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住民税の申告だけ必要な人は?副業・年金・無収入のやり方

住民税の申告が必要なのは副業・年金・無収入の人で、確定申告や年末調整を済ませた人は不要と示す図

住民税の申告が要るのは、確定申告をしていない人

確定申告をしていなくても、勤め先が給与支払報告書を出していれば必要ない。

一方で、確定申告は不要でも、住民税の申告が必要になる人もいます。私は市役所の住民税担当として、この申告を3年間受け付けていました。窓口には副業や掛け持ちをしている人も来ましたが、最も多かったのは前年に収入がなかった人でした。

この記事でわかること

  • 確定申告や年末調整の内容は市区町村に回るため、済ませた人は原則、住民税の申告は不要
  • 副業の所得が20万円以下でも、住民税に特例はないので申告が要る。ただしアルバイトなどの給与なら、勤め先から金額が届くので不要
  • 年金だけの人は控除を反映させたいときに申告する。ただし所得税が引かれているなら確定申告をする
  • 申告がない人がいると世帯の軽減が適用されず、同居する家族の保険料にも影響することがある
  • 収入がなかった人は非課税証明書のために申告する。記載が少なくすぐ終わり、期限を過ぎても受け付けてもらえる

確定申告なしで住民税の申告が必要になる仕組み

所得税は申告する人が税額を計算しますが、住民税は市区町村が計算して、本人に通知します。市区町村には、①勤め先や年金の支払者からの報告書、②税務署からの確定申告データ、③本人の住民税申告書が届きます。

①か②の情報だけで所得と控除を確認できれば、③の住民税申告書は不要です。確定申告のデータは市区町村へ送られ、年末調整を受けた人の給与情報は勤め先から報告されます。

一方、どの経路からも情報が届かなければ、市区町村はその人の所得状況を確認できません。

住民税の申告が必要な人

住民税の申告には、提出が必要な場合と、義務はなくても申告しておいたほうがよい場合があります。

住民税の申告が要るかどうかの見分け方

確定申告をした住民税の申告は不要
給与1か所で年末調整を受け、ほかに所得がない住民税の申告は不要
給与だけで、年末調整を受けていない給与支払報告書が出ていれば不要。控除を足すなら出す
確定申告をせず、給与以外の所得がある申告が必要
確定申告も年末調整もなく、収入がなかった義務の有無は自治体による。必要に応じて申告する

提出義務がある人

  • 副業の所得が20万円以下で、確定申告をしない人(「20万円以下なら申告不要」は所得税だけのルールで、住民税に20万円の特例はありません。ただし副業がアルバイトなどの給与で、その勤め先が給与支払報告書を出しているなら、市区町村に金額が届いているので申告は要りません)
  • 勤め先が給与支払報告書を出していない人(その年の給与が30万円以下で、年の途中で辞めた人については、会社に提出義務がありません。地方税法第317条の6)

出しておいたほうがいい人

  • 収入がなかった人(無職・専業主婦や専業主夫・学生など。義務があるかどうかは自治体で案内が分かれます)
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合も対象です。勤め先から給与支払報告書が出ていれば、給与額と天引きされた社会保険料の情報は市区町村に届いています。ただし、退職後に自分で払った国民健康保険や国民年金の保険料、生命保険料控除などは反映されないままです
  • 公的年金以外に収入がなく、医療費控除などを住民税に反映させたい場合も対象です(年金の支払額そのものは、支払者から市区町村に報告されています)。公的年金等の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら所得税の確定申告は要りませんが、控除を反映させるには住民税の申告が必要です。ただし年金から所得税が引かれている人は、住民税の申告ではなく確定申告をすれば、所得税も戻ることがあります

無収入の人の扱いは、自治体によって違います

地方税法では、1月1日時点でその市区町村に住んでいる人に申告を求め、給与や年金の支払報告書が出ている人などを除いています(317条の2)。無収入の人はこの除外条件に当てはまりませんが、条文では、所得割がかからないと認められる人のうち、市町村の条例で定める人も申告不要としています。

そのため、無収入の人に申告を求めるかどうかは自治体によって異なります。鎌倉市のように「前年中の収入が無かった場合も、収入の無かったことの申告が必要となります」と案内する自治体があります。一方で北区のように「申告義務はありませんが、国民健康保険、介護保険など保険料算定の基礎資料にもなるため、申告をお願いしています」と案内する自治体もあります。

どちらの場合も、申告すれば非課税証明書が発行され、保険料の計算にも所得の情報が使われます。

副業の20万円ルールについては、「副業の確定申告で損する人・危ない人」にまとめています。給与を2か所からもらっている場合については、「ダブルワークの確定申告」で考え方を説明しています。

