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住民税は引っ越したらどこに払う?前の市から納付書が届く理由

引っ越し後の住民税をどこに払うか、納付書の年度・発行元を確認する図

納付先は、年度が始まる年の1月1日の住所地

同じ年度の通知書が新旧の市から届いたら、納付前に両市へ確認する。

引っ越し後に前の市から住民税の納付書が届いても、誤りとは限りません。私が住民税の業務に携わっていた市役所では、同じ問い合わせの電話が毎年ありました。

この記事でわかること

  • 住民税は、年度が始まる年の1月1日の住所地へ納める。引っ越しても、その年度の納付先は変わらない
  • 引っ越しだけなら手元の納付書はそのまま使える。月割りにはならず、残りの分も課税した市区町村へ納める
  • 年末年始は実際に住み始めた日が基準。12月中に新居へ住み始めれば、転入届が1月でも新しい市が課税する
  • 異なる市区町村から同じ年度の通知書が届いたら、税目・課税内容を確かめ、納付前に両方の担当課へ問い合わせる

年度ごとの納付先と支払い時期

住民税の基準日は「賦課期日」と呼ばれ、毎年1月1日です。2026年度分の住民税は、2026年1月1日に住所があった市区町村が、2025年の所得などをもとに課税します。年の途中で別の市区町村へ引っ越しても、引っ越しだけでその年度分の納付先は変わりません。

たとえば、2026年1月1日はA市に住み、2026年3月にB市へ引っ越して、2027年1月1日もB市に住んでいる場合、課税する自治体と納める時期は次のとおりです。

住民税の年度課税する自治体納める時期(目安)
2026年度2026年1月1日に住んでいたA市納付書・口座振替
2026年6・8・10月、2027年1月
給与天引き
2026年6月〜2027年5月
2027年度2027年1月1日に住んでいるB市納付書・口座振替
2027年6・8・10月、2028年1月
給与天引き
2027年6月〜2028年5月

2026年1月から5月に給与から天引きされる住民税は、2025年度分です。納付先を確認するときは、支払う日だけでなく、通知書や給与明細に書かれた年度も見てください。

自分で納める人には、課税する市区町村から通常6月に納付書が届きます。納付書には「市民税・県民税」などと書かれており、これが住民税です。

普通徴収は原則として年4回に分けて納めます。表の納期は多くの市区町村での例で、具体的な納期限は自治体によって異なるため、通知書で確認してください。

ただし、その年度の税額が均等割の金額以下なら、最初の納期に全額を納めます(地方税法第320条)。均等割は、課税対象となる人が一定額を納める部分です。

出典

2026年中にA市からB市、さらにC市へ引っ越しても、2026年度の通常の住民税を課税するのはA市です。

引っ越したあとに確認すること

  • 給与から天引きの人(特別徴収)
    勤務先へ住所変更を届け出ます。勤務先から渡される「特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」で、年度と発行元の市区町村を確認できます。住民税の納付先を自分で変更する手続きは原則として不要で、会社はその市区町村へ納め続けます。
  • 自分で納める人(普通徴収)
    年度と発行元を確認し、その年度の住民税を課税する市区町村から届いた納付書なら、記載どおりに納めます。転出届と転入届を出していれば、課税した市区町村は納付書を新しい住所へ送るのが基本です。ただし異動の時期によっては前の住所へ届くことがあるため、郵便局の転送手続きも確認してください。

引っ越しただけなら、引っ越し前に届いた納付書もそのまま使えます。納期限と利用できる納付方法を確認して納めます。引っ越した月までの月割りにはならず、その年度分の残額も、課税した市区町村へ納めます。

出典

eL-QRが印刷された納付書は、eLお支払サイト(旧・地方税お支払サイト)や対応するスマートフォン決済アプリなどで納付できます。前の市区町村の窓口へ行く必要はありません。利用できる方法は、納付書と課税した自治体の案内で確認してください。

