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ダブルワークの確定申告はいくらから?20万円と178万円で判定

ダブルワークの確定申告は所得20万円超で必要、2026年分は給与178万円以下なら所得税0円と示す図

年末調整されなかった給与が年20万円を超えると、確定申告が必要

給与の合計が178万円以下なら、2026年・2027年分の所得税は0円。

確定申告の時期には、源泉徴収票を2枚持って市役所の窓口に来る人が毎年います。私はそこで3年間、確定申告の受付を1,000件以上担当しました。ダブルワーク(掛け持ち)で働く人からは「バイト先が年末調整をしてくれていると思っていた」とよく聞きました。申告が必要な人や、所得税が0円になる収入、住民税との違い、申告の手順を解説します。

この記事でわかること

  • 「扶養控除等申告書」は同時に1社にしか出せない。2か所目の給与は年末調整されない
  • 20万円と比べるのは「所得」ではなく控除を引く前の「収入金額」。窓口ではここを勘違いする人が多かった
  • 2026年中の天引きは引き上げ前の税額表のままなので、178万円以下でも毎月は引かれている。戻るのは年末調整か申告のあと
  • 所得税が0円でも住民税はかかることがある。住民税の基礎控除は43万円で変わっていない
  • 申告が必要なのにしないと、無申告加算税と延滞税がかかることがある

年末調整は1か所だけ。2か所目は「乙欄」で多めに引かれる

年末調整をしてもらえるのは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した従業員だけです。この申告書は、同時に1社にしか出せません。その1社から受け取る給与が「主たる給与」で、年末調整で1年分の所得税が精算されます。

2か所目以降の給与には、「乙欄」という源泉徴収の区分が適用されます。乙欄では、扶養控除等申告書を出した人向けの控除が反映されないため、同じ月給でも1か所目より高い税額が引かれます。ただし、2026年分の税額表では、社会保険料を引いたあとの月給が105,000円未満なら、税率は3.063%にとどまります。

2か所目の給与は年末調整されないため、天引きされた所得税と、給与を合算して計算した本来の税額との差は確定申告まで精算されません。天引き額が多ければ申告で還付を受け、少なければ不足分を追加で納めます。

ただし、年の途中で辞めたバイト先の源泉徴収票を今の勤め先に出せば、前職の給与と源泉徴収税額も含めて年末調整をしてもらえます。これで1年分の精算が終わるので、ほかに申告する理由がなければ確定申告は要りません。同時に2か所で働き続けている場合は、2か所目の給与を年末調整に含められないので、確定申告で精算します。

窓口で2枚目の源泉徴収票を見ると、月数万円のバイトでも所得税が引かれていることがよくありました。本人が天引きに気づいていないことも珍しくありませんでした。

確定申告が必要なのは誰か

2か所以上から給与をもらう人は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与・退職所得以外の所得の合計で申告の要否を判定します。この合計が年20万円を超えると確定申告が必要です(タックスアンサーNo.1900)。逆に20万円以下なら、所得税の確定申告はしなくてかまいません。

この20万円基準が適用されるのは、給与の全部が源泉徴収されていて、給与収入の合計が2,000万円以下の人です。給与収入が2,000万円を超える人は、年末調整されなかった給与などが20万円以下でも確定申告が必要です。

間違えやすいのは、20万円の基準と比べる金額です。給与については、「所得」ではなく、控除を引く前の「収入金額」で確定申告の要否を判定します。窓口でも、収入と所得を混同して「20万円以下のはず」と考えている人が何人もいました。

2か所以上から給与をもらっていても、給与収入から所得控除を引いた残額が150万円以下なら、確定申告が不要になる場合があります。ただし、給与・退職所得以外の所得が20万円以下であることも条件です。

このとき差し引かない所得控除は、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除の4つです。掛け持ちの給与収入が少ない人は、この例外に当てはまることもあります。

注意

20万円の基準は「確定申告をしない場合」の特例です。医療費控除などを受けるために確定申告をする年は、20万円以下の給与収入や給与以外の所得もすべて申告書に記載する必要があります。その年は、「ふるさと納税のワンストップ特例」も無効になります。

なお、ネットショップの運営や原稿執筆など、給与以外の副業がある場合は、確定申告が必要かどうかの判定方法が変わります。そちらは副業の確定申告で損する人・危ない人に書きました。

申告義務がない場合でも、申告したほうが有利になることがあります。乙欄で所得税を引かれている人は、義務がなくても還付を受けられる場合があります。

2026年・2027年分は給与178万円以下で所得税0円。引かれすぎた分は戻る

令和7年(2025年)分から、所得税の基礎控除が変わりました。基礎控除は基本58万円ですが、合計所得金額132万円以下なら95万円です(控除額は所得に応じて変わります)。あわせて、給与所得控除の最低保障額も65万円になりました。

