副業用の口座は、事業を始めたあと、売上が入る前に分けると管理しやすい
口座の商品区分と事業利用の条件を確認し、屋号を付けるかどうかはそのあとに決める。
副業を始めて2か月目、まだ売上が1円もない時期に口座を分けました。屋号は付けず、氏名だけの口座名義にしました。口座のほかに、副業用のクレジットカード・ノートパソコン・ネット回線も、必要になった順にそろえました。経費にできる範囲は道具ごとに違い、私用でも使うものは按分します。
私は元自治体職員で、税務窓口を3年間担当し、確定申告を1,000件以上受け付けました。自分でもBASEでアパレルのネットショップを運営し、青色申告をe-Taxでしてきました。
この記事でわかること
- 副業の口座を必ず分けておく必要はないが、事業を始めたあと、売上が入る前に分けておくと、あとで明細を探さずに済む
- 銀行の商品区分・口座名義・自分の使い分けは別。事業目的で使える商品を確認してから、屋号を付けるか決める
- クレジットカード・ノートパソコン・ネット回線は、今あるもので始めて、必要な順にそろえる
- 経費の扱いは道具ごとに違う。パソコンは購入金額と使い方、ネット代は業務使用割合、カード払いは明細と領収書・請求書を確認する
- 税金用のお金は使わずに残す。必要な割合と納付時期は、所得や納付方法によって変わる
副業用の銀行口座を分ける時期と、選ぶ基準
家計用とは別に、副業のお金をまとめる口座があると、収支を把握しやすくなります。副業用の口座には、売上を入金し、経費とカード代を支払い、税金の分を取り分けます。これらを家計用と分けておくと、いくら稼いでいくら使ったのかが分かりやすく、確定申告のときの集計も早く済みます。
確定申告のために、副業用の口座を家計用と分ける法律上の義務はありません。ただ、事業を始めたあと、売上が入る前に分けると、明細を整理する手間を減らせます。
分けないままだと、どこで困るか
税務窓口では、家計用の明細から副業分を拾おうとして困っている人を見てきました。その人と一緒に、通帳の取引をひとつずつ確認したこともあります。そのときは「副業の口座と家計の口座は分けたほうがいいかもしれませんね」とお伝えしました。
分けていないと、確定申告の前に、生活費と混ざった明細から副業分だけを探します。会計ソフトに口座を連携する場合も、家計用と副業用が混ざると確認に手間がかかります。家計用の口座をつなぐと生活費の取引まで取り込まれるので、あとから事業と関係ない取引を外す作業が増えます。副業の入出金だけを記録した口座をつないでおけば、この作業は要りません。
私は副業のお金を家計とは別の口座にまとめていたので、freeeでは売上と経費の仕訳を早く進められました。目的は口座を増やすことではなく、副業のお金を家計と分けて管理することです。
どの銀行にするか
「銀行口座を選ぶ」では、お金を目的別に仕分けしやすいドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)と、楽天のサービスとまとめて使える楽天銀行を比べています。副業用口座を選ぶときは、まずその商品を事業目的で利用できるか確認し、利用できる口座の中から手数料や会計ソフトとの連携で選びます。
私は家計用にドコモの銀行を使い、ネットショップを運営していた当時は楽天銀行の個人口座を副業用にしていました。現在の規定で楽天銀行を同じ用途に使うなら、個人ビジネス口座を選びます。
なお、住信SBIネット銀行は2026年8月3日に「ドコモSMTBネット銀行」(ブランド名「ドコモの銀行」)に変わりました。口座番号やサービスはそのまま使えます。
いつ分けるか
確定申告のために、口座を分ける法律上の義務はありません。いつ分ければ手間が少ないかを基準にします。
私は副業を始めて2か月目に、副業用の口座を作りました。そのときはまだ売上が1円もありませんでしたが、売上が入ったときに家計のお金と混ざるのを避けたかったからです。2か月目の時点ですでに副業の支払いが数回あったため、カードの引き落とし先も同じ時期にその口座へ変えました。
売上が増えてから分けようとすると、それまでの入出金は家計の明細に埋まったままになります。分けないままだと、確定申告の前に副業分を探す作業が残ります。先に口座を作っておけば、その作業は要りません。
私が口座を分けた順番
売上が1円もない時期に分けたので、あとから明細を探さずに済みました
分けたときに増える手間
口座を1つ増やすので、いいことばかりではありません。
- 口座開設の手続きと本人確認に日数がかかります。
