高金利の借入や税金の滞納があるなら、投資より返済・納付への対応が先
投資は、数年以内に使うお金と生活防衛資金を分け、当面使う予定のない余裕資金で考える。
急な出費や収入減に備える貯金は、家族構成や収入の安定性によって必要な額が変わります。私は生活防衛資金を優先して貯めながら、生活費に影響しない少額の積立投資を続けていました。この記事で貯金の目安やお金の振り分け例、少額投資を並行する条件をもとに、今の家計で投資を始めるかを判断できます。
この記事でわかること
- 高金利の借入と税金の滞納には、投資より先に対応する
- 数年以内に使うお金と生活防衛資金は、投資資金と分ける
- 高金利の借入や税金の滞納がなく、数年以内の予定支出と当面の生活費を確保し、毎月の黒字から防衛資金を貯め続けられる場合は、目標到達時期を確かめて少額投資を並行する方法もある
- 余裕資金があっても、値下がりへの不安が生活に影響する場合や、商品の仕組みを理解できない場合は投資を急がない
投資に回せるお金を確かめる
投資を考える前に、今ある預貯金から使える金額と、毎月の収入から積み立てられる金額を分けて確かめます。
- 今ある預貯金から回せる額:次の給料日までの生活費や支払い予定額、数年以内の予定支出用の貯金、生活防衛資金を除いた金額。
- 毎月の手取りから回せる額:生活費、年払い費用の月割り、予定支出への積立、防衛資金への積立を除いた金額。
カードの引き落とし待ちのお金は、支払い用として残します。同じ支出を二重に差し引かないよう集計し、出した金額のうち、値下がりを受け入れられる範囲で投資額を考えます。金額が分からない場合は、家計簿アプリなどで確認できます。
私自身は、毎月いくら残っているかをマネーフォワード MEで確認しています。
| 確認するもの | 対応 |
|---|---|
| 高金利の借入・税金の滞納 | 投資より返済・納付への対応を優先。税金は借入の完済を待たず窓口へ相談 |
| 数年以内に使うお金 | 住宅の頭金、入学費用などを現金で確保 |
| 生活防衛資金 | 生活費の半年分を目安に現金を優先。目標額に達する前も、条件を満たせば少額積立を並行できる |
| 投資 | 上記と分けた、当面使う予定のない余裕資金 |
| 副業 | 使える時間と初期費用を投資とは別に確認 |
投資より先に対応するもの
投資より先に対応するものは、高金利の借入、税金の滞納、数年以内に使うお金です。借入の返済と税金の納付は、どちらかが終わるのを待つ必要はありません。高金利の借入や税金の滞納がある間、または予定支出を現金で確保できていない間は、返済・納付や現金の確保を優先します。
- 高金利の借入
リボ払いは、まだ支払っていない代金や、設定した支払いコースに応じた額を毎月払う方法です。残っている代金に応じて手数料がかかります。
リボ払いの手数料率やカードローンの金利は、年15〜18%になることがあります。楽天カードの一般カードでは、リボ払いの手数料率が実質年率17.64%です。実質年率は、手数料の負担を1年あたりの割合で示したものです。JCBのショッピングリボ払いは、2026年10月1日以降の新規利用分から実質年率18.00%が順次適用され、カードによって適用日が異なります。
投資した金額に対し、年15〜18%を上回る利益を安定して得ることは、簡単ではありません。 - 税金の滞納
住民税の延滞金は、納期限(税金を納める期限)を過ぎたときに、遅れた日数などに応じて加わるお金です。2026年中の割合は、納期限の翌日から1か月を経過する日まで年2.8%、その翌日以後は年9.1%です。 - 数年以内に使うと決まっているお金
住宅の頭金や入学費用など、数年以内に使うお金は、値動きのある商品での運用には向きません。
高金利の借入を返す場合も、税金を納める場合も、急な出費に備える現金は手元に残します。目安は生活費1か月分ほどです。現金を使い切ると、急な出費で新たな借入が必要になることがあります。
私は住民税の納付相談に対応していました。いちばん多かったのは「払えない」という声です。一括納付が難しい場合は、納付書に記載された担当窓口へ相談してください。住民税の相談先は市区町村です。
