける制度です。所得税から引ききれなかった控除額の一部は、翌年の住民税から差し引かれます。この影響を見落とすと、借り換え前後の負担差を正しく比べられません。
借り換えても要件を満たせば、残りの控除期間は住宅ローン控除を受けられます。新しい借入額が借り換え直前の残高を上回る場合は、控除対象となる年末残高を調整します。
借り換え後も控除を受けるには、国税庁が示す次の条件を満たす必要があります。
- 新しいローンが、当初の住宅ローンを返すためのものであることが明らかであること
- 新しいローンが10年以上の償還期間であることなど、住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること
上の「償還期間」はローンを返済する期間で、「住宅借入金等特別控除」は住宅ローン控除の正式名です。
控除を受けられるのは、住み始めた年から数えた一定の年数です。控除期間は、借り換えても延びません。
新しいローンの当初金額が借り換え直前の残高を上回る場合は、新しいローンの年末残高をそのまま全額使わず、次の式で控除対象となる年末残高を計算します。
控除対象となる年末残高の計算
新しいローンの年末残高 ×(借り換え直前の残高 ÷ 新しいローンの当初金額)
借り換え直前の残高が2,000万円、新しいローンの当初金額が2,100万円、新しいローンの年末残高が1,995万円の場合は、次の金額になります。
1,995万円 × 2,000万円 ÷ 2,100万円 = 1,900万円
1,900万円は控除対象となる年末残高です。控除額そのものではなく、この金額だけで控除額が借り換え前より減るとも決まりません。実際の控除額は、控除率や上限、所得税・住民税の状況によって変わります。
私が全期間固定を続け、借り換えを見送った理由
私の住宅ローンは全期間固定金利です。借り換えを検討した際は、契約中の金利が比較した借り換え金利より低かったため、今の契約を続けることにしました。
比較候補が分からないときは、診断で何を調べられるか
他行の候補や適用金利がまだ分からず、自分で比較先を絞りにくい場合は、現在の契約情報から候補を探す方法があります。既に銀行から条件の提示を受けている場合は、その条件を今の契約と比べられます。
は、株式会社MFS(東証上場)が運営する住宅ローンの比較・診断サービスです。借り換えで返済総額にどのくらい差が出るか、どの金融機関が候補になるかをオンラインで調べられます。利用は無料です。
借り換えまでの流れを確認したり、メッセージで相談したりすることもできます。
公開の簡易試算・登録後の診断・銀行から提示される条件の違い
| 段階 | 調べること | 結果の読み方 |
|---|---|---|
| 公開の簡易試算 | 現在の条件と、入力した借り換え後の金利による返済額の差 | 入力条件に基づく参考値。候補銀行や実際の適用金利が確定するわけではない |
| 登録後の住宅ローン診断 | 現在の契約や本人情報を基に、比較候補と借り換えプランを調べる | 紹介する金融機関の範囲での診断。返済額や諸費用は試算で、実際の金額と異なる場合がある。融資承認ではない。 |
| 銀行から提示される条件 | 候補の銀行に、適用金利・費用・団信・融資条件を確かめる | 診断の数字をそのまま使わず、提示された条件で現在の契約と再比較する |
モゲチェックの公式案内では、固定金利で返済中の場合など、公開の簡易シミュレーターで正しく試算できない場合があるとしています。結果がゼロや小額というだけで、比較する価値がないとは決められません。
診断結果を見ても、借り換える義務はありません。
診断前に用意しておく情報
- 現在の金利・ローン残高
- 残りの返済期間・毎月返済額
- 現在の収入や雇用状況
- 他の借入状況
公式サイトで確認すること
- 借り換え診断の流れ・前提条件
- 対応している金融機関
- 相談方法・費用
- 診断結果の見方
診断結果を見るときの注意
モゲチェックの公開シミュレーターは、入力した借り換え後の金利が、残りの返済期間中に変わらない前提で試算します。変動金利を選ぶ場合、表示された軽減額は将来の確定額ではありません。結果を見るときは、金利タイプ、金利が変わる場合の扱い、諸費用、団信の条件が表示と合っているかを確認します。
診断を使うか、ほかの方法で比較するか
対面や電話で相談したい場合などは、金融機関に直接相談する方法とも比べます。診断に必要な情報を入力することへの抵抗も、使うかを決める判断材料になります。
複数の銀行の候補をまとめて調べたい場合は、ユーザー登録して住宅ローン診断を利用します。現在の金利や残高を確認できる返済予定表などを用意しておくと、契約状況を入力しやすくなります。
なお、私はモゲチェックを使っていません。ここに書いたサービス内容と試算条件は、公式サイトで確認したものです。
モゲチェックの無料診断へ銀行から提示される条件で比べ、手続きを確認する
銀行から条件が提示されたら、同じ時点の残高・残り期間などを基準に、次の項目を今の契約と比べます。今の銀行で条件を変更する場合も、選べる金利タイプ・期間・手数料を確かめます。
- 金利と返済条件広告の公表金利だけでなく、自分に適用される金利、返済方式、期間、毎月・ボーナス返済額をそれぞれ把握します。変動や固定期間終了後の金利が未確定なら、金利が変わる場合の家計負担も比べます。