- 家計用と副業用のあいだでお金を動かすと、振込手数料がかかることがあります。
- 残高を見る場所が1つ増えます。
私は、家計用の口座やカードは増やしすぎないほうが管理しやすいと考えています。それでも、売上が入る前に副業用の口座を1つ分けました。私の場合は、副業の支払いを数回した時点で1枚を副業用に分け、引き落とし先も変更しました。家計用の口座は1つにまとめています。
口座を分けても、会社に伝わるのは防げません
副業用の口座を作っても、それだけで勤務先に知られにくくなるわけではありません。住民税の通知など、別の経路から分かることがあります。
副業の所得を確定申告すると、その所得が住民税の計算に反映されます。給与から住民税を引いている会社には、市区町村から特別徴収税額決定通知書が届きます。私はこの通知書を作って発送していました。そこに載るのは税額で、口座をいくつ持っているかは分かりません。
通知書から会社に何が伝わるかは、「普通徴収にしてもバレる4パターン」に書いています。
副業用口座の種類と、屋号を付けるときの注意点
個人事業向け口座は、副業を始めたばかりでも作れるか
銀行の商品区分と口座名義は別です。商品区分には個人口座や個人事業向け口座があり、名義には氏名のみと屋号+氏名があります。さらに、家計と兼用するか、副業専用にするかは、自分の使い分けです。
まず、屋号での口座開設に対応していない銀行があります。ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)は「団体名、および屋号を使用した名義での口座開設は承っておりません」と公式サイトに書いています。この銀行では、個人事業主でも個人名義の口座になります。
個人事業向け口座の申込条件や必要書類は、銀行によって異なります。楽天銀行の個人ビジネス口座は、事業開始前を受付対象外とし、事業内容を確認できる書類として、次のいずれか1つの写しを求めています。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
- 個人事業開始申告書
- 確定申告書 第一表
- 各種許認可証
屋号を付ける場合は、提出書類に屋号の記載が必要です。楽天銀行では「氏名のみ」「氏名+屋号」「屋号+氏名」の名義を選べますが、屋号だけの名義にはできません。
書類を提出すれば必ず開設できるわけではありません。楽天銀行は、電話で事業内容を確認したり、追加資料の提出を求めたりする場合があり、審査結果によっては開設できないと案内しています。売上実績の有無だけで可否が決まるとは公表していません。
開業届の控えに、いま印はありません
令和7年1月から、税務署は申告書等の控えに収受日付印を押さなくなりました。窓口に提出した控えを銀行へ見せても、受け付けたことを示す印はありません。楽天銀行はこの変更を受けて、提出した開業届などと、税務署名・申請日を書いたメモを併せて出すよう求めています。電子申告で出した場合は、受信通知も添えます。
私は屋号付きの口座を作っていません。副業用の口座を家計と分けておけば、収支を把握しやすく、確定申告も進められたからです。取引先から屋号入りの口座名義を求められるなど、氏名だけの名義では不都合があるときに検討します。
副業用口座は普通の個人口座でいい?楽天銀行の例
屋号を付けるかどうかより先に、口座の種類を確かめてください。楽天銀行の口座取引規定では、通常の個人口座を個人事業目的に利用できず、個人ビジネス口座の開設を案内しています。
どこからが「個人事業目的」なのかは公表されていません。副業の規模や所得区分だけで判断せず、口座をどう使うかを確認し、迷う場合は申込前に楽天銀行へ問い合わせます。
個人ビジネス口座は、個人口座にログインして申し込みます。楽天銀行の個人口座は一人一口座なので、家計用と副業用を個人口座で2つ持つことはできません。個人口座と個人ビジネス口座なら分けて持てます。
私はネットショップの売上を、楽天銀行の個人口座で受けていました。いまネットショップの売上を受ける口座を作るなら、個人ビジネス口座を開きます。
注意
口座を事業に使えるかどうかは、銀行ごとに定めが違います。副業の入金先を決めるときは、その銀行の口座取引規定を先に確認してください。
副業用の口座を選ぶときは、次の3つを分けて考えます。
| 確認すること | 分類の例 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 銀行の商品区分 | 個人口座・個人事業向け口座 | 事業目的で利用できるか |