住民税の申告が不要な人

  • 確定申告をした人(内容が市区町村に回るので、二重に出す必要はありません。ただし確定申告書の第二表にある「住民税に関する事項」を書き忘れると、寄附金税額控除や16歳未満の扶養親族などは反映されません)
  • 給与1か所で年末調整を受けていて、ほかに所得がない人
  • 勤め先が給与支払報告書を出している人(年末調整を受けていなくても、市区町村に給与額が届いていれば申告は要りません。控除を足すなら出します)

家族の税法上の扶養に入っている人も、申告が要らないことがあります。扶養している人の申告内容から市区町村が本人の扶養関係を把握できるため、本人の申告なしで非課税証明書を発行できる場合があります。私が勤務していた自治体では、本人の申告なしでも発行できました。

これが成り立つのは、扶養している人が同じ市区町村にいる場合です(同じ世帯であることを条件にする自治体もあります)。市区町村が見られるのは、その市区町村に住んでいる人の申告データだけです。別の市区町村に住む親の扶養に入っている学生などは、自分で申告します。

扶養情報だけを基に発行する証明書では、本人の所得額を確認できません。北区は「所得金額が未記載の非課税証明書」と案内していて、収入額が0円であることまで求められる場合には使えません。

本人の申告が要るかどうかは自治体によって違います。証明書が必要なら、先にお住まいの市区町村へ確認してください。

無収入でも申告したほうがいい理由

窓口には、副業以外の理由で申告に来る人もいました。副業の所得が20万円以下で住民税の申告に来た人は、3年間でも多くありませんでした。

収入がなかった人の申告を、「ゼロ申告」「0円申告」と呼ぶ自治体もあります。呼び方は異なりますが、提出するのは同じ住民税の申告書です。

収入がないのに申告する理由は、主に3つあります。

1つ目は非課税証明書です。保育園や公営住宅の申込み、奨学金の申請、家族の扶養手続きなど、「収入がないことの証明」を求められる場面があります。申告がないと、市区町村がその人の収入の有無を確認できない場合があります。扶養情報から分かる場合を除き、非課税証明書も発行できません。

住民税がかからない目安

単身で給与収入だけの人なら、2026年度分(2025年中の所得)から収入110万円以下で住民税がかかりません。2025年度分までは100万円でした。収入から差し引く給与所得控除の最低保障額が、55万円から65万円に上がったためです。ただしこの110万円は市区町村の級地区分がいちばん高い場合の金額で、区分によっては106万5千円か103万円になります。

扶養している家族がいる人は、住民税がかからない収入の上限がさらに上がります。また、最低保障額は2027年度分から69万円に上がります。2027年度分と2028年度分は5万円が加わって74万円となり、いちばん高い区分では単身の上限が119万円です。上乗せはこの2年だけで、2029年度分からは69万円に戻ります。

非課税になる収入の上限に近い人は、お住まいの市区町村へ確認してください。

2つ目は国民健康保険です。その保険料(自治体によっては保険税)には所得に応じた軽減の仕組みがあり、軽減対象の判定には所得の情報が要ります。この判定は世帯単位で、世帯主と加入者のうち1人でも申告がないと、世帯の全員が軽減を受けられません。申告がない人がいると、世帯の軽減が適用されず、同居する家族の保険料にも影響することがあります。申告がないと、高額療養費の自己負担限度額や入院時の食事代には、負担額の高い区分が適用されます。

3つ目は国民年金です。保険料の免除は、本人と配偶者、世帯主の前年所得で審査されます。20歳以上50歳未満の人が使える納付猶予は、本人と配偶者の所得だけで審査され、世帯主の所得は対象になりません。実家暮らしで親の収入が多い人でも、納付猶予が認められることがあります。所得証明書を添える必要はありませんが、市区町村に前年所得の情報がないと、日本年金機構が所得を確認できません。

申告しないとどうなるか

無申告のまま国民健康保険料が決まり、納付書が自宅に届きます。軽減が反映されていない金額です。理由を確認するため窓口を訪れ、そこで初めて申告が必要だったと分かるケースもありました。

あとから申告すれば、国民健康保険料が計算し直されます。ただし、国民健康保険税ではなく保険料を徴収する自治体があります。その場合は、その年度の最初の納期の翌日から2年が過ぎると、払いすぎた分は原則として還付されません。納付書が届いてから対応するより、必要な住民税の申告を先に済ませておくほうが手間を減らせます。

非課税証明書は、保育園の申込み期限の前や各種手続きで必要になることが多く、無申告なら証明書を取る前に申告から始めることになります。

住民税申告のやり方(持ち物・期限)