- 費用と保障・控除銀行の見積もりに含まれる費用と含まれない費用を分け、今の銀行への完済費用、保証料の返戻、新旧の団信、住宅ローン控除の条件まで照合します。
- 今の銀行での変更や契約継続借り換えの見積もりを基に今の銀行へ相談できる場合もあります。今の契約を続ける場合も含め、目的に合うか、費用や返済額を無理なく払えるかを見て、申し込むか判断します。
借り換えの手順
借り換えは、いまのローンを一括で返して、新しいローンに組み替える手続きです。三菱UFJ銀行では、事前審査、正式審査、契約を経て、新しいローンのお金を受け取る「融資実行」に進みます。そのお金を受け取った日に、今のローンを完済します。今のローンの抵当権の登記を消し、新しいローンの抵当権を登記します。
必要な書類は、銀行と物件の種類によって違います。借り換えで共通して必要なのは、いまのローンの返済予定表や残高が分かる書類、収入を証明する書類、物件の登記に関する書類です。申し込む前に、各銀行のページで必要書類の一覧を見ておきます。
三菱UFJ銀行は、ネットの「かんたん事前審査」なら最短即日に回答するとしていますが、そのあとに正式審査と契約、登記が続きます。今のローンの完済日と新しい銀行の融資実行日を合わせる必要があるので、申し込みから借り入れまでには日数がかかります。
注意
現在の返済が難しい場合、固定金利への変更で返済額が増えることがあります。まずは借入先に、返済方法を変更できるか相談します。
住宅金融支援機構も、機構融資を返済中の利用者に対し、返済中の金融機関へ相談するよう案内しています。審査によって希望どおりにならない場合や、変更後の総返済額が増える場合があります。
変動金利の返済ルールと金利情勢
変動金利では、適用金利と毎月の返済額が変わる時期を分けて見ます。金利が上がった場合の試算と、実際の次回引落額は同じとは限りません。
変動金利の「5年ルール」「125%ルール」
5年ルールがある元利均等返済では、適用金利が変わっても、毎月の返済額は次の見直しまで据え置かれます。125%ルールがある場合は、返済額を見直すときも、直前の返済額の125%が上限です。
ただし、125%ルールは金利や利息の総額を抑えるルールではありません。毎月の返済額が変わらない間も利息の割合が増え、元金の減りが遅くなることがあります。
これらのルールが適用されるかは、銀行・商品・返済方式によって違います。三菱UFJ銀行では、元金均等返済に5年ルールと125%ルールは適用されません。適用の有無は、自分の契約内容や返済予定表で確認できます。
変動金利で5年ルールや125%ルールが適用されていても、固定への変更時や固定期間終了時には適用されない商品があります。三菱UFJ銀行の双方向金利選択型住宅ローン(毎月型)では、これらの時点で返済額を再計算し、5年ルール・125%ルールを適用しません。変更後の返済額が現在の1.25倍までに収まると考えず、適用条件と返済額を銀行に確認します。
同商品では、固定金利の適用中に同じ契約の金利タイプや固定期間を変更できません。固定期間中の変更可否と、期間終了後の金利・返済額も合わせて確認します。他行への借り換えの可否は、別の審査・契約条件によります。
2026年10月の金利水準
住宅ローンの金利は上がっています。2026年10月1日時点では、3大メガバンクの変動金利は、優遇後の公表下限でおおむね年1.2〜1.5%台です。適用条件は商品や審査などによって異なります。
フラット35(返済期間21〜35年・融資率9割以下・新機構団信付き)では、取扱金融機関が提示する金利の中で最も多い金利(最頻金利)が年3.83%です(2026年10月資金受取分)。
ここでの変動金利は、基準金利から引き下げ幅を差し引いたあとの金利です。基準金利は、三菱UFJ銀行・みずほ銀行ともに年3.375%です(2026年10月1日現在)。三菱UFJ銀行の借り換えの変動金利は年1.245%、新規は年1.195%です。
変動金利が年0.3〜0.4%台の銀行もあった数年前と比べると、「借り換えれば今より金利が下がる」とは限らなくなっています。
短期プライムレートの改定と変動金利への影響
短期プライムレートは、銀行が信用力の高い企業に短期間のお金を貸すときの基準金利です。三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、2026年8月3日に短期プライムレートを年2.125%から年2.375%へ引き上げ、11月2日にはさらに年2.625%へ引き上げると発表しています。短期プライムレートに基づいて変動金利の基準金利を決める銀行が多いため、次の金利見直しで適用金利が上がる可能性があります。
適用金利が変わる時期と、毎月の返済額が変わる時期
変動金利では、適用金利が変わる時期と、口座から引き落とされる毎月の返済額が変わる時期は同じとは限りません。
三菱UFJ銀行は、2026年6月の短期プライムレート改定を受けて、基準金利の見直しを案内しました。対象となる既存契約では、毎月型は2026年11月の返済分、年2回型は2027年1月の返済分から新しい利率が反映されます。いずれも、契約で決められた日と金額に従う「約定返済」を指します。前の節にある11月2日の短期プライムレート改定の反映日を示したものではありません。
ただし、5年ルールが適用される契約では、適用金利が上がっても、次の返済額見直しまで毎月の返済額は変わりません。その間は、返済額に占める利息が増え、元金の減りが遅くなります。当初借入日が2008年12月以前のローンなど、扱いが異なる契約もあります。