| 口座名義 | 氏名のみ・屋号+氏名 | 屋号を付けられるか、必要書類は何か |
| 自分の使い分け | 家計と兼用・副業専用 | 家計の入出金と混ざらないか |
「口座を分けること」「事業目的で利用できる商品を選ぶこと」「屋号を付けること」は、それぞれ別です。まず事業目的で使える商品かを確認し、その中から手数料や会計ソフトとの連携で選びます。屋号を付けるかどうかは、そのあとに決めます。
なお、銀行の商品区分や開業届の提出だけで、副業の所得区分が事業所得に決まるわけではありません。銀行の申込条件と税務上の所得区分は、別に判断します。
楽天銀行の申込手順
楽天銀行の個人ビジネス口座は、先に個人口座を開設し、ログイン後に申し込みます。受付対象と申込条件を確認したうえで進めます。下の「楽天銀行を無料で開設」ボタンは、最初の手続きとなる個人口座の開設ページへ進みます。
口座を分けたあとは、クレジットカード・パソコン・ネット回線を必要になった順に検討します。今ある環境で始め、支払いや作業量が増えてから見直します。
副業用のクレジットカード
副業の支払いを1枚のカードにまとめると、明細を一覧で確認でき、確定申告のときに支払いを探し直さずに済みます。
ノートパソコン
持ち運ぶなら、14インチ前後が目安です。外でも作業を進められます。
安定したネット回線
動画のやり取りなど通信量の多い作業では、固定回線のほうがテザリングやポケットWi-Fiより接続が途切れにくくなります。
副業用のクレジットカードと、明細だけで経費にできるか
副業の支払いが増えてきたら、家計用とは別のカードにすると明細が見やすくなります。副業用カードで払うものには、たとえばサーバー代、ドメイン代、ツールやアプリの月額料金、書籍代、周辺機器、広告費があります。こうした支払いを副業用カードにまとめると、支払先と金額を明細で確認でき、確定申告で経費を集計しやすくなります。これも、必要になってからで問題ありません。
明細だけで経費にできるのか
カード明細で利用日・支払先・金額を確認して帳簿に記載できます。ただし、カードで支払っただけでは経費になりません。副業に必要な支出かを判断し、購入内容や用途が分かる領収書・請求書も残します。書類の保存義務は、副業の所得の種類と前々年分の収入金額などによって変わります。
| 副業の所得 | 所得税上の保存義務 |
|---|---|
| 事業所得 | 帳簿と、領収書・請求書などを保存します(保存期間は書類の種類などで異なります) |
| 業務による雑所得 前々年分の収入金額が300万円以下 | 現金預金取引等関係書類の5年保存義務は対象外です |
| 業務による雑所得 前々年分の収入金額が300万円超 | 現金預金取引等関係書類を5年間保存します |
ここでいう現金預金取引等関係書類は、業務上の現金のやりとりや預貯金の入出金に伴って作成・受領した請求書や領収書などです。
消費税は扱いが別です。国税庁は、クレジットカード会社が発行する請求明細書について「消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しない」としています。カード会社が出す明細は利用者への請求内容を示すもので、店が発行した書類ではないからです。
消費税の納税義務は、その年の売上だけで決まりません。個人事業者は、原則として前々年の課税売上高などで判定します。前々年の課税売上高が1,000万円以下でも、インボイス発行事業者として登録している場合などは、納税義務が免除されません。仕入税額控除を受ける場合は、原則として店から受け取った適格請求書なども保存します。
所得税上の保存義務にかかわらず、カード明細と領収書・請求書を対応させておくと、経費の内容を確認できます。
副業用のカードでも私用の支払いが混ざったときは、その分を除くか、事業で使った割合で按分します(国税庁 個人で事業を行っている場合の記帳・帳簿等の保存について)。
会社員の副業に、ビジネスカードは要るか
副業用のカードを調べると、ビジネスカード(法人カード)を見かけます。法人でなくても作れるビジネスカードがあり、クレディセゾンは「法人化していない個人事業主や副業を行っている個人でもお申し込みが可能」と書いています。「開業届の提出有無を問わず、お申し込みが可能なものもあります」とも書かれています。
ビジネスカードと個人事業向け口座では、申込条件が異なります。カード会社や銀行によって必要書類は違い、開業届なしで申し込めるビジネスカードもあります。