相談や通常の分割納付だけで、延滞金が自動的に軽減されるわけではありません。
徴収猶予は税金の納付を、換価の猶予は税金に充てるための財産の売却などを、一定期間待ってもらう制度です。申請・審査を経ていずれかが認められると、猶予期間中の延滞金の全部または一部が免除される場合があります。相談の進め方は「住民税の督促状が届いたら」に書きました。
生活防衛資金を先に考える
生活防衛資金とは、急な出費や収入の落ち込みに備えるためのお金です。急な出費の例は病気やけがの治療費、家電や車の修理費、冠婚葬祭の費用で、収入が落ち込む例は転職です。手元のお金で対応できれば、借金やカードのリボ払いに頼らずにすみます。
公的医療保険が適用される医療費には、高額療養費制度により、毎月1日から末日までの自己負担額に上限(自己負担限度額)が設けられています。限度額は年齢や所得などによって異なり、入院時の食事代や差額ベッド代などは対象外です。対象外の費用も現金で備えます。2026年8月の制度見直しについては、「保険料を見直す」の記事で説明しています。
いくら必要か
必要な額は、家族構成、住居費、収入の安定性、収入が減ったときに利用できる給付などによって変わります。次の半年分・1年分は、この記事で使う目安です。
この記事では、生活費を、住居費・食費・水道光熱費など、収入が減っても続けて必要になる支出として考えます。貯金や投資への積立は含めません。年払いの税金・保険料などは、月割りで生活費に含めるか、別枠の予定支出に分け、二重に数えないようにします。確保する額は、1か月の生活費に月数を掛けて出します。
| 収入の状況 | 目安 |
|---|---|
| 会社員で収入が安定している | 半年分 |
| 転職を考えている・収入に波がある | 半年〜1年分 |
| 自営業・フリーランス | 1年分 |
たとえば生活費が月30万円の会社員なら、半年分は180万円です。
失業中に必要な現金を考える
失業給付は、退職後すぐに振り込まれるわけではありません。離職理由などによって、支給されない一定の期間(給付制限)が設けられる場合があります。
その期間がある場合は、終了後にハローワークで失業の認定を受けてから支給されます。認定では、求職活動や就労状況などを確認し、支給の対象となる失業の日を決めます。振込は認定日の約7日後です。離職理由や手続き・認定の日程によって入金時期が変わるため、それまでの生活費を現金で確保します。
給付が始まっても、次の仕事がすぐに決まるとは限りません。生活費3か月分では、失業中の支出をまかなえないことがあります。
生活防衛資金の貯め方と保管方法
半年分はまとまった額なので、まず1か月分、次に3か月分と、段階的に目標を立てられます。
私はボーナスを家計に含めず、支給されたらまず生活防衛資金の補填に充てています。補填しても余る分は、貯金や投資、副業、家族で使うお金などに回しています。
私は生活防衛資金を、ふだん使う生活費の口座とは分けて持っています。メインで使っているドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)には、目的別口座という機能があります。お金を「生活費」「生活防衛資金」「翌月のカード支払い用」などの口座に分けています。防衛資金として確保しているのは、生活費の半年分ほどです。
生活費と同じ口座に入れると使える金額を見誤りやすいため、口座を分けておくと生活防衛資金を取り崩しにくくなります。
投資は「余裕資金」で考える
投資に回すのは、生活費、数年以内に使うお金、生活防衛資金とは分けた、当面使う予定のない余裕資金です。投資は長期でお金を増やす方法の一つですが、利益が出続けるとは限りません。資産の価値が、投資した金額を下回る「元本割れ」もあります。
余裕資金があっても、値下がりへの不安が日常生活に影響するなら、その金額は投資に回すには多すぎます。投資額や商品は、どの程度の損失を受け入れられるかで決まります。
投資信託は、多くの投資家から集めたお金をまとめ、専門家が株式などで運用する商品です。少額から買える商品もあります。毎月など決まった間隔で一定の金額ずつ商品を買う方法を、積立投資といいます。
