少額から分散投資ができて、銘柄を自分で選ばなくていい商品
ただし保有中も手数料が差し引かれるため、保有期間が長いほど支払総額は増える。
投資を始めて14年になります。いまは積立設定を年に数回確認する程度です。買う前に知っておきたい仕組みや、預金・株との違い、リスクと手数料、目論見書で確認する項目を解説します。
投資信託は元本保証の商品ではなく、価格が動くうえ、保有中には手数料もかかります。私は、決めた金額で毎月積立を続けています。
この記事でわかること
- 投資信託は専門家が運用する商品。ただし「おまかせで必ず増える」ものではない
- 預金と違い元本割れがあり、個別株と違い1本で分散できる
- 値動きの原因は主に6つあり、外国の資産は円高になると評価額が下がる
- 手数料は買うとき・保有中・売るときにかかり、ほかに監査報酬などもある
- NISAでも、分配金の再投資は投資枠を使う
投資信託の仕組み
投資信託は、多くの人から集めたお金をひとつの大きな資金として運用する商品です(「ファンド」とも呼ばれます)。運用の専門家が国内外の株式・債券・不動産などに投資し、その結果が評価額に反映されます。
投資信託には、役割の異なる3種類の会社が関わります。窓口になる販売会社(証券会社や銀行)、運用方針を決めて売買を指示する運用会社、資産を預かって実際に売買する信託銀行です。信託銀行は、信託財産を自社の財産と分けて管理するよう法律で義務づけられています。関係する3社のいずれかが破綻しても信託財産は残りますが、分別管理で値動きによる損失を防げるわけではありません(資産運用業協会「投資信託の安全性」)。
- 投資家がお金を出す少額から購入でき、積立で買うこともできます。
- 投資信託に資金が集まる多くの人のお金をひとつにまとめます。
- 運用会社が投資する商品ごとの方針に沿って、専門家が株式や債券などを買います。
- 運用結果が基準価額に表れる基準価額(投資信託の値段)は、株式・債券・為替などの影響で上下します。
- 投資家の評価額が決まる投資元本を割り込む場合もあります。
買うときは、口数ではなく金額を指定するのが一般的です。基準価額が高い商品でも割高というわけではなく、同じ金額なら買える口数が変わるだけです。
預金・個別株・ETFとの違い
投資信託と預金・個別株・ETFの特徴を比べます。
| 比較ポイント | 預金 | 投資信託 | 個別株 | ETF |
|---|---|---|---|---|
| 元本 | 1金融機関ごとに元本1,000万円までと利息が保護される | 保証はない | 保証はない | 保証はない |
| 買う値段 | 預けた額 | 1日1回の基準価額注文する時点では値段が分からない | リアルタイムの市場価格 | リアルタイムの市場価格 |
| 保有中の費用 | かからない | 信託報酬がかかる | かからない | 信託報酬がかかる投資信託より低い傾向 |
| 分散 | ― | 1本で複数の銘柄に分かれる | 銘柄ごとのリスクが残る | 1本で複数の銘柄に分かれる |
| 買える場所 | 銀行 | 取扱いのある証券会社・銀行 | 証券会社 | 証券会社上場しているのでどの証券会社でも買える |
出典:日本取引所グループ「ETFと他の投資信託の違い」/預金保険機構「保護の範囲」
投資信託とETFは中身が似ていますが、ETFは取引所に上場していて、株と同じようにリアルタイムの値段で売買できます。この記事では、取引所に上場していない投資信託を扱います。
何に投資できるか・メリット
中身は商品によって違い、何に投資しているかで値動きが変わります。主な投資対象は次のとおりです。
- 国内株式・海外株式
- 国内債券・海外債券
- REIT(不動産)
- 複数資産を組み合わせるバランス型
少額から始めやすい
商品によっては、100円から購入できます。
分散投資しやすい
1本の商品で複数の資産に投資できます。
積立と相性がよい
投資信託を毎月一定額ずつ購入する積立設定を利用できます。
投資信託は1本で分散
株や債券など、複数の資産に分けて投資されます
デメリット(リスクと手数料)
投資信託には値動きがあります。ここでいうリスクは、運用結果の振れ幅がどの程度大きいかを指します。
- 元本が保証される商品ではない
- 投資先によって値動きの大きさが違う
- 長く持てば増えると決まっているわけではない
- 分配金は元本の払戻しのこともあり、受け取っても資産は増えない
- 純資産総額が小さいと、運用が途中で終わる(繰上償還)ことがある
値動きの原因は商品によって違います。主なものは次の6つです(投資信託が持つリスク)。
- 価格変動リスク
株式や債券そのものの値段が動きます。 - 為替変動リスク
外国の資産に投資する商品では、円高になると円での評価額が下がります。 - 金利変動リスク
金利が上がると、すでに発行された債券の価格は下がります。債券の比率が高い商品ほど、値下がりも大きくなります。 - 信用リスク
