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住民税の督促状が届いたら|分割の相談は断られることもある

住民税の督促状を放置すると延滞金が増えて差押えに進み、払えないときは市区町村へ分割を相談する図

最初にやるのは、市区町村へ連絡すること

連絡しても分割を断られる場合はあるが、収入と生活費を整理しておけば相談は早く進む。

私は市役所の税務担当として、住民税の納付書を発送していました。督促状は別の収納担当課が発送していましたが、「払えない」「払ったのに届いた」という相談は、私のいた窓口にもよく寄せられていました。期限が過ぎた納付書の支払い方や、金額に納得がいかないときの確認方法を解説します。

この記事でわかること

  • 督促状が届いた時点では、まだ納付を求める通知が出た段階
  • 放置すると延滞金が増え、法律の上では督促状を発した日から10日を過ぎると市区町村は差押えをしなければならない
  • 払えないときは窓口で相談できる。毎月の納付額を決めて分納誓約書を書く流れだが、分割を断られることもある
  • 減免は、納期限を過ぎた分には原則使えない。ただし、まだ納期限を迎えていない期は申請できる
  • 払ったのに届くのは、入金と発送の行き違い。納期限までに納めていても、収納担当課に電話して確かめる

督促状は、納期限から20日以内(自治体によっては30日以内)に発送される

普通徴収の住民税は、多くの自治体で第1期の納期限が6月末です。納付がないと、7月中旬以降に督促状が届き始めます。地方税法第329条で、納期限後20日以内に督促状を発すると決まっているためです。

ただし特別の事情がある市町村は、条例で別の期間を定めます。横浜市や大阪市は30日以内としています。

私のいた市役所でも、毎年この時期に督促状を大量に発送していました。督促状は納付を求める通知で、届いた時点ですぐに差し押さえられるわけではありません。

督促状は、払い忘れによって届くことも多くあります。未納分があれば、記載された額を納めることで督促への対応は完了します。ただし納期限を過ぎた分の延滞金は、あとから請求されることがあります。

ただし、督促手数料がかかることがあります。地方税法第330条は、条例で定めれば徴収できるとしており、金額は自治体によって違います。私のいた自治体では1通100円でした。

督促状の表題は「市民税・県民税」ですが、指しているのは住民税です。納付書で納めるときは、利用できる納付場所を確認してください。納期限を過ぎた納付書は、コンビニやスマートフォンの決済アプリでは使えないことが多いです。バーコードに使用期限があるためです。その場合は、金融機関か市区町村の窓口で納めます。eL-QRのマークが付いた納付書なら、対応する金融機関の窓口で納期限を過ぎても納められます(春日部市の案内)。納付書が見当たらないときは、市区町村に連絡すると再発行してもらえます。

放置したあとに起きること

督促状を放置すると、手続きはおおむね次の順に進みます。

  • 延滞金が増える
    納期限の翌日から日割りでつきます。2026年(令和8年)は、最初の1か月が年2.8%、それを過ぎると年9.1%です。この率は毎年見直されていて、2025年の2.4%・8.7%から上がりました(東京都北区の案内)。
  • 催告が来ることがある
    督促状のあとも納付がないと、催告書や電話での連絡が続きます。催告書は法律で決まった書類ではなく、市区町村が独自に出すものです。差押えに進む前には、差押予告書や差押事前通知書という名称の書類が届くこともあります。
  • 財産調査と差押え
    それでも本人から連絡がない場合は、勤務先や預貯金口座などの財産調査が始まります。税金の滞納による差押えには、裁判所の手続きが必要ありません。地方税法第331条で、督促状を発した日から10日を過ぎると、市区町村は財産を差し押さえなければならないと決まっています。差押えの前に催告や連絡をすることは、法律の要件ではありません。

延滞金は自分で計算できます。税額10万円を、6月30日の納期限から半年遅れて12月31日に納めたとします(184日)。最初の31日は年2.8%で237円、残りの153日は年9.1%で3,814円、合計4,051円です。100円未満を切り捨てて4,000円になります。税額は1,000円未満の端数を切り捨てて計算し、延滞金が1,000円未満なら徴収されません。

差押えの対象になるのは、預貯金、給与、生命保険の解約返戻金、不動産などです

給与には差押禁止の範囲があり、税金の滞納処分では国税徴収法第76条に基づいて計算します。源泉所得税・特別徴収の住民税・社会保険料と、本人分の月10万7,000円を引いた残額が基準です。生計を一にする親族がいるときは、1人につき4万8,000円を加算します。そこから20%(上限あり)も差し引いた額が対象です。

2026年4月1日以降に支給される給与では、差押禁止額が引き上げられました(八王子市の案内)。

借金による給与の差押えで使う「手取りの4分の1」とは計算が違います。預貯金には、給与のような差押禁止の定めがありません。

給与を差し押さえる場合は、勤務先に通知が届きます。勤務先は、給与から差押額を差し引いて市区町村へ納めるので、滞納していることは勤務先に伝わります。その前の財産調査の段階でも、給与の額や支給日を勤務先へ照会することがあります。

