リボと税金の滞納があるなら、投資より返済と納付が先
リボ払いや税金の滞納がなければ、生活費の半年分を確保し、残ったお金を投資や副業に回す。
私は市役所の窓口で、住民税を納められない人の相談を受けてきました。なので、投資を始めるよりも先に片づけたほうがいいものがあると考えています。お金を優先する順番や生活防衛資金の目安、投資と副業のどちらから始めるかを解説します。
この記事でわかること
- 回せる金額は、固定費を見直したあとに決めやすい
- 高金利の借入と税金の滞納は、生活防衛資金より先に片づける
- まず生活防衛資金を確保し、投資は余裕資金で、副業は続けられる範囲で
- 正解は一つではなく、投資か副業か、続けられるほうを選ぶ
まずは「今の余裕」を見てみる
投資や副業を考える前に、「今、自由に使えるお金がどれくらいあるか」を確かめておく必要があります。見るのは、毎月残る金額と、急な出費に備えた貯金額です。この2つが分かれば、投資や副業にいくら向けられるかを判断できます。どちらかが分からない場合は、家計簿アプリなどで確認しておいてください。
私自身は、毎月いくら残っているかをマネーフォワード MEで確認しています。
毎月残るお金は、次の順番で考えます。
| やること | 目安 |
|---|---|
| 1. 高金利の借入を返す | リボ・カードローンは年15〜18% |
| 2. 滞納している税金を納める | 住民税の延滞金は年9.1% |
| 3. 数年以内に使うお金は現金で置く | 住宅の頭金、入学費用 |
| 4. 生活防衛資金をためる | 生活費の半年分(月30万円なら180万円) |
| 5. 投資と副業に回す | 投資は余裕資金、副業は続けられる範囲 |
生活防衛資金より先に片づけるもの
生活防衛資金を貯めるより先に、手をつけたほうがいいものが3つあります。どれも、投資より返済・納付・現金での確保を優先したほうがよいからです。どれかが残っているあいだは、投資をしないほうがよいと私は考えています。
- 高金利の借入
リボ払いの手数料率やカードローンの金利は、年15〜18%になることがあります。リボ払いの手数料は、楽天カードの一般カードで年17.64%、JCBは2026年10月から年18.00%になる予定です(楽天カードの案内/JCBの案内)。投資でこれを上回るのは簡単ではありません。 - 税金の滞納
住民税の延滞金は、令和8年(2026年)は納期限から1か月以内が年2.8%、それを過ぎると年9.1%です(東京都北区の案内)。 - 数年以内に使うと決まっているお金
住宅の頭金や入学費用など、数年以内に使うお金は、値動きのある商品での運用には向きません。
高金利の借入を返す場合でも、急な出費に備えて生活費1か月分ほどは手元に残します。手元のお金をゼロにすると、急な出費を現金で支払えなくなります。
私は住民税の納付相談に対応していました。いちばん多かったのは「払えない」という声です。そのときは分割納付を申し出られます。住民税を滞納したままお金を投資に回すより、早めに市区町村へ相談したほうが延滞金の負担を抑えやすくなります。相談の進め方は「住民税の督促状が届いたら」に書きました。
生活防衛資金を先に考える
生活防衛資金とは、急な出費や収入の落ち込みに備えるためのお金です。予定外にまとまったお金が必要になることは、誰にでもあります。病気やけがによる出費、転職にともなう収入減、家電や車の修理費、冠婚葬祭の費用などです。手元のお金で対応できれば、借金やカードのリボ払いに頼らずにすみます。
医療費がかさんだ場合は、1か月の自己負担に上限があります。2026年8月の引き上げ額については、「医療費の自己負担はいくらまでか」の記事で説明しています。
いくら必要か
必要な額は人それぞれです。ひとり暮らしか家族と暮らしているか、住宅ローンや家賃があるか、収入が安定しているかによって変わります。まずは1か月の生活費を計算し、その何か月分を確保するか考えます。目安は半年分です。
なぜ半年分なのか
理由は2つあります。ひとつは、収入が止まってから失業給付が入るまで、時間がかかることです。自己都合で辞めた場合、ハローワークで手続きをした日から7日の待期と1か月の給付制限があり、初回の入金までおおむね1か月半かかります(厚生労働省のQ&Aより。給付制限は2025年4月に2か月から1か月へ短縮されています)。5年間に2回以上自己都合で退職した場合や、重い理由で解雇された場合の給付制限は3か月です。退職してから手続きに行くまでの日数は、7日の待期や1か月の給付制限に含まれません。
もうひとつは、給付が始まっても次の仕事がすぐに決まるとは限らないことです。生活費3か月分では、失業中の支出をまかなえないことがあります。
| 収入の状況 | 目安 |
|---|---|
| 会社員で収入が安定している | 半年分 |
| 転職を考えている・収入に波がある | 半年〜1年分 |
| 自営業・フリーランス | 1年分 |
たとえば生活費が月30万円の会社員なら、半年分は180万円です。
半年分はまとまった額なので、まず1か月分、次に3か月分を目標にすると貯め始めやすくなります。私はボーナスを家計に含めず、支給されたらまず生活防衛資金の補填に充てています。それでも余る分は、貯金や投資、副業、暮らしを豊かにする支出に回しています。
私は生活防衛資金を、ふだん使う生活費の口座とは分けて持っています。メインで使っているドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)には、目的別口座という機能があります。お金を「生活費」「生活防衛資金」「翌月のカード支払い用」などの口座に分けています。防衛資金として確保しているのは、生活費の半年分ほどです。生活費と同じ口座に入れると使える金額を見誤りやすいため、口座を分けておくと生活防衛資金を取り崩しにくくなります。