投資先の企業や国が返済できなくなると、価格が下がります。 - 流動性リスク
取引量が少ない資産では、売りたいときに希望する価格で売れないことがあります。 - カントリーリスク
投資先の国の政治や経済が不安定になると、価格が下がることがあります。
また、手数料は商品ごとに違います。保有期間が長いほど、信託報酬率の違いが支払総額に大きく表れます。
たとえば残高が1年を通して100万円だった場合、手数料(信託報酬)が年0.1%なら年1,000円、年1.5%なら年15,000円です。同じ100万円でも、長く持つほどこの差が積み重なります。
年0.06%と年0.1%なら、100万円あたりの差は年400円です。残高が増えるほど、この金額も増えます。
なお、信託報酬のほかに、監査報酬や株式などの売買手数料がかかる場合もあります(投資信託のコスト)。
購入時手数料
買うときにかかる費用で、無料の商品もあります。
信託報酬
保有中に差し引かれる費用で、保有期間が長いほど支払総額が増えます。
信託財産留保額
解約時に差し引かれる場合がある費用です。
注意
手数料の有無や金額は、商品・販売会社・取引コースによって違うため、目論見書や公式サイトで確認してください。
投資信託の損益はどこから出るか
分配金を出すと、その分だけ基準価額が下がります
インデックスとアクティブ
投資信託は、大きく分けるとインデックスファンドとアクティブファンドの2種類です。どちらが良いと決まっているわけではありません。自分が理解できる商品を選びましょう。私は以前、個別株を頻繁に売買していましたが、企業ごとの値動きを予測しにくいと感じ、いまは複数の銘柄に投資するインデックスファンドを毎月積み立てています。
インデックスファンド
指数への連動を目指し、信託報酬は低めの傾向があります。
アクティブファンド
指数を上回る運用成績を目指し、費用は高めの傾向があります。
| 比較ポイント | インデックス型 | アクティブ型 |
|---|---|---|
| 運用の方針 | 市場の指数に連動する | 指数を上回る成績を目指す |
| 信託報酬 | ◎ 低コストのものは年0.1%前後 | 商品による差が大きい |
| 成績の傾向 | 指数とほぼ同じ動きになる費用と誤差の分だけ下回る | ファンドにより大きく差が出る |
| 初心者向きか | ◎ 基本はこちら | 運用方針を読んでから |
分配金とNISAの注意
投資信託には分配金が出るものがありますが、分配金の有無だけで良い商品かは判断できません。分配金は運用益から出る場合もあれば、元本の一部を取り崩して支払われる場合もあります。分配金を払い出すと、その分だけ純資産総額と基準価額が下がります(基準価額と分配金)。受け取っても、資産が増えるわけではありません。
運用益から出る普通分配金には約20%(20.315%)の税金がかかります。元本の一部が戻る元本払戻金(特別分配金)は非課税で、分配金の種類によって扱いが違います。ただし元本払戻金を受け取ると取得価額が下がるので、売却価格が変わらなくても計算上の利益は大きくなります。NISA口座なら、普通分配金も課税されません。ただしNISA口座で分配金を再投資すると、再投資した金額もその年の投資枠に含まれます(日本証券業協会)。分配金がNISA口座と課税口座のどちらで再投資されるかは、証券会社によって違います。
投資信託を選ぶときは、分配金の多さだけでなく、商品内容や運用方針も判断材料になります。
非課税になるからといって、どの商品でもよいわけではありません。投資対象・リスク・手数料・分配金の方針なども判断材料になります。
注意
制度や対象商品は変わる場合があるため、最新情報は金融庁や証券会社の公式サイトでも確認してください。
選ぶときに見る所
目論見書のどこを見るか
同じ対象に投資する商品どうしなら、信託報酬が低い商品ほど、長期保有で支払う費用を抑えられます。運用方針を読み、自分が投資対象と運用方法を理解できるか確認します。純資産総額は、ファンドに集まっている資金の総額です。極端に小さいと運用が途中で終わる(繰上償還)こともあるため、一定の規模があるかを見ます。どれも購入前に目論見書(投資信託の説明書)で確認できます。交付目論見書は4つの項目に分かれ、各項目に記載される内容が決まっています。
| 目論見書の項目 | 書いてあること |
|---|---|
| ファンドの目的・特色 | 何を目的に、どの国や地域のどの資産へ投資するか。商品の仕組みはどうなっているか |
| 投資のリスク | 価格変動・為替変動・金利変動など、その商品にどんなリスクがあるか |
| 運用実績 | 基準価額と純資産総額の推移、分配金の推移、年間収益率の推移 |
| 手続・手数料等 | 購入単位、購入時の手数料、運用中の信託報酬、税金などの諸費用 |
向いている人・向いていない人