ただ、申し込めることと、副業で必要になることは別です。ビジネスカードの利点は、従業員に追加カードを配れること、利用枠が大きいこと、経費の管理機能が付くことです。会社員が一人で行う副業では、こうした機能を使わないこともあります。年会費がかかるものもあります。
私はビジネスカードを作らず、普段使いと副業用で2枚のカードを使い分けています。明細を分けることが目的だったため、一般向けのクレジットカードを選びました。
引き落とし口座を副業用にできるか確認する
カードを分けても、引き落とし先が家計用の口座のままだと、副業の支払いが家計の明細に並びます。ただし、副業用口座へ変更できるかは、カード会社と銀行によって異なります。カード会社がその口座の商品区分に対応しているか、変更前に確認します。楽天銀行の個人ビジネス口座も、収納機関によって口座振替を利用できない場合があります。
副業を始めて2か月目には、家計用のカードで副業の支払いを数回していました。そこで、副業用の口座を作るのと同じ時期にカードを分け、引き落とし先も変更しました。
私は、家計用と副業用でカードを分けています。副業用には楽天カードを選びました。選んだ当時、freee会計と連携でき、利用でポイントが貯まることが理由でした。三井住友カード(NL)と楽天カードの違いは、「クレジットカードを選ぶ」で整理しています。
私が家計用に使っているカード
現在、家計用カードは三井住友カード(NL)にまとめています。下のボタンは、現在家計用に使っている三井住友カード(NL)の公式サイトへ進みます。
副業用ノートパソコンの選び方と、経費にできる金額
作業が増えてきたら、持ち運べるノートパソコンで、ブログの執筆や画像作成、ネットショップの管理、資料づくりを外でも進められます。スマホでもできる作業はありますが、文字を多く打ったり、複数の画面を見ながら管理したりするなら、パソコンのほうが効率よく進めやすくなります。
選ぶなら、持ち運びやすい14インチ前後が1つの目安です。家でも外でも使えるサイズなら、カフェや出先でも作業できます。次の点を見て選びます。
- 持ち運びやすい重さか
(1.3kg以下が目安) - バッテリーは半日もつか
- メモリ・ストレージは足りるか
- キーボードは打ちやすいか
- 画像や動画を編集できる性能があるか
- 予算に合っているか
目安は、文章作成や管理が中心なら14インチ前後・メモリ16GB・SSD256GB以上・1.3kg以下です。高解像度の画像や長い動画を本格的に編集するなら、メモリ32GB以上も候補です。複数のアプリやファイルを同時に開くなら、メモリ容量が大きいほど動作の遅れを抑えられます。
OSを決めるときは、必要なソフトが動くことと、使い慣れていることを確認します。私は14インチ・メモリ16GB・SSD512GBのノートパソコン(LG gram)を使っています。
作業内容に合う性能なら、型落ちや整備済みの中古も候補になります。まずは今ある環境で始めて、動作の遅さが気になった時点で買い替えます。ノートパソコンは、楽天市場やAmazonで価格やスペックを見比べて選べます。
ヒント
スペックは「やりたい作業」に合わせて決めます。文章作成が中心なら、高い機種は不要です。動画編集など重い作業をするなら、メモリとストレージにお金をかけます。
買ったパソコンは、いくらまで経費にできるか
副業で使うパソコンは経費になりますが、買った金額によって、その年にまとめて経費にできるかどうかが変わります。私用でも使うなら、事業で使った割合で按分します。新品の一般的なパソコンの法定耐用年数は4年です(サーバー用のものを除きます)。以下は、新品を購入した場合の主な扱いです。経費にする方法は、申告の種類によっても違います。
| 買った金額 | 青色申告(事業所得) | 白色申告・雑所得 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | その年に全額 | その年に全額 |
| 10万円以上 20万円未満 | いずれか:その年に全額(特例・年間合計300万円まで)/3年で3分の1ずつ/4年で減価償却 | いずれか:3年で3分の1ずつ/4年で減価償却 |
| 20万円以上 40万円未満 | いずれか:その年に全額(特例・年間合計300万円まで)/4年で減価償却 | 4年で減価償却 |
| 40万円以上 | 4年で減価償却 | 4年で減価償却 |
中古で購入したパソコンは、法定耐用年数4年ではなく、使用可能期間の見積りや簡便法で求めた耐用年数を使える場合があります(国税庁)。