お金の置き場所の順番
まず生活費の半年分を確保してから投資や副業へ
投資は「余裕資金」で考える
副業は「続けられる範囲」で考える
副業も、毎月の収入を増やす方法のひとつです。ただし、副業を始めてすぐに収入を得られるとは限りません。ブログやSNS、ネットショップ、スキル販売など、小さく始められる副業は多くありますが、最初の収入を得るまでには時間がかかります。サーバー代やツール代といった費用がかかることもあるので、生活を圧迫しない範囲で始めてください。
私自身、BASEでアパレルのネットショップを3年やっていました。いちばん売れた年の売上は814万円で、そこから仕入れ代などの経費を支払いました。在庫管理や発送、問い合わせ対応も自分でしていました。副業の始め方は、「副業で月1万円を目指す」の記事にまとめました。
ヒント
副業を始める前に、毎月いくら使えるか、毎週何時間使えるか、収入が出るまで続けられるかを考えておきます。
投資と副業、どちらから考えるか
どちらが正解ということはありません。両方に手を広げるより、今の自分に合うほうから小さく始めるのが無理のない方法です。
投資が向いている人
余裕資金があり、長い期間をかけて資産を増やしたい人です。
副業が向いている人
使える時間があり、収入を少し増やしたい人です。
投資はまだしないほうがいい人
家計への不安が残る人は、まず貯蓄を増やし、生活防衛資金の確保を優先します。
浮いたお金の流れ
自動で積み立てる設定にすると続けやすい
たとえば固定費の見直しで浮いたお金を、次のように振り分けます(配分は一例で、家計や目的によって変わります)。
| 毎月浮いた額 | 配分の例 |
|---|---|
| 1万円 | 防衛資金がまだ 防衛資金 7,000円/つみたて 3,000円 貯まったあと 貯金 5,000円/つみたて 5,000円 |
| 2万円 | 防衛資金がまだ 防衛資金 1万5,000円/つみたて 5,000円 貯まったあと 貯金 1万円/つみたて 1万円 |
| 5万円 | 防衛資金がまだ 防衛資金 4万円/つみたて 1万円 貯まったあと 貯金 2万5,000円/つみたて 2万5,000円 |
私自身は、浮いたお金をまず生活防衛資金に回し、その後NISAのつみたて投資に充ててきました。配分は最初から固定せず、毎月手元に残る金額に合わせて投資額を変えています。
税金がかかる条件を先に知っておく
副業も投資も、収入や利益が出てから税金がかかります。始める前に条件を知っておくと、申告が必要かを判断しやすくなります。
年末調整を受けている会社員の場合、副業などの所得が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります(国税庁)。20万円以下なら所得税の申告は要らない場合がありますが、住民税にはこの20万円の基準がないので、市区町村への申告が必要です。条件は「副業の確定申告はいくらから」と「副業と住民税の通知書」にまとめています。
窓口では、ライバーになった人から税金や経費について相談を受けたことがありました。回答できたのは一般的な内容だけです。新しい形の副業でも、申告や経費の基本的な考え方は従来と変わりません。
投資については、NISA口座で得た利益に税金はかかりません。課税口座だと、利益に約20%の税金がかかります(金融庁「NISAを知る」)。税率は、所得税15%と住民税5%に復興特別所得税を加えた20.315%です。
iDeCoは支払った掛金が所得控除になりますが、原則60歳まで引き出せません。生活防衛資金を用意している途中なら、まず現金の確保を優先します。私はiDeCoを使わず、NISAを優先しています。
次に進むための確認
すべてを完璧にそろえる必要はありません。
- 毎月のお金の流れが見えた
- 固定費を見直した
- 自由に使えるお金が分かった
- 急な出費に備えるお金を考えた
- 投資や副業に使える金額を決めた
よくある質問
浮いたお金は、まず何に使うべきですか?
まず貯めるのは生活防衛資金(生活費の半年分)です。これがあれば、急な出費があっても生活費とは別の資金から支払えます。ただし、高金利の借入や税金の滞納があるときは、返済や納付を先にします。
貯金と投資の割合はどう決めればいいですか?
生活防衛資金が貯まるまでは貯金を優先し、貯まったら「当面使わない余裕資金」を投資に回すのが基本です。数年以内に使う予定があるお金は投資に向きません。
投資はいくらから始めればいいですか?
月数千円から始められます。最初に、毎月の自動積立を設定します。金額を増やすのは慣れてきてからにしてください。
副業と投資はどちらを優先すべきですか?
一度に両方を始めると負担が大きくなります。余裕資金があるなら投資から、使える時間があるなら副業からです。投資は使う金額、副業は使う時間を決め、余裕が出てからもう一方を考えると負担を抑えやすくなります。
生活防衛資金が貯まるまで、投資は始めてはいけませんか?
原則は生活防衛資金が先です。ただ、貯まるまで何もしないという意味ではありません。生活防衛資金を貯めながら、投資の習慣づくりとして月数千円を積み立てる方法もあります。私自身、防衛資金を貯めながら、少額のつみたて投資も続けていました。生活防衛資金を優先し、生活費に響かない金額だけを投資に回します。
まとめ
まずは毎月の残額を確かめて、高金利の借入や税金の滞納がないかを見ます。どちらかがあれば、その返済や納付から始めます。なければ、まず生活防衛資金の確保から始めます。
※掲載内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。投資には元本割れのリスクがあります。本記事は特定の投資・商品を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の状況に応じて行ってください。