  • 時期
    期限は3月15日で、土日と重なるときは翌開庁日です。受付の開始日は自治体によって違い、確定申告に合わせて2月16日からのところが多いです。この期限を過ぎても提出できます。私のいた市役所でも、住民税の申告書は年間を通して受け付けていました。
  • 様式
    市区町村のサイトからダウンロードするか、窓口でもらいます。
  • 持ち物
    本人確認書類と、マイナンバーの分かるものです。収入があった人は源泉徴収票など収入額の分かる資料を、控除を受ける人は控除証明書や医療費の明細を持っていきます。源泉徴収票が手元にない場合については、「源泉徴収票がなくても申告できるのか」で対応を説明しています。
  • 書く量
    収入がなかった人がゼロ申告をする場合は、本人確認書類を提示し、申告書に氏名や住所などを書いて提出します。自治体によっては、生活費をどうまかなっていたか(家族からの援助、遺族年金や失業給付などの非課税の収入)を書く欄があります。様式は自治体で違いますが、記入する項目は多くありません。窓口では、職員に確認しながら記入できます。
  • 出し方
    窓口、郵送、オンラインです。2026年度分(2025年中の所得)の申告からは、全市区町村でeLTAXを使って住民税を申告できます。eLTAXにはマイナンバーカードと2つの暗証番号、カードを読み取れるスマートフォンかICカードリーダーが要り、申告できるのはいまのところ2026年度分だけです。カードがない人と、それより前の年度分を出す人は、窓口か郵送で提出します。
  • 出す先
    その年の1月1日に住んでいた市区町村です。住民税はその日の住所地で課税されるので、年明けに引っ越した人は、いまの住所ではなく前の市区町村に出します。

急ぎで非課税証明書が必要なとき

私のいた自治体では、窓口で本人確認のうえその場で申告してもらい、非課税証明書を即日発行できました。その日のうちに受け取れるかは自治体の運用によるので、急ぐ場合は電話で確認してから窓口へ行ってください。私が勤務していた自治体では、保育園の申込みや奨学金の申請で、急ぎの発行を希望する人が多くいました。

よくある質問

一度申告すれば、来年からは不要ですか?

毎年出します。住民税は前年の所得をもとに計算されるので、非課税証明書が要るなら申告も毎年必要です。収入がない状態が続いていても同じです。

期限を過ぎてしまいました。もう出せませんか?

提出できます。期限を過ぎても受け付けてもらえます。ただし、申告が遅れると国民健康保険料の再計算や証明書の発行も遅れるので、気づいた時点で提出してください。

副業の所得が20万円以下です。確定申告と住民税の申告、どちらを出せばいいですか?

提出するのは、確定申告か住民税の申告のどちらか一方です。確定申告をすれば住民税の申告は不要で、二重に出す必要はありません。副業先で所得税が源泉徴収されているなら、確定申告のほうが税金が戻ることがあります。

家族の扶養に入っていても申告は必要ですか?

自治体によります。扶養している人の申告から本人の扶養関係を把握できるため、本人が申告しなくても非課税証明書を出せるところもあります。私が勤務していた自治体では、本人の申告なしでも発行できました。扶養している人が別の市区町村に住んでいる場合は、自治体が扶養関係を把握できないため、本人が申告します。証明書が必要なら、先に市区町村へ確認してください。

学生のバイト収入だけでも申告は必要ですか?

バイト先から給与支払報告書が出ていれば、原則不要です。年の途中で辞めたバイト先の分が出ていない場合や、非課税証明書が必要な場合は申告します。

まとめ

市区町村に所得情報が届いていないと、非課税証明書を発行できないことがあり、国民健康保険料の軽減対象かどうかも判定できません。副業をしている人、年金だけの人、収入がなかった人も、確定申告をしないなら住民税の申告が要ることがあります。

申告書には氏名や住所、収入の有無などを記入し、期限後でも提出できます。申告が必要な場合は、納付書が届いたり証明書が必要になったりする前に済ませておくとスムーズです。

※私は税理士ではありません。掲載内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。住民税の申告の受付方法や運用は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の案内をご確認ください。

参考:e-Gov法令検索「地方税法」(第317条の2・住民税の申告)東京都北区「住民税の申告が必要な方」荒川区FAQ「収入がなかったので申告をしていません。非課税証明書は発行してもらえますか」北区FAQ「収入が無かった場合の住民税の申告」江戸川区「2026年度分住民税から適用されるもの」北区「国民健康保険料の賦課決定の期間制限」鎌倉市「前年中に収入が無くても申告は必要か」福井市「市民税・県民税の非課税の基準」名古屋市「令和9年度以降適用される市民税・県民税に関する主な税制改正」eLTAX「個人住民税申告に係る特設ページ」日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

この記事を書いた人

たっくー

たっくー

元税務担当
確定申告受付1,000件以上
投資14年

元・自治体職員。税務の窓口で確定申告を1,000件以上受け付けてきました。今は会社員で、副業(ネットショップ・ブログ/いちばん売れた年で814万円)と投資14年の実体験があります。この両方をもとに、副業とお金のリアルを書いています。

※個別の税務相談は税理士・税務署へ。

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