すぐに差し押さえられるとは限りませんが、待っていても住民税は消えません

実際には、督促状を発した日から10日を過ぎてすぐに差し押さえられるとは限りません。いつ財産調査や差押えに進むかは、自治体や滞納の状況によって違います。本人が連絡しなければ、滞納処分の手続きは続きます。窓口に相談すれば、分割などの方法を検討してもらえます。

督促状を発した日から10日を過ぎると、5年の時効期間がその時点から改めて始まります。差押えや猶予の期間中も時効は進みません(地方税法第18条・第18条の2)。そのままにしていても、住民税の納付義務がなくなるわけではありません。

放置した場合相談した場合
延滞金納期限の翌日から日割りで増えます分割の間も原則つきます。
徴収の猶予は全部か一部、換価の猶予は一部が免除
次に届くもの催告書。ただし必ず届くとは限りません分割の納付書。督促状は原則として発付されます
財産調査・差押え連絡しないままだと順に進みます相談中も進むことはあります。
まず生活の状況を確かめて判断
することありません。何もしなくても手続きは進みます毎月の額を決めて、分納誓約書を書きます

「払えない」ときの分割の実際と、断られる場合

相談でいちばん多かったのは、「払えない」という内容でした。退職した年に、前年の所得で計算された住民税の納付書が届き、その税額を払えない人が毎年いました。退職したあと住民税がどう決まるかは「退職後の住民税の納め方」に書いています。

呼び方や書式は自治体によって違いますが、私のいた市役所での流れは次の3つでした。

  • 毎月いくらなら払えるかを決める
    収入と生活費を聞きながら、家計に無理のない金額を一緒に見積もります。
  • 分納誓約書を書く
    決めた内容を書面にします。
  • 分割の納付書をもらう
    月ごとの納付書が発行され、各月の期限までに納めます。

分割の相談に、弁護士や特別な手続きは必要ありません。電話でも受け付けていました。なお、分割の間も延滞金は原則つきます。

分割できる回数や期間は、自治体の運用によって異なります。洲本市は、申し出による分割納付の期間を原則1年以内とし、その期間の延滞金は軽減されないとしています。延滞金の軽減を受けるには、分割の相談ではなく、次の猶予制度を申請する方法があります。

災害や病気、失業などの事情があるときは、徴収の猶予という制度があります。徴収の猶予の対象でなくても、一度に納めると事業の継続や生活の維持が難しくなる場合は、換価の猶予を申請できます。申請の期間は市区町村の条例で決まっていて、横浜市は納期限から6か月以内としています(横浜市の換価の猶予制度)。

換価の猶予が認められると、最長1年間は分割して納められます。納期限から1か月を過ぎた後の延滞金は、猶予された期間に当たる額の2分の1が免除されます(地方税法第15条の6・第15条の9)。

分割の相談が断られることもあります

分割は申し出れば必ず認められるものではありません。中野区は、生活の状況を確かめたうえで分割の可否を判断し、希望に添えない場合もあると案内しています。

相談では収入や生活費を聞かれます。船橋市は、分割納付は納付額を低くおさえるための手段ではないと案内しています。早期の完納が見込める合理的な金額かを判断するため、収入や支出の状況を聞きます。希望した金額で分割が認められるとは限らないのは、この判断があるためです。

相談中や分割納付中でも、督促状は原則として発付され、市区町村が財産調査や差押えをすることがあります。

減免は、まだ納期限を迎えていない分なら間に合う

住民税には減免の制度があります(地方税法第323条)。要件は条例で決まっていて、生活保護や失業、災害など、対象になる事情も自治体ごとに違います。

申請の期限も条例で決まります。納期限までとする自治体が多く、期限後は原則として減免を使えません。私のいた自治体でも、条件を満たす人が相談に来ても、納期限を過ぎた期の住民税は減免できませんでした。

減免の対象になるのは、申請した時点でまだ納期限が来ていない分です。督促状が届いているのが第1期分でも、まだ納期限を迎えていない期があれば、その分は申請できます。普通徴収の納期限は、第1期が6月末、第2期が8月末、第3期が10月末、第4期が翌年1月末という自治体が多いです(厚木市の案内)。

「払えないかもしれない」と思った時点で、納期限が来る前に相談してください。期限の前なら、減免・分割・猶予のどれを使うか選べます。納期限を過ぎると減免は原則できなくなりますが、分割や猶予は申し出られます。過ぎてしまったあとでも、まず窓口へ連絡してください。

「払ったのに督促状が来た」ときは

2番目に多かったのは「払ったのに督促状が来た」という相談でした。実際、入金と発送の行き違いはありました。コンビニで払った場合、自治体が入金を確認するまで数日かかることがあり、その前に督促状を発送すると、払った人にも届きます。