95万円と65万円を足すと160万円です。2025年分は、給与収入の合計がおよそ160万円以下なら所得税はかかりません。

令和8年度の税制改正では、基礎控除は最大99万円、給与所得控除の最低保障額は69万円に上がりました。加えて2026年分と2027年分は上乗せがあり、基礎控除は最大104万円、給与所得控除の最低保障額は74万円です。合計は178万円です。

毎月の天引きに反映されるのはいつか

ただし、2026年中に毎月の給与から引かれる所得税は、引き上げ前の税額表で計算されています。引き上げ後の控除額が反映されるのは、2026年12月の年末調整と、そのあとの確定申告です。

給与の合計がおよそ178万円以下で所得税が0円なら、還付申告により源泉徴収された所得税の全額が戻ります。178万円を超えるなら、2か所の給与を合算して求めた1年分の税額と、すでに引かれた額を比べて、確定申告で過不足を精算します。

還付申告の期限

還付申告は、対象の年の翌年1月1日から5年間できます(タックスアンサーNo.2030)。3月の申告期限を過ぎていても、還付申告なら提出できます。5年さかのぼって申告できるのは、確定申告の義務がない人です。

年末調整されなかった給与などが20万円を超える人の申告期限は3月15日です(土日祝なら翌平日)。過ぎてから出すと期限後申告になりますが、還付そのものは受けられます。還付金が振り込まれるまでの目安は「確定申告の還付金はいつ振り込まれる?」にまとめています。

扶養親族と認められる給与収入の上限や、19〜22歳の子どもが特定親族特別控除の対象になる給与収入の上限も、この改正で上がりました。掛け持ちの場合、どちらの判定も2か所の給与を合計した額で決まります。年分ごとの金額は次のとおりです。

給与収入だけの場合2025年分2026年
27年分
基礎控除(最大)95万円104万円
給与所得控除の最低保障額65万円74万円
所得税がかからない上限(合計)160万円178万円
扶養親族と認められる上限123万円136万円
特定親族特別控除の対象になる上限188万円197万円

2028年分以後の基礎控除と給与所得控除の最低保障額は、2年ごとに全国消費者物価指数の変化率をもとに見直されます。金額はそのときに決まります。

住民税は別勘定

所得税が0円でも、住民税がかからないとは限りません。住民税の基礎控除は43万円のまま据え置かれているので、所得税がかからない収入でも住民税がかかる場合があります。

給与所得控除の最低保障額を65万円に上げる改正は、住民税にも適用され、令和8年度分(令和7年中の所得)から反映されます。令和9年度分(令和8年中の所得)から69万円ですが、令和9年度分と令和10年度分には74万円の特例が適用されます。

基礎控除は43万円のままなので、住民税の非課税基準は、所得税がかからない160万円(2026年分は178万円)より低くなる場合があります。

住民税の非課税基準は自治体や扶養人数によって異なるため、自分の収入に住民税がかかるかは市区町村のサイトや窓口で確認してください。私が住民税を担当していたときは、「所得税と住民税では答えが違うのですか」という質問をよく受けました。

住民税の申告が別に要るとき

確定申告のデータは市区町村へ送られるため、住民税の申告を別に出す必要はありません。確定申告をしない場合も、給与だけの掛け持ちで、すべての勤め先が給与支払報告書を出していれば、住民税の申告は原則不要です。給与支払報告書は、勤め先が1年分の給与額を市区町村へ知らせる書類です。

給与支払報告書が出ない場合や、給与以外に20万円以下の所得があって確定申告をしなかった場合は、住民税の申告が必要です。報告書が出ないのは、年の途中で辞めて、その勤め先からの支払額が少ないときなどです。20万円の特例は所得税だけの決まりで、住民税にはありません。どこへ何を出すかは「住民税の申告だけ必要な人は?」に書きました。

普通徴収に切り替えられるか

給与分の住民税は原則として普通徴収(自分で納める方式)に切り替えられず、主たる給与を支払う会社でまとめて天引きされます。

以前は、一部の自治体で2か所目の給与分だけを普通徴収にできましたが、この取り扱いは令和7〜9年度の間に順次終了します。地方税法第321条の3が、前年中の給与所得にかかる税額は特別徴収すると定めているためです。

変更時期は自治体で異なり、朝霞市では令和7年度、門真市では令和9年度です。掛け持ち分の収入が本業の会社にどう伝わるかは、副業と住民税の通知書で説明しています。

申告は4つの手順で進める

給与の支払元が2か所だけなら、申告に会計ソフトは要りません。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」だけで申告書を作れます。帳簿の作成も経費の集計も必要ないので、源泉徴収票の内容を入力するだけです。