表の「特例」は、中小事業者の少額減価償却資産の特例です。青色申告をしている人だけが使えます。青色申告ができるのは不動産所得・事業所得・山林所得がある人なので、副業が雑所得のままなら、この特例は使えません。
この特例の上限は、2026年度の税制改正で30万円未満から40万円未満へ引き上げられました。
40万円未満の特例には期限と条件がある
国税庁の案内では、一定の要件を満たす青色申告者が2026年4月1日から2029年3月31日までに取得などをして、事業に使い始めた10万円以上40万円未満の資産が対象です。年間の合計は300万円までで、副業が雑所得の場合は使えません。2026年3月31日以前に取得した資産には、従来の30万円未満の基準が適用されます。
購入額が10万円に達すると、扱いが変わります。10万円未満ならその年に全額を経費にでき、10万円ちょうどなら10万円以上の区分に入ります。
10万円・20万円・40万円の判定に使う取得価額は、税込経理なら税込、税抜経理なら税抜です。免税事業者は税込で判定します。
私用でも使うパソコンは、全額が経費になるわけではありません。事業で使った割合の分だけを経費にします。仕事と私用で半々に使っているなら、経費にできるのは半分です。
安定したネット回線の選び方と、ネット代の経費
ネット回線も、一度見直しておくといいです。使う場面は、ブログの更新、画像や動画のアップロード、ネットショップの管理、オンラインの打ち合わせ、クラウドサービスの同期です。最近は、文章作成や画像生成でAIを使うこともあります。
副業ではデータを送ることが多く、通信が不安定だとアップロードやネットでの作業が止まることがあります。今の回線で問題なく使えていれば、乗り換えなくて済みます。
これから回線を契約するなら、通信が安定しやすい光回線が候補になります。スマホのテザリングやモバイル回線でも、軽い作業はできます。ただし、データ量の上限や速度制限を気にせず使える固定回線のほうが、長く副業を続ける人には向いています。とくに画像や動画を多く扱う人ほど、回線速度によって作業時間に差が出ます。光回線の候補の1つに、NURO 光があります。
NURO 光の特徴(目安)
- 主な新規受付プランは、下り最大2.5Gbpsまたは10Gbps(技術規格上の最大速度)
- 料金はプランと割引で変わる(2026年9月1日に改定されました)
- 時期によりキャッシュバックなどの特典がある
申し込み前に確認することは次のとおりです。
- 提供エリア・戸建てかマンションか
- 工事の有無・開通までの期間
- 月額料金・契約期間・解約条件
- キャンペーンや特典の条件
注意
NURO 光が使えるかは提供エリアや建物タイプによって変わり、開通工事が必要になる場合があります。公式FAQの目安は、戸建てが1~3か月程度、マンションが最短1~2週間です。地域・設備・工事状況によっては、さらにかかる場合があります。急ぐなら早めに確認してください。料金・キャンペーン・工事費・契約条件は変更される場合があるので、申し込み前に公式サイトで確認してください。
ネット代は、いくらまで経費にできるか
自宅の回線を私用と副業の両方に使う場合は、利用割合に応じて按分します。こうした家事と業務の両方にかかわる費用を、家事関連費といいます。国税庁は、必要経費になるのは「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額」に限られる、としています。
家事関連費を経費にできるかどうかの基準もあります。所得税基本通達45-2は、支出額のうち業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしています。ただし50%以下でも、必要である部分を明らかに区分できるときは、その部分を必要経費に算入して差し支えないとしています。
業務に必要な部分を明らかに区分できれば、50%以下でもその部分を経費にできます。業務で使った時間、接続した端末、私用や家族の利用状況など、実際の使い方に合う基準で割合を決め、その根拠を残します。
計算するときは、月額の回線費用に、記録から説明できる業務使用割合を掛けます。スマホ代も、端末代・通信料・通話料について、それぞれ業務で使った割合を確認します。
注意
「ほとんど仕事に使っているから9割」といった決め方では、根拠を聞かれたときに説明が難しくなります。実際に使っている割合より高くすると、区分できる金額を超えて経費に入れることになります。