領収書やアプリの支払い履歴で日付を確かめて、市区町村の収納担当課に電話してください。納期限までに納めていたなら、入金が確認できた時点で、督促状への対応は必要ありません。

納期限を過ぎてから納めた場合は延滞金が残るので、あとから納付書が届くことがあります。私のいた自治体では、入金と発送の行き違いが確認できた場合、督促手数料も徴収していませんでした。

金額に納得がいかない、重いと感じるときは

「この金額はおかしいのではないか」と思ったら、納付するか決める前に、税額の内訳を確かめてください。通知書の見方は、「住民税が去年より高いときの原因の見つけ方」に書きました。

収入がなかったのに納付書が届いた場合は、住民税の申告が提出されておらず、市区町村が所得を確認できていないことがあります。「住民税の申告だけが必要なケース」を見てください。

また、住民税が毎年重いと感じる場合、税額そのものを下げられなくても、毎月の固定費を減らして家計の負担を軽くする方法はあります。私がやった手順は「固定費の見直し」に書いています。

よくある質問

督促状を放置すると、すぐに差し押さえられますか?

すぐではありません。差押えの前には催告書や電話が挟まるのが普通ですが、必ず届くとは限りません。ただし本人から連絡がないまま進むと、勤務先や預貯金口座などの財産調査に入ります。いつ進むかは自治体や滞納の状況によって異なるため、早めに連絡してください。

督促状は会社に届きますか?

届きません。督促状は自宅に送られます。私が発送していた納付書も、送り先は住民票の住所でした。会社に伝わるのは、財産調査で給与を照会する段階と、実際に給与を差し押さえる段階です。

分割払いにすると、延滞金はどうなりますか?

分割の間も原則つきます。2026年は最初の1か月が年2.8%、それ以降が年9.1%です。災害や病気、失業などの事情で徴収の猶予が認められた場合は、延滞金の全部か一部が免除されることがあります。

分割を断られたときは、どうすればいいですか?

希望した額で認められなかったときは、収入と生活費を伝えたうえで、無理なく続けられる額を示して相談し直してください。徴収の猶予や換価の猶予は申請に基づく別の制度なので、分割の相談とは別に申し出られます。換価の猶予は、横浜市の場合で納期限から6か月以内という申請期限があります。

督促手数料はいくらですか?

条例によって違います。私のいた自治体は1通100円でした。入金と発送が行き違って督促状が届いた場合は、納付を確認できれば手数料は取りませんでした。

生活が苦しいとき、住民税は減らしてもらえますか?

要件は自治体ごとに違うので、まず住んでいる市区町村に確認してください。生活保護や失業、災害などが対象になります。減免に当てはまらなくても、徴収の猶予や分割の相談は別に申し出られます。

自己破産や債務整理をすれば、住民税は消えますか?

消えません。税金は自己破産でも免責されない請求権であり、破産法第253条第1項第1号に定められています。借金を整理しても住民税は残るので、分割額や納め方は市区町村の窓口で相談できます。

住民税を滞納すると、信用情報に登録されますか?

信用情報機関のJICCは、税金を口座引き落としなどで直接支払う場合、その支払い状況は信用情報に登録されないと案内しています。ただしクレジットカードで納めて、そのカードの支払いを延滞したときは、カードの延滞情報として登録されることがあります。

まとめ

督促状が届いたら、まず市区町村へ電話してください。払えないなら毎月いくらなら払えるかを、払ったのに届いたなら領収書の日付を伝えます。分割を断られた場合でも、連絡しないままだと財産調査に進み、減免など期限のある制度は利用できなくなることがあります。

※私は税理士ではありません。掲載内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。督促手数料・減免・分割の運用は自治体によって違います。個別の状況は、お住まいの市区町村の担当課にご確認ください。

参考:e-Gov法令検索「地方税法」東京都北区「住民税を納期限までに納められない場合の延滞金」横浜市「督促状や催告書が届いたら」大阪市「督促状について」中野区「納税困難な方の分割納付・猶予等のご相談をお受けしています」横浜市「換価の猶予制度」八王子市「給与等の差押に係る差押金額計算書」e-Gov法令検索「国税徴収法」e-Gov法令検索「破産法」春日部市「納期限が過ぎてしまった場合、どのように納付すればいいですか」JICC「公共料金、税金などの延滞も登録されますか?」柏市「市税の延滞金と還付加算金の計算方法」厚木市「個人市民税(市民税・県民税)の減免制度について」船橋市「なぜ職員相手に生活状況まで話さなければならないのですか」洲本市「納税相談を行っています」

この記事を書いた人

たっくー

たっくー

元税務担当
確定申告受付1,000件以上
投資14年

元・自治体職員。税務の窓口で確定申告を1,000件以上受け付けてきました。今は会社員で、副業(ネットショップ・ブログ/いちばん売れた年で814万円)と投資14年の実体験があります。この両方をもとに、副業とお金のリアルを書いています。

※個別の税務相談は税理士・税務署へ。

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