金額を決める前に、仕組みと元本割れのリスクを確認します。理解できない商品は、値下がりしたときに持ち続けるか売るかを判断できません。証券口座の選び方は、「SBI証券と楽天証券どっち?」の記事で説明しています。買う商品の選び方は、「投資信託の選び方」の記事にまとめました。
暗号資産の購入も考えている場合は、bitbankの最低購入条件と売却・出金までの費用も予算に当てはめて確かめられます。
副業に使える時間と費用を確かめる
副業は収入を増やす選択肢で、余裕資金を運用する投資とは役割が異なります。生活防衛資金を貯めている途中でも、費用をほとんどかけずに情報収集や準備を進めることはできます。
仕入れ、広告、サーバー、ツールなどに費用をかける場合は、生活費・予定支出・生活防衛資金と分け、家計に影響しない予算を決めます。収入が出るまで時間がかかることもあります。
私自身、BASEでアパレルのネットショップを3年やっていました。いちばん売れた年の売上は814万円でしたが、そのうち約6割は仕入れ代でした。在庫管理や発送、問い合わせ対応も自分でしていました。副業の始め方は、「副業はなにから始める?」の記事にまとめました。
副業に使える金額、1週間に使える時間、収入が出るまで続けられる期間をそれぞれ確認します。
家計に合わせて貯金・投資の配分を決める
投資と副業を同時に始める必要はありません。投資に回すお金と、副業に使う費用は分けて考えます。
固定費の見直しで浮いたお金も、決まった割合ではなく、家計の状態に合わせて振り分けます。
| 家計の状態 | 配分を決めるときに確認すること |
|---|---|
| 防衛資金が目標額に達していない | 目標額までの不足額と、いつまでに貯めるかをもとに、毎月の貯金額を決める。少額投資を並行する場合は、投資後の貯金額で到達時期を確かめる。 |
| 防衛資金と予定支出を確保できている | 残るお金のうち、当面使う予定がなく、値下がりを受け入れられる範囲で投資額を考える。 |
| 急な出費で防衛資金を取り崩した | 積立投資の減額・停止も含め、現金の補充を優先する。 |
家計が赤字になった場合も、収支を見直し、積立投資の減額や停止を検討します。今後の積立投資を止めることと、保有している商品を売ることは別です。売却が必要かは、支払いに使う現金が足りるか、いつ必要か、商品を持ち続けるリスクを確認して判断します。
生活防衛資金が目標額に達していない間は、現金の確保を優先します。
高金利の借入や税金の滞納がなく、数年以内の予定支出と当面の生活費を確保したうえで、毎月の黒字から防衛資金を継続して貯められるかを確認します。こうした条件を満たす場合は、少額投資を並行する方法もあります。
投資後の貯金額で目標にいつ到達できるかを計算し、その間の収入減や急な支出への備えも考えて判断します。
例えば、防衛資金の目標まで残り150万円、毎月回せるお金が3万円なら、全額を貯金すると50か月です。毎月5,000円を投資に回し、貯金を2万5,000円にすると60か月かかります。
※説明用の仮の計算です。毎月の収支が一定で、ボーナス・預金利息・途中の取り崩しは考慮していません。投資したお金は生活防衛資金に含めません。
私自身は、生活防衛資金を貯めている間も、生活費に影響しない少額のつみたて投資を続けていました。防衛資金の補填を優先し、毎月手元に残る金額に合わせて投資額を変えていました。
投資・副業の税金と申告の条件
副業の所得や投資の利益は、所得の額や口座の種類などによって税金の扱いが変わります。申告が必要になるかどうかも、この条件で決まります。
年末調整は、勤務先が対象となる給与の1年分の所得税などを計算し、給与から天引きした額との差を精算する手続きです。
ここでは、給与を1か所から受けて年末調整を受け、給与収入が年2,000万円以下の会社員を想定します。その給与のすべてが税金の天引き(源泉徴収)の対象となることも条件です。
その場合、副業などの給与・退職所得以外の所得の合計が年20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。
給与以外の副業の報酬は、収入から必要経費を差し引いた所得で判断します。所得税の確定申告が不要な場合でも、副業所得については住民税の申告が原則必要です。条件は「副業の確定申告で損する人・危ない人」と「普通徴収にしたのにバレる4パターン」にまとめています。