口座振替の登録は、前の市区町村から引き継がれません。新しく課税する市区町村でも口座振替を使う場合は、改めて申込みが必要です。

納付書が届かないとき

郵便の転送期間は、届け出の日から1年です。これから納期限を迎える住民税がある場合は、郵便の転送期限も確認します。期限が近いときや納付書が届かないときは、その住民税を課税した市区町村に送付先の変更を相談できます。

問い合わせ先は、課税年度が始まる年の1月1日に住んでいた市区町村の担当課です。現在住んでいる市区町村とは限りません。

前の市の住民税を払えないとき

引っ越しても、前の市から課税された住民税は納める必要があります。引っ越しだけを理由に減免されることはなく、未納が続けば督促状が届きます。

ただし、災害にあった、失業した、収入が大きく減ったといった場合に、減免や徴収猶予の制度を設けている市区町村があります。減免は税額を減らしたり免除したりすること、徴収猶予は納付を一定期間待ってもらう制度です。

要件は自治体ごとに違うので、納めるのが難しいときは分割も含めて早めに担当課へ相談してください。督促状が届いたあとの流れは、「住民税の督促状が届いたら」で説明しています。

異なる自治体から同じ年度の通知書が届いたとき

2つの通知書の年度、発行元、税目、課税内容を確認してください。両方が同じ年度分であれば、両方の通知書を手元に用意し、納付前にそれぞれの通知書に記載された担当課へ問い合わせます。家屋敷・事業所の均等割による別の課税か、通常の住民税の課税先を訂正する必要があるかを確認してください。

たとえば、次のように見比べます(架空の例です)。

  • A市の「令和7年度分」とB市の「令和8年度分」は、同じ時期に納めても別年度分です。各年度が始まる年の1月1日に住んでいた市区町村と、通知書の発行元を照らし合わせます。
  • A市・B市の通知書がどちらも「令和8年度分」なら、同じ課税年度です。税目と税額の内訳を見比べ、納付前に両方の通知書に記載された担当課へ問い合わせます。

納期限が近い場合は、そのことも伝え、確認が終わるまでの納付の扱いを担当課に確認してください。

同じ自治体から複数の通知書が届く場合は、普通徴収と特別徴収に分かれている、納付方法が変わった、所得や控除の修正で課税内容が変わったなどの理由があります。異なる自治体から届いた場合とは分けて確認します。

課税の訂正などによって納めすぎが確認された場合は、納めすぎた分が戻る「還付」か、まだ納めていない地方税の支払いに回す「充当」が行われます。受け取りに必要な手続きは、市区町村から届く通知で確認してください。

1月1日の住所は、転入届の日ではなく実際に住み始めた日で判断する

1月1日にどちらの市に住んでいたかは、転入届を出した日ではなく、実際に住み始めた日(届け出に書く異動日)で決まります。

年末年始の引っ越しでは、住み始めた日が1日違うだけで課税する市が変わります。届け出の「異動日」には、実際に住み始めた日を記入してください。

住み始めた日 → 転入届の日1月1日の住所その年度の住民税
1月2日 → 1月8日前の家前の市が課税します
12月20日 → 12月25日新居新しい市が課税します
12月20日 → 1月8日新居新しい市が課税します届け出が期限を過ぎても、課税は住み始めた日で決まります

同じ年度に2つの市区町村から住民税が課税されることはある?

通常の住民税は、課税年度が始まる年の1月1日の住所地の市区町村が課税します。住民票を実際の住所に合わせていれば、新旧2つの市区町村が同じ年度分の通常の住民税を課税することはありません。

住民票の住所と実際の住まいが違う場合は、生活の本拠をもとに、課税する市区町村が個別に決まります。実際に住んでいる市区町村が課税するときは、住民票のある市区町村との二重課税を防ぐため、市区町村どうしで連絡する仕組みが地方税法第294条第3項・第4項に定められています。

1月1日に住所地以外の市区町村に家や事業所があるとき

1月1日現在、住所地以外の市区町村に住宅があると、市区町村民税・都道府県民税の均等割が課税されることがあります。対象は、本人や家族が住むための独立した住宅で、本人がいつでも自由に住めるものです。