申告の期間は例年2月16日から3月15日までです(期限が土日祝と重なる年は翌平日)。還付だけの申告なら、対象の年の翌年1月1日から提出できます。

  1. 源泉徴収票を全部集める年の途中で辞めたバイト先の分も必要です。ただし、年末の時点で勤め先が1か所なら、その源泉徴収票は確定申告に使わず、今の勤め先に出します。手元になければ、そのバイト先に発行を頼めます。頼めない場合やなくした場合の対処は、「源泉徴収票がないときの確定申告」に書きました。
  2. 確定申告書等作成コーナーで入力するスマホとマイナンバーカードがあれば、自宅から申告できます。画面の案内に沿って、源泉徴収票の記載をそのまま写していきます。
  3. 還付先の口座を入力する本人名義に限ります。
  4. e-Taxで送信する印刷して郵送や持参でも提出できます。

過去に還付申告をしていなくても、義務がなかった年の分なら5年さかのぼって申告できます。申告期限を過ぎた場合の影響は、開業1年目の赤字を申告しなかった実例で説明しています。ひとりで進める自信がない場合は、市役所や税務署の窓口で相談する方法もあります。

よくある質問

掛け持ちしたら、年末調整はどっちのバイト先に出せばいいですか?

「給与所得者の扶養控除等申告書」を出した1か所だけが年末調整をします。ふつうは収入の多いほうを選びます。両方に出すことはできません。扶養控除等申告書を出していない勤め先の給与は乙欄で源泉徴収され、天引きされた所得税は確定申告で精算します。扶養控除等申告書を両方に出して2か所とも年末調整を受けた場合は、控除が二重になるので、確定申告で1年分の所得税を計算し直します。

2か所目の給与が20万円以下なら、確定申告しなくていいですか?

年末調整されなかった給与などの合計が20万円以下なら、所得税は申告しなくてよい場合があります。住民税も、勤め先が市区町村へ給与支払報告書を出していれば別の申告は原則不要です。2か所目で所得税が源泉徴収されていれば、申告で還付を受けられることがあります。医療費控除などで確定申告をする年は、20万円以下の給与も記載が必要です。

確定申告をしないと、掛け持ちが本業の会社にバレますか?

会社に伝わるかどうかは、申告の有無ではなく、市区町村が会社へ送る住民税の通知の内容で決まります。給与分の住民税は原則として普通徴収を選べず、主たる給与を支払う勤め先が2か所分をまとめて天引きするためです。申告しなくても、市区町村はバイト先から出る給与支払報告書で収入を把握しています。

過去の分は今からでも申告できますか?

できます。申告の義務がなかった年なら、5年前の分まで受け付けてもらえます。対象の年の源泉徴収票が必要なので、手元になければバイト先に発行を頼んでください。バイト先がなくなっているなど、頼めないときは「給与明細を合計して申告する方法」もあります。

申告が必要なのにしないままだと、どうなりますか?

納める税額がある場合は、本来の税額に無申告加算税と延滞税が上乗せされることがあります。無申告加算税は、税務調査の通知前に自分から申告すれば5%です。通知のあと調査の前なら10〜25%、調査を受けたあとなら15〜30%です(タックスアンサーNo.2024)。法定申告期限から1か月以内に自分から申告し、税金も期限までに納めるなど一定の条件を満たす場合は、かかりません。一方、乙欄で所得税を多く引かれ、申告すれば還付を受けられる人には、申告しなくても罰則はありません。ただ、戻るはずだった税金を受け取れないままになります。

掛け持ちすると、社会保険はどうなりますか?

社会保険は税金と仕組みが別です。2か所で働く場合の加入は、130万円の壁のような収入の基準や、勤務時間、勤め先の規模などで決まります。勤め先か年金事務所に確認してください。なお、2か所とも加入の要件を満たした日から10日以内に、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所へ提出し、主たる事業所を決めます。保険料は2か所の報酬を合算して決まり、各勤め先がそれぞれの報酬額に応じて負担します。

まとめ

見るのは所得ではなく、控除前の収入金額です。乙欄で引かれた税金は、申告しなければ戻りません。還付申告の期限は、対象の年の翌年から5年です。2か所の給与だけを申告する場合は、入力する項目は多くありません。還付の対象になる場合は、2枚の源泉徴収票をそろえて申告してください。

※私は税理士ではありません。掲載内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。制度や金額は変わることがあります。個別の判断に迷うときは、税務署や税理士に相談してください。

参考:国税庁 タックスアンサーNo.1900(給与所得者で確定申告が必要な人)No.2030(還付申告)No.2024(確定申告を忘れたとき)国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」同「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」同 タックスアンサー No.2674(中途採用者の年末調整)日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」国税庁「月額表の乙欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算について」同「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」

この記事を書いた人

たっくー

たっくー

元税務担当
確定申告受付1,000件以上
投資14年

元・自治体職員。税務の窓口で確定申告を1,000件以上受け付けてきました。今は会社員で、副業(ネットショップ・ブログ/いちばん売れた年で814万円)と投資14年の実体験があります。この両方をもとに、副業とお金のリアルを書いています。

※個別の税務相談は税理士・税務署へ。

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