みずほ銀行では、借入中の変動金利を4月と10月に見直し、見直した金利を3か月後の返済から適用します。2026年9月30日までに年1.025%~で借りた場合は、10月の見直しにより、2027年1月返済分から年1.275%~になります。年1.025%~は借入額の2.2%のローン取扱手数料がかかる型の下限です。
適用金利を見直す時期は銀行や契約によって違うため、返済予定表で適用金利、毎月の返済額、元金と利息の内訳を分けて確認します。
それでも、借り換えで金利が下がる人はいます
金利が全体に上がっている時期でも、基準金利からの引き下げ幅(優遇幅)は銀行や契約によって異なります。固定期間選択型では、固定期間終了後に優遇幅が変わる商品もあります。昔の契約で優遇幅が小さい場合は、今でも借り換えで適用金利が下がることがあります。
- 1%台後半〜2%台の固定金利で、変動金利への借り換えも比較したい人
- 当初の固定期間が終わって、金利の優遇幅が小さくなった人・まもなく小さくなる人
- 契約が古く、基準金利からの引き下げ幅が小さい人
よくある質問
借り換えの効果が出やすいのはどんな人ですか?
借り換え前後の金利差とローン残高が大きく、残り期間が長いほど、返済額の減少分は大きくなりやすいです。ただし、諸費用を含めた負担減はこの3点だけで決まりません。本文の残高1,000万円・残り10年・金利差0.3%の例では、返済額の減少約16万円に対して仮定した諸費用が20万〜30万円で、費用のほうが大きくなります。
借り換えには費用がかかりませんか?
事務手数料や登記費用などの諸費用がかかります。諸費用を自己資金で払うか借りるかも含め、借り換え前後の負担総額を試算します。
変動金利と固定金利はどちらがいいですか?
一律には決められません。固定金利への変更は今後の金利上昇に備えられますが、変更直後から返済額が増える場合があります。変更後の返済額を家計から無理なく払い続けられるかが、向く金利タイプを左右します。全期間固定と固定期間選択型のどちらか、諸費用はいくらかによっても変わります。
今の銀行に金利を下げてもらうことはできますか?
交渉できる場合があります。借り換えの見積もりを持って今の銀行に相談すると、金利を引き下げてもらえることもあります。金利交渉と借り換えは並行して進められます。無料診断で借り換え候補を探し、銀行から実際の金利や諸費用の見積もりを取る方法もあります。
変動金利で借りています。金利が上がると返済額はすぐ増えますか?
適用金利が上がっても、毎月の返済額が同時に増えるとは限りません。5年ルールがある元利均等返済では、次の返済額見直しまで毎月の返済額を据え置き、元金と利息の内訳が変わります。5年ルールと125%ルールの有無は、銀行・商品・返済方式によって違います。返済予定表で、適用金利、毎月の返済額、元金と利息の内訳を確認します。
金利が上がっている今でも、借り換えを検討する意味はありますか?
契約条件によっては、検討する余地があります。借入時の引き下げ幅(優遇幅)が小さい契約では、金利が上昇した現在でも、契約中の金利より低い金利に借り換えられることがあります。比較の出発点は、いまの適用金利と契約条件です。
まとめ
借り換えの金銭的なメリットは、諸費用を含むこれからの支払額を、今の契約を続ける場合と借り換える場合で比べて判断します。金利タイプ、団信、住宅ローン控除が変わる場合は、その違いも含め、今の契約を続ける・今の銀行で変更する・他行へ借り換える3案を照合します。
他行の候補を自分で絞りにくく、比較を進めたい場合は、返済予定表などで現在の条件を把握してから、登録後の無料診断で候補を調べられます。診断後は、銀行が示す実際の金利・諸費用・団信で比較し直します。診断の利用だけで、借り換えや負担減が確定するものではありません。
※掲載内容は執筆時点(2026年10月)の情報です。金利・諸費用・団信・診断条件等は変更される場合があります。診断結果やシミュレーションは融資・借り換えを保証するものではありません。お申し込み前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
出典
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
- フラット35 金利情報
- 住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」
- 三菱UFJ銀行「住宅ローン金利」
- 三菱UFJ銀行「住宅ローンのお借り換え」
- 三菱UFJ銀行「変動金利の基準金利見直しについて」
- 三菱UFJ銀行「返済方法の選び方」
- 三菱UFJ銀行「短期プライムレート」
- 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年9月18日)
- 三菱UFJ銀行「住宅ローンのお手続きの流れ」
- みずほ銀行「住宅ローンの金利一覧」
- みずほ銀行「変動金利方式の仕組み」
- みずほ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年9月18日)
- 三井住友銀行「住宅ローン金利」
- 国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」
- モゲチェック「住宅ローンシミュレーション」