事務所・事業所は、事業に必要な設備があり、そこで継続して事業を行っている場所が対象です。家屋敷も事務所・事業所も、自己所有かどうかは問いません。

これは家屋敷課税・事業所課税と呼ばれ、根拠は地方税法第294条第1項第2号です。所得に応じて額が変わる「所得割」ではなく、均等割だけが課税されます。

他人に貸している住宅や、居住できない状態の住宅は、対象外となることがあります。また、前年の所得などから本人が均等割の非課税要件に当たる場合も、課税されないことがあります。家族が住む住宅を本人が自由に使えるかなど、個別の判定は家屋敷等がある市区町村へ確認してください。

金額は市区町村によって違い、たとえば鳥取市は年4,500円です。森林環境税(国税)は、家屋敷等がある市区町村では課税されません。ただし、日本国内の住所地では課税される場合があります。

鳥取市は、該当する人に申告書の提出を求めています。手続きや納期は市区町村によって異なるため、家屋敷等がある市区町村の案内を確認してください。市区町村が家屋敷等の使用状況を把握しているとは限らず、自動的に通知が届かない場合もあります。

私がいた市役所での税務書類の回送

会社が提出する給与支払報告書や、税務署から届く確定申告のデータには、引っ越し前の住所が記載されていることがありました。私のいた自治体では、そうした書類を課税システムへ取り込む際に、住民票の住所との違いを確認していました。

住所が違う書類は、住民票のシステムに記録された引っ越し前後の住所をたどって送り先を確かめ、その年度の住民税を課税する市区町村へ送り直していました。実務ではこれを「回送」と呼んでいました。

私のいた市役所では、1月1日に市内に住んでいなかった人の書類を回送してから、毎年の確定申告の処理を始めていました。書類の回送は、年200件ほどありました。

住民票を移さず、会社にだけ新しい住所を伝えると、書類と住民票の住所が食い違い、回送先の確認に時間がかかります。確認方法や手続きは、自治体や状況によって異なります。引っ越したら、市区町村と勤務先の両方へ住所変更を届け出てください。

引っ越しの届け出と関連する手続き

引っ越しの届け出

  • 届け出の順番
    先に転出届を前の市区町村へ、次に転入届を新しい市区町村へ出します。転出届が済んでいないと転入届は受け付けてもらえません。
  • 期限
    転出届は原則として引っ越す前に出します。引っ越したあとでも市区町村で受け付けてもらえますが、転入届は新しい市区町村に住み始めた日から14日以内に出す必要があります。引っ越し後に転出届を出す場合も、転入届より先に済ませてください。異動日には、実際に住み始めた日を書きます。
  • 同じ市区町村の中で引っ越したとき
    転出届と転入届ではなく転居届を出します。期限は、新しい住所に住み始めた日から14日以内です(住民基本台帳法第23条)。課税する市区町村も納付先も変わりません。
  • オンラインでできる手続き
    マイナンバーカードがあれば、転出届はマイナポータルから出せるため、窓口へ行く必要はありません。転入届は窓口で出しますが、来庁予定日は事前に市区町村へ伝えられます。

引っ越しと同じ時期に会社を辞めたとき

引っ越しと同じ時期に会社を辞めても、納付先は変わりません。課税年度が始まる年の1月1日に住んでいた市区町村です。納め方は、退職月や転職先で給与天引きを続けるかによって変わります。詳しい条件と手続きは、「転職で住民税を二重払い?」で説明しています。

ふるさと納税のワンストップ特例を申請している場合

ワンストップ特例の申請後、寄附した翌年1月1日までに住所や氏名が変わった場合は、変更届の提出が必要です。寄附先の自治体ごとに、「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を提出します。提出期限は原則として寄附した翌年1月10日です。実際の受付期限と、郵送の場合の必着・消印有効の扱いは、寄附先ごとの案内を確認してください。

変更届を出さないとワンストップ特例が無効になるため、寄附金控除を受けるには確定申告が必要です。ほかに無効になる条件は、「ワンストップ特例が無効に」で説明しています。