副業専用に回線をもう1本契約しなくても、自宅の回線を副業で使った割合に応じて按分する方法があります。口座やカードと違って、回線は分けても明細が見やすくなるわけではないからです。
税金の分は、本業と副業を合わせて見積もる
副業用の口座には、あとで支払う税金の分も残しておきます。売上はそのまま使えるお金ではありません。あとで払う税金を先に分けておくと、納付時の資金として使えます。
副業で増える税額は、本業と副業を合わせた課税所得や所得控除などによって変わります。所得税は超過累進税率で、住民税の所得割は標準税率10%です。インボイス登録などによる消費税や、事業内容と所得による個人事業税が生じる場合もあります。
| 増えた所得に適用される所得税率 | 所得税・復興特別所得税・住民税所得割の合計例 (2026年分) |
|---|---|
| 5% | 約15.1% |
| 10% | 約20.2% |
| 20% | 約30.4% |
住民税の所得割を10%とし、増えた所得の全額に同じ所得税率が適用されると仮定した単純計算です。所得控除や税額控除の変動、消費税、個人事業税などは含めていません。
私の場合、給与収入が約500万円だった年に、副業の所得が約29万円でした。所得税率10%と住民税所得割10%を仮定すると、副業による増加税額は約5万9,000円です。副業所得の約2割になりますが、これは私の条件を使った概算で、一律の目安ではありません。
もうひとつ知っておきたいのが、所得税と住民税を支払う時期の違いです。
| 税金 | 納付時期 | 払い方 |
|---|---|---|
| 所得税 | 法定納期限は、原則として所得が生じた翌年3月15日 | 納付書・キャッシュレス納付など。振替納税は後日の振替日に口座引き落とし |
| 住民税(普通徴収) | 翌年6月以降の自治体所定の納期 | 納付書や口座振替など |
| 住民税(特別徴収) | 翌年6月から翌々年5月まで | 給与から毎月引かれる |
2026年の副業所得なら、所得税の法定納期限は2027年3月15日です。振替納税を利用する場合、振替日は2027年4月中旬~下旬の予定で、確定後に国税庁が公表します(国税庁)。住民税を普通徴収で納める場合は自治体が定める納期限に従い、給与から特別徴収される場合は2027年6月から2028年5月まで毎月納めます。私は副業分を普通徴収にしているため、自治体から届く納付書などで期限を確認しています。
窓口では、住民税を払えないという相談も受けていました。前の年に稼いだお金を使い切ってしまうと、あとから納付書が届いたときに支払うお金が不足します。本業と副業を合わせて見積もった税額を副業用の口座に残しておけば、納付時の資金にできます。払えなくなったときの対応は「住民税の督促状が届いたら」に書いています。
副業用口座と道具を用意する順番
用意する順番は人によって違います。迷うなら、まず今あるものを使い、追加費用の少ないものから検討します。
- 今ある環境で小さく始める最初は大きな固定費を増やさず、副業を続けられるか確認します。
- 副業用の銀行口座を分ける事業を始めたあと、売上が入る前に家計用と分けます。
- 副業用のクレジットカードを分ける支払いが増えてきたら、明細を確認しやすくします。
- 作業用ノートパソコンをそろえる作業が増え、スペックに不満を感じたら買い替えます。
- ネット回線を見直すオンライン作業やアップロードが増えたら、回線環境を確認します。
道具をそろえる順番は、どの副業を始めるかでも変わります。
| 副業タイプ | 最初に要るもの | 増えてきたら足すもの |
|---|---|---|
| SNSで発信 | スマホ | 画像を作るならノートパソコン |
| ブログ | ノートパソコン、サーバー代 | 画像や動画が増えたら回線 |
| ネットショップ | スマホ、副業用の口座 | 副業用のカード、ノートパソコン |
| 不用品を売る | スマホ | とくになし |
口座を分けたときの違い
副業分を明細から探さずに済む
副業用口座や道具を用意する前に確認したいこと
口座や道具によって確認する内容は違いますが、共通して次の点を見ておいてください。
- 副業用として本当に必要か
- 家計用と分ける理由があるか
- 毎月の固定費が増えすぎないか
- 公式サイトで条件を見たか
- 審査や本人確認が必要か
- 解約や変更時の条件を見たか
- 価格やキャンペーンだけで決めていないか
よくある質問
副業用の銀行口座とカードは本当に分けるべきですか?