副業で増える税金をいくら残しておくかは、「副業の税金は何割残せばいい?」にまとめました。
投資については、NISA口座で保有する上場株式や投資信託の売却益は、日本では非課税です。
上場株式や投資信託などを課税口座で売却して利益が出ると、原則20.315%の税金がかかります。内訳は、所得税15%と住民税5%に復興特別所得税を加えたものです。
特定口座(源泉徴収あり)は、証券会社が口座内の売却で出た利益や損失などを計算し、税金を差し引いて納める口座です。
この口座で得た上場株式等の売却益は、口座ごとに確定申告をしないことを選べます。申告不要を選んだ所得は、会社員の20万円の判定に含めません。所得税と住民税は口座で徴収されるため、副業所得の住民税申告とは扱いが異なります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分でお金(掛金)を積み立て、選んだ商品で運用して老後に受け取る制度です。支払った掛金は、税額を計算する前の所得から差し引けます(所得控除)。ただし、原則60歳まで引き出せません。
生活防衛資金が目標額に達していないうちは、引き出せないお金を増やすと、急な出費に回せる現金が減ります。私はiDeCoを使わず、NISAを優先しています。
投資・副業を始める前の確認項目
- 毎月のお金の流れと残る金額が分かった
- 高金利の借入と税金の滞納が残っていない
- 数年以内に使うお金を現金で分けた
- 生活防衛資金の目標額と現在額を確認した
- 上記に影響しない金額を、投資の余裕資金として分けられる
- 商品の仕組みと元本割れの可能性を理解し、値下がりしても生活に支障のない金額を決めた
- 副業は、使える時間と初期費用を投資とは別に決めた
よくある質問
浮いたお金は、まず何に使うべきですか?
高金利の借入や税金の滞納がある場合は、投資より返済・納付への対応を優先します。どちらもなければ、数年以内に使うお金を現金で確保し、次に生活防衛資金を貯めます。投資に回すのは、それらと分けた余裕資金です。
貯金と投資の割合はどう決めればいいですか?
数年以内に使うお金と生活防衛資金を先に分けます。生活防衛資金が目標額に達するまでは貯金を優先し、達したあとは当面使う予定のないお金を投資に回します。割合を固定せず、お金の目的と使う時期で決めます。
投資はいくらから始めればいいですか?
投資信託には月数千円から積み立てられる商品もあります。ただし、始められる最低額と家計から回せる金額は別です。予定支出と生活防衛資金を分けたうえで、生活に影響しない金額を決めます。
副業と投資はどちらを優先すべきですか?
投資は余裕資金、副業は使える時間と初期費用で判断します。余裕資金がない間も、費用をほとんどかけずにできる副業の情報収集や準備は進められます。費用をかける場合は、生活費や生活防衛資金と分けて予算を決めます。
生活防衛資金が貯まるまで、投資は始めてはいけませんか?
原則は生活防衛資金が先です。
高金利の借入や税金の滞納がなく、数年以内の予定支出と当面の生活費を確保し、毎月の黒字から防衛資金を貯め続けられるかを確認します。こうした条件を満たす場合は、少額投資を並行する方法もあります。
投資後の貯金額で目標にいつ到達できるか、収入減や急な支出に対応できるかを確かめて判断します。
まとめ
投資の前に、高金利の借入と税金の滞納、数年以内に使うお金、生活防衛資金を確認します。借入と滞納は、どちらかが終わるのを待たずに対応できます。
予定支出や生活防衛資金が不足している間は現金を優先し、少額投資を並行する場合も生活に影響しない金額に限ります。投資はそれらと分けた余裕資金で考え、商品の仕組みと値下がりに耐えられる金額も確認します。副業は使える時間と初期費用で判断します。
※掲載内容は執筆時点(2026年10月)の情報です。投資には元本割れのリスクがあります。本記事は特定の投資・商品を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の状況に応じて行ってください。