投資信託が自分に向いているかを先に確認すると、始めたあとで迷いにくくなります。
向いている人
- 当面使う予定のないお金を運用したい
- 少額から積み立てたい
- 銘柄選びに時間をかけたくない
向いていない人
- 数年以内に使うお金を運用しようとしている
- 元本が減るのを受け入れられない
- 生活防衛資金がまだ貯まっていない
「生活防衛資金がまだ貯まっていない」に当てはまるなら、生活費の半年分を先に用意します。ただし、全部貯まるまで投資を始められないわけではありません。お金を投資に回すまでの順番を、「浮いたお金の使い道」で説明しています。
始めるまでの4ステップ
- 目的と期間を決める何年後に、何のために使うのかを先に決めます。
- 口座を開くNISAを使うなら、証券口座と同時にNISA口座も申し込みます。
- 投資対象・信託報酬・純資産総額を見る目論見書で確認する項目は、上の表のとおりです。
- 少額で積立を設定する金額を決めて自動買付を設定し、年に1回ほど積立額を見直します。
私が選んでいる2本
私が選んでいるのは、信託報酬の低いインデックスファンド(全世界株とS&P500)です。どちらも5年ほど前から持ち、保有割合は半分ずつです。全世界株を選んでいるのは、この先米国株の比率が下がっても、指数の構成が変わっていくと考えているからです。全世界株にはアメリカの株式も含まれるので、2本持つと一部の投資先が重複します。投資を14年続ける中で、信託報酬がわずかに違うだけでも、長く持つと支払総額に差が出ます。
私が持っている商品は分配金を出さないタイプで、利益は分配されず、ファンド内で運用が続きます。値動きが気になる時期でも、確認するのは積立設定と保有商品だけです。毎月の買い付けには三井住友カード(NL)のクレカ積立(カードの選び方)を使い、決めた日に自動で購入しています。
目的を決めてから自分に合う1本を選ぶ手順を、「投資信託の選び方」にまとめました。中身・コスト・リスクの見方と、商品を選ぶ前の最終確認について説明しています。
証券会社をまだ決めていない場合は、SBI証券と楽天証券の比較も参考になります。証券会社は1社に絞ると管理しやすいため、私は利用先をSBI証券だけにしています。
よくある質問
投資信託と株式投資は何が違いますか?
投資信託は、集めたお金で多くの会社へ一度に分散投資する仕組みです。広く分散された商品なら、1本で数百〜数千社に投資でき、個別株より値動きの幅が小さくなりやすいのが特徴です。
投資信託でも元本割れしますか?
元本割れすることがあります。預金と違って元本保証はありません。積立で購入時期を分けたり、投資先を分散したりする方法があります。
手数料はどこを見ればいいですか?
まず見たいのは、保有している間ずっとかかる「信託報酬」です。同じ指数に連動する商品なら、信託報酬が低いものを選ぶのが基本です。
毎日値動きを確認したほうがいいですか?
毎日確認する必要はありません。長期の積立なら、日々の値動きを頻繁に確認しない方が続けやすいです。私は年に数回、積立が予定どおり続いているかを見るくらいです。
インデックスファンドとアクティブファンドはどちらを選べばいいですか?
初めて投資信託を選ぶ場合は、仕組みを理解しやすいインデックスファンドが向いています。インデックスファンドは市場全体の動きに連動することを目指す商品で、手数料(信託報酬)は低い傾向があります。アクティブファンドは市場を上回る成績を目指しますが、運用コストが高く、目標どおりの成績になるとは限りません。
投資信託の分配金は、受け取りと再投資のどちらがいいですか?
長期で資産を増やしたいなら、分配金をそのまま再投資する方法が向いています。その分も元本に加わって運用が続きます。生活費の足しにしたい場合は、受け取りも選択肢になります。
証券会社や運用会社が倒産したら、投資信託はどうなりますか?
投資信託の資産(信託財産)は、信託銀行が自社の資産と分けて管理します(分別管理)。販売会社・運用会社・信託銀行のどこが破綻しても、信託財産は制度上守られます。多くの場合、投資信託は別の会社へ引き継がれ、そのまま保有できますが、引き継ぎ先がないときは繰上償還または解約となります。ただし、これは値動きによる損失を防ぐ仕組みではありません。
まとめ
投資信託の元本は保証されず、値動きや費用は商品ごとに違います。投資先は何か、長く保有できるか、手数料はいくらかを確認し、購入するか判断します。
証券口座があれば、スマホだけで少額から積み立てられます。SBI証券や楽天証券なら口座開設も維持も無料です。まずは口座だけ作っておきましょう。
※手数料・対象商品・制度等は変更される場合があります。投資には元本割れのリスクがあり、本記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。購入前に目論見書や公式サイトで最新情報をご確認ください。