確定申告のために分ける法律上の義務はありません。ただし、副業のお金を家計と分けて記録するなら、口座とカードを分けると明細を確認しやすくなります。口座は事業を始めたあと、売上が入る前に分けると、最初の入金から家計と分離できます。カードは副業の支払いが増えてきた時点で分ければ、支払先を確認しやすくなります。
全部そろえてから始めるべきですか?
いいえ。SNSの発信のように、スマホだけで始められる副業もあります。作業が増えてきたらノートパソコンを用意します。口座は事業を始めたあと、売上が入る前に分けておくと管理しやすく、ほかの道具は必要になった時点で十分です。
副業の売上をすでに家計用口座で受け取っています。途中から分けても大丈夫ですか?
はい。途中からでも分けられます。まず新しい口座が事業目的で利用できるか確認し、新しい入出金から副業用口座へ切り替えます。切り替え前の取引は家計用口座の明細を残して記録します。売上の振込先と、経費・カード代の引き落とし先を同じ時期に変更すると、その後の確認がしやすくなります。
開業届は出したほうがいいですか?
副業が事業としての開業に当たる場合は、個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)を提出します。国税庁の現行案内では、2026年9月現在、提出期限は開業した年分の所得税の確定申告期限です。楽天銀行の個人ビジネス口座では、事業内容を確認する資料として、開業届、個人事業開始申告書、確定申告書第一表、各種許認可証のいずれか1つの写しを提出します。青色申告を希望する場合は、開業届とは別に所得税の青色申告承認申請書が必要です。提出期限は原則3月15日ですが、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内です。
屋号付きの銀行口座は必要ですか?
屋号は必須ではありません。銀行によっては、個人事業向け口座でも氏名のみの名義で申し込めます。ただし、氏名のみの名義でも、通常の個人口座を事業目的で使えるとは限りません。まず事業目的で利用できる商品か確認し、そのうえで屋号を付けるか決めます。
私自身、ネットショップを運営していたときから現在のブログ運営まで、家計用とは別に副業用の口座とカードを分けています。副業の入出金だけを確認でき、確定申告の集計も早くなりました。道具は最初から完璧にそろえず、必要になった順に買ってきました。
まとめ
副業を始める前に、すべてをそろえる必要はありません。事業を始めたあと、売上が入る前に副業用の口座を家計用と分けると、明細を整理する手間を減らせます。カードは副業の支払いが増えてきた時点で分け、作業量が増えたらノートパソコンやネット環境を見直します。
※私は税理士ではありません。掲載内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。各サービスの料金・手数料・キャンペーン・提供条件・審査等は変更される場合があります。お申し込み・ご購入前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。経費にできる範囲や書類の保存など、個別の判断に迷うときは、税務署や税理士に相談してください。
参考資料
- 銀行口座:ドコモSMTBネット銀行「口座名義に屋号は使えるか」/楽天銀行「個人ビジネス口座開設申込」/楽天銀行「個人ビジネス口座を開設できる方」/楽天銀行「口座開設時の必要書類」/楽天銀行「口座取引規定」/楽天銀行「個人ビジネス口座の口座振替」/国税庁「申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」/国税庁「開業する場合」
- カード:国税庁「クレジットカード会社からの請求明細書」/クレディセゾン「ビジネスカードは法人でなくてもつくれる?」
- 税金・経費:国税庁「確定申告」/国税庁「主な国税の納期限及び振替日」/国税庁「No.6501 納税義務の免除」/国税庁「No.1500 雑所得」/国税庁「No.2070 青色申告制度」/国税庁「No.2260 所得税の税率」/財務省「令和8年度税制改正の大綱」/国税庁「No.2210 必要経費の知識」/国税庁 所得税基本通達「家事関連費(第1号関係)」
- パソコン・回線:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」/国税庁「No.2108 中古資産の減価償却」/NURO 光「料金・スペック」/NURO 光「よくある質問」