出典

海外へ引っ越す場合

件数は多くありませんでしたが、海外へ引っ越す人からも相談を受けていました。考え方は国内と同じで、基準は1月1日です。

1月1日の時点で日本国内に住所がなければ、住所地に基づくその年度の住民税は原則としてかかりません。ただし、国内に本人や家族が住むための家屋敷があり、本人がいつでも自由に住める場合は、その所在地で住民税の均等割がかかることがあります。国内に継続して事業を行う事務所・事業所がある場合も同様です。

逆に、1月2日に出国しても、1月1日に住所があれば、その年度分は全額かかります。短期の出張や旅行では日本の住所がそのまま残るので、住民税もかかり続けます。

すでに課税されている住民税は、出国しても納付義務が残ります。出国前に納付を済ませるか、代わりに納付する「納税管理人」を届け出ておきます。

普通徴収の納税通知書は、通常6月に発送されます。通知書が届く前に出国する場合も、納税管理人を届け出ておけば、その人が受け取れます。

よくある質問

引っ越したのに、前の市から納付書が届きました。払う必要がありますか?

通常は必要です。課税年度が始まる年の1月1日に住んでいた市区町村から届いた納付書なら、引っ越し後も納めます。同じ年度分が別の自治体からも届いている場合は、納付前に通知書の確認手順に沿って両方の担当課へ問い合わせてください。

新しい市と前の市、両方から住民税が来ることはありますか?

あります。異なる年度分が同じ時期に届く場合や、家屋敷・事業所の均等割が別に課税される場合があります。同じ年度分なら、納付前に通知書の確認手順に沿って両方の担当課へ問い合わせてください。

同じ市区町村の中で引っ越した場合は、住民税はどうなりますか?

変わりません。課税するのは同じ市区町村で、納付先もそのままです。

必要なのは転出届・転入届ではなく、転居届です。期限は住み始めた日から14日以内です(住民基本台帳法第23条)。

届け出後は、納税通知書が新しい住所へ送られるのが基本です。ただし、引っ越しの時期によっては、前の住所へ届く場合もあります。

住民票を移していません。住民税はどうなりますか?

原則は住民票のある市区町村が課税します。ただし、住民票上の住所と居住地が違う場合は、生活の本拠をもとに課税する市区町村が個別に決まり、居住地の市が課税することもあります。書類の確認に時間がかかり、手続きも増えるので、住民票の住所は実際の居住地に合わせて変更してください。

海外転出のとき、住民税はどうなりますか?

1月1日に日本国内に住所がなければ、住所地に基づくその年度の住民税は原則としてかかりません。ただし、国内の家屋敷や事務所・事業所に均等割がかかる場合があります。

すでに課税された分は、出国後も納付が必要です。出国前の納付や納税管理人の手続きは、「海外へ引っ越す場合」で説明しています。

まとめ

住民税は、課税年度が始まる年の1月1日に住んでいた市区町村が、前年の所得などをもとに課税します。年の途中で引っ越しても、その年度の納付先は変わりません。基準になるのは、届け出の日ではなく、実際に住み始めた日です。

納付書や勤務先から渡される税額通知書を受け取ったら、年度と発行元の市区町村を確認します。異なる自治体から同じ年度分の通知が届いた場合は、納付前に両方の通知書を手元に用意し、それぞれに記載された担当課へ問い合わせてください。

※私は税理士ではありません。掲載内容は執筆時点(2026年10月)の情報です。届け出や納付の運用は自治体によって異なる場合があります。課税内容や納付については、その年度の住民税を課税した市区町村か、通知書に記載された担当課へご確認ください。

出典
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この記事を書いた人

たっくー

たっくー

元税務担当
確定申告受付1,000件以上
投資14年

元・自治体職員。税務の窓口で確定申告を1,000件以上受け付けてきました。今は会社員です。副業のネットショップでは、年間売上約814万円を経験しました。ブログも運営し、投資歴は14年です。こうした実体験をもとに、副業や税金、家計管理など、お金のことを書いています。

※個別の税務相談は、税理士や税目に応じた担当窓口